先進技術を積極的に取り入れた準旗艦モデル
デノン「AVC-X6500H」レビュー。フラグシップに肉薄するスケール感豊かなAVアンプ
X4500Hで映像ソフトを再生も確認した。なお、X6500Hは7.2.4ch再生で視聴を行ったが、X4500Hは9chアンプ搭載なので5.2.4chで再生した。トップスピーカーは4発で変わらず、サラウンドバックの有無がコンフィグ上の相違となる。
イマーシブオーディオを再生した場合、アンプの能力以前にスピーカー台数の違いが端的に差を生み出す。『プライベート・ライアン』のP51の移動は飛行の軌跡の太さ、明瞭さ、速度がやはり違う。一方で音楽に重点を置く『グレイテスト・ショーマン』では、X6500との音質上の近似性が如実に現れる。ヒュー・ジャックマンのセリフの音圧感、肉声の解像感ともに良好。ジェニー・リンドのリサイタルシーンの「ネヴァーイナフ」は解像感の中に温かい肉声感。再生周波数帯域も十分に取れている。
X8500Hに始まるデノン新世代高音質設計アンプは、X6500H/X4500Hで完成の一区切りを迎えたといっていい。3機種間には構成/再生音質上もファミリーの近似性が伺える。
最もコストパフォーマンスの高いのが、X8500Hとの共通部分の多いX6500Hだが、エンドユーザーはホームシアターの規模(広さ)やスピーカー台数上最もバランスのいいアンプを選べばよいのではないか。X4500Hからも、デノンの確かな血筋と新しいチャレンジの成果のほどがしかと聴き取れるのだから。
(大橋 伸太郎)