『季刊・オーディオアクセサリー』誌で付録にもなった個性派
ユニークを極めるレーベル「グリーンフィンレコーズ」に注目!―ワン・アンド・オンリーの輝きを持つ音源達
グリーンフィンレコーズというレーベルはちょっと不思議なところで、自分たちの情報をネットにほとんど発信していない。いろいろ検索してみたのだが、facebookにオフィシャルページがあるだけで、そこには、一般的な企業サイトが備えている「商品ラインアップ」や「会社概要」といったものがまるでなく、何とも商売っ気のない会社だなと、感じざるを得ない。
皆さんの中にも「このレコードレーベルの名を知っていた」という人は決して多くないであろう。実は、以前この社の音源がオーディオアクセサリー誌(166号)の付録についたことがある。
ソプラノ歌手の本島阿佐子が、フリージャズ・ピアノの大御所・山下洋輔を伴奏に、童謡・唱歌を歌った音源と聞けば、ご記憶の人もおられよう。あれはグリーンフィンレコーズから発売されているCD『メロディーズ・オブ・メモリーズ』のマスターから起こした音源である。ご自宅のシステムで再生なさった人も結構多いのではないか。
プロモーションを担当しているのはエビスプロモーションという会社で、こうした「本当に音楽を欲する層」へ向けた訴求をしているのも同レーベルの特色を表している。
私自身、当該の号では「音質評」を担当したのだが、何の情報もないまま、最初にCDプレーヤーのトレイへ盤を載せた時、あまりにも想像と違うバランスで収録されていて、たまげたことを告白しよう。本島の歌唱は、本来豊かな残響を持つコンサート・ホールで響かせる性質のものである。それがマイクに極めて近く、しかも比較的浅い残響で収められているではないか。一方、山下のピアノには、さほど深くはないものの、美しい残響が付されている。
実は、このバランスをものした録音プロデューサーこそ、グリーンフィンレコーズ代表の温井 亮(ぬくい・りょう)氏である。本島と山下は別のブースで録った上でミキシングされているそうだが、山下に一番広い部屋、本島はなんと一番デッドな狭い部屋で収録したというではないか。
クラシックの本島は本来的に響きの豊かな場所、ジャズの山下はライブハウスなどの比較的デッドな場所が主戦場であることを考えると、これは完全に逆転の発想だ。
しかも、ピアノにはほとんど何のイコライジングもかけていないのに対し、本島のトラックはノイマンのマイクを2種類使い、1本のみに特注仕様のOPTLIM光学式コンプレッサー(音響工房アナログ式)をかけ、音の太さと立ち上がり、勢いを両立する「ニューヨーク・コンプレッション」という処理がかけられている。
当初は「一番広い部屋で歌いたい」と希望していた本島に、リハーサルを経た時点で温井氏が「逆の方がいいな」とその場で提案され、それでこの録り方になったとか。温井氏によると、クラシックとジャズの本道を歩む、本来なら交わることのない両者を融合させるため、本島をポピュラー、山下をクラシックの方へ寄せていったのだそうである。
皆さんの中にも「このレコードレーベルの名を知っていた」という人は決して多くないであろう。実は、以前この社の音源がオーディオアクセサリー誌(166号)の付録についたことがある。
ソプラノ歌手の本島阿佐子が、フリージャズ・ピアノの大御所・山下洋輔を伴奏に、童謡・唱歌を歌った音源と聞けば、ご記憶の人もおられよう。あれはグリーンフィンレコーズから発売されているCD『メロディーズ・オブ・メモリーズ』のマスターから起こした音源である。ご自宅のシステムで再生なさった人も結構多いのではないか。
プロモーションを担当しているのはエビスプロモーションという会社で、こうした「本当に音楽を欲する層」へ向けた訴求をしているのも同レーベルの特色を表している。
私自身、当該の号では「音質評」を担当したのだが、何の情報もないまま、最初にCDプレーヤーのトレイへ盤を載せた時、あまりにも想像と違うバランスで収録されていて、たまげたことを告白しよう。本島の歌唱は、本来豊かな残響を持つコンサート・ホールで響かせる性質のものである。それがマイクに極めて近く、しかも比較的浅い残響で収められているではないか。一方、山下のピアノには、さほど深くはないものの、美しい残響が付されている。
実は、このバランスをものした録音プロデューサーこそ、グリーンフィンレコーズ代表の温井 亮(ぬくい・りょう)氏である。本島と山下は別のブースで録った上でミキシングされているそうだが、山下に一番広い部屋、本島はなんと一番デッドな狭い部屋で収録したというではないか。
クラシックの本島は本来的に響きの豊かな場所、ジャズの山下はライブハウスなどの比較的デッドな場所が主戦場であることを考えると、これは完全に逆転の発想だ。
しかも、ピアノにはほとんど何のイコライジングもかけていないのに対し、本島のトラックはノイマンのマイクを2種類使い、1本のみに特注仕様のOPTLIM光学式コンプレッサー(音響工房アナログ式)をかけ、音の太さと立ち上がり、勢いを両立する「ニューヨーク・コンプレッション」という処理がかけられている。
当初は「一番広い部屋で歌いたい」と希望していた本島に、リハーサルを経た時点で温井氏が「逆の方がいいな」とその場で提案され、それでこの録り方になったとか。温井氏によると、クラシックとジャズの本道を歩む、本来なら交わることのない両者を融合させるため、本島をポピュラー、山下をクラシックの方へ寄せていったのだそうである。