<山本敦のAV進化論 第168回>
2018年版「ウォークマンAシリーズ」新旧対決! 飛躍を遂げた音質、機能も含めた完成度に太鼓判
筆者はふだん、iPhoneでSpotifyの音楽再生を聴くことが多いので、ポータビリティの高いウォークマンを介してよりいい音で音楽配信を満喫できたるのは嬉しい。AI対応のDSEE HXやバイナルプロセッサーの効果を掛け合わせることもできる。
かつてはハイレゾ対応ウォークマンにAndroid OSを搭載した「NW-ZX2」と「NW-ZX1」という銘機があった。ならば “Androidウォークマン” を復活させればいいじゃないかと思うかもしれないが、毎年ペースでアップデートされるOSの変化に対応しながら、良い音と機能の互換性を確保していくフォローアップは、メーカーにとって負担が大きいのだろう。
だから、今回のNW-A50シリーズに搭載されたBluetoothレシーバーのような解法が、当面はベストなのかもしれない。なおBluetoothレシーバー機能はDMP-Z1にも搭載されている。本機のユーザーの感想も楽しみだ。
今回紹介したNW-A50シリーズに搭載される新機能について、バイナルプロセッサーと最後のBluetoothレシーバー機能は、NW-WM1とNW-ZX300も、ファームウェアの更新によって追加された。またNW-A40は、いずれの機能もアップデートは予定していない。
■本体の操作感も良かった
ユーザーインターフェースについてはNW-A40に新機能が加わったこと以外に変わっていないが、スマホ並みの快速レスポンスが心地よい。
右側面の再生・一時停止、曲送りのコントロールボタンが独立配置になっているので、ポケットの中に入れて手探りでも操作しやすくなったことが嬉しい。筆者は今回のNW-A50シリーズから、あのNW-ZX300に搭載されているサラサラタッチの液晶が載ることを期待していたのだが、こちらは来年以降に発売されるであろう次世代機に持ち越されるだろう。ぜひ早期に実現してほしいと思う。
■音質は上位譲り。新しい音楽の楽しみ方を掘り起こしてくれるウォークマンAシリーズ
商品企画を担当した辻氏は「せっかくポータブルリスニング環境で音楽を聴くのであれば、ベストコンディションを追求してほしい」と呼びかける。「音質に限らず、内蔵メモリーを最大限に楽曲ファイルのために使える余裕、片手持ちで操作しやすいことやバッテリーの持続性能もふくめて、細部までオーディオプレーヤーとしての快適さを追求した製品が “ウォークマン” であり、DAPの入門ユーザーの方々が、音楽再生専用機の魅力を最もシンプルに感じていただける製品にウォークマンAシリーズは仕上がっていると思います」。
プロジェクトリーダーの若林氏は「上位機種のエッセンスを継承したNW-A50シリーズは、高級クラスのポータブルオーディオプレーヤーを使っているユーザーも絶対に満足できるウォークマン」であるとしながら、 “マニアのサブ機” としての利用が広がることに期待を寄せている。「NW-A50シリーズは素のままのサウンドを向上させることに、設計陣が総出で徹底して取り組んできました。バイナルプロセッサーやDSEE HXなど、マニアックな進化も達成できたことで新しいポータブルリスニングの扉も開いたと考えています。デジタルオーディオ製品はある程度聴き慣れたという方にも、踏み込んでいただいたら損をさせない、新たな音楽の魅力と出会えるウォークマンです」。
かつてのウォークマンAシリーズは、ハイレゾ対応スマホと比較されることも多かった。今はもう、それぞれの向かうべき方向に成長しているし、音楽の楽しみ方も多様化している。最新のNW-A50シリーズにミートする音楽ファンのリスニングスタイルも様々だろう。
2018年秋発売のNW-A50シリーズは、現時点で非常に完成度の高いポータブルオーディオプレーヤーに仕上がっていると太鼓判を押したい。
(山本 敦)