【特別企画】新旧モデルを比較試聴
セパレート型AVアンプの到達点がここに。ヤマハ「CX-A5200/MX-A5200」の進化を探る
この冬、揃って更新されたヤマハのAVプリアンプ「CX-A5200」と11chパワーアンプ「MX-A5200」は、そのサウンドをどこまで進化させたのか? 今回、山之内 正氏がヤマハ担当者に話を聞きながら、CX-A5200/MX-A5200を従来モデルと比較試聴を実施。進化ポイントを検証しながら、ヤマハのセパレートAVアンプの到達点を探った。
■セパレート型AVアンプだからこそ追求できるクオリティ
ヤマハのセパレート型AVアンプがモデルチェンジによって最新世代に生まれ変わる。プリアンプは前作(CX-A5100)から3年ぶりのリファインで「CX-A5200」に、パワーアンプはMX-A5000から5年のサイクルで「MX-A5200」にそれぞれ切り替わるが、更新の頻度がプリとパワーで異なるのは、プリの方がデジタル技術変革のスピードが速いことが主な理由だ。2機種同時に切り替わるのは今回が初めてなので、進化の中身に期待が募る。
リファインの具体的な内容を紹介する前にセパレート型の長所を整理しておこう。最大の利点は、筐体を独立させることでプリアンプとパワーアンプそれぞれで最適な設計を行えることで、それはピュアオーディオの高品質なアンプにセパレート型が多いことを見ても明らかだ。AVアンプの場合はプリ部が多様なデジタル信号と映像信号の処理を担うため、増幅回路との干渉を抑えるために様々な対策を施す必要があり、一体型では基板の配置やノイズの管理に神経を使う。一方、セパレート構成の場合はスペースの余裕を活かして設計の自由度を高めたり、左右対称の回路レイアウトで音の純度を追求するなど、高音質設計の基本的なセオリーに沿ったアプローチが可能になる。
パワーアンプのチャンネル構成についてもセパレート型の方が明らかに有利だ。特に11chなどチャンネル数が増えると一体型での設計が一気に難しくなり、入出力端子の配置も制約が大きい。スピーカーの数や配置に合わせてアンプをアサインする機能もセパレート型の方が自由度が高いのはいうまでもない。
冒頭で紹介した柔軟な更新タイミングも長所の一つだ。新しい技術やフォーマットが登場した場合もプリアンプだけ入れ替えてパワーアンプはそのまま使い続けることができ、リソースを無駄なく活用できる。低価格機なら一体型アンプをまるごと入れ替えてもそれほど大きな負担にはならないが、50万円を超えるような高価格モデルの場合はセパレート型の方が長い目で見てコストパフォーマンスが優れているのだ。
■プリはDACが最新世代へ刷新。電源や筐体剛性の強化も
前作からの進化についてはニュース記事(CX-A5200/MX-A5200)でも詳しく紹介されているので、ここではヤマハの方々に伺った話を踏まえつつ、主要なものに絞っておさらいをしておく。
まず基本コンセプトだが、今回は2機種ともアンプとしての基本性能向上に的を絞っており、機能の拡張や追加はそれほど多くない。AVプリアンプ「CX-A5200」の場合、コンテンツのシーンに応じて音場効果をリアルタイム生成する「SURROUND:AI(サラウンドエーアイ)」を一体型モデルに続いて投入したことや、ハイレゾ音源の対応周波数を拡大した点(11.2MHz DSD・384kHz/32bit PCMに対応)は要注目だ。一方で機能面の強化はその程度とも言える。もう一つだけ挙げるとすれば、リモコンの操作性が格段に向上したこと。これは間違いなくこれまでで最も使いやすいリモコンだ。
一方、基本的な音質改善策は主なものだけでもDACの変更(ES9016S → ES9026 PRO)、電源トランスの大容量化(前モデル比2倍)、剛性強化(ボトムカバー厚:0.8mm → 1.6mm)など多岐にわたる。
DACの載せ替えでTHD+Nが8dB改善した点は静寂表現に直結するし、電源トランスは3mm厚の真鍮ベースプレートで支えるなど対策が入念だ。いずれもオーディオ機器として本質的な改善策であり、セパレートアンプの長所を活かす方向の改良という点が重要だ。
■セパレート型AVアンプだからこそ追求できるクオリティ
ヤマハのセパレート型AVアンプがモデルチェンジによって最新世代に生まれ変わる。プリアンプは前作(CX-A5100)から3年ぶりのリファインで「CX-A5200」に、パワーアンプはMX-A5000から5年のサイクルで「MX-A5200」にそれぞれ切り替わるが、更新の頻度がプリとパワーで異なるのは、プリの方がデジタル技術変革のスピードが速いことが主な理由だ。2機種同時に切り替わるのは今回が初めてなので、進化の中身に期待が募る。
リファインの具体的な内容を紹介する前にセパレート型の長所を整理しておこう。最大の利点は、筐体を独立させることでプリアンプとパワーアンプそれぞれで最適な設計を行えることで、それはピュアオーディオの高品質なアンプにセパレート型が多いことを見ても明らかだ。AVアンプの場合はプリ部が多様なデジタル信号と映像信号の処理を担うため、増幅回路との干渉を抑えるために様々な対策を施す必要があり、一体型では基板の配置やノイズの管理に神経を使う。一方、セパレート構成の場合はスペースの余裕を活かして設計の自由度を高めたり、左右対称の回路レイアウトで音の純度を追求するなど、高音質設計の基本的なセオリーに沿ったアプローチが可能になる。
パワーアンプのチャンネル構成についてもセパレート型の方が明らかに有利だ。特に11chなどチャンネル数が増えると一体型での設計が一気に難しくなり、入出力端子の配置も制約が大きい。スピーカーの数や配置に合わせてアンプをアサインする機能もセパレート型の方が自由度が高いのはいうまでもない。
冒頭で紹介した柔軟な更新タイミングも長所の一つだ。新しい技術やフォーマットが登場した場合もプリアンプだけ入れ替えてパワーアンプはそのまま使い続けることができ、リソースを無駄なく活用できる。低価格機なら一体型アンプをまるごと入れ替えてもそれほど大きな負担にはならないが、50万円を超えるような高価格モデルの場合はセパレート型の方が長い目で見てコストパフォーマンスが優れているのだ。
■プリはDACが最新世代へ刷新。電源や筐体剛性の強化も
前作からの進化についてはニュース記事(CX-A5200/MX-A5200)でも詳しく紹介されているので、ここではヤマハの方々に伺った話を踏まえつつ、主要なものに絞っておさらいをしておく。
まず基本コンセプトだが、今回は2機種ともアンプとしての基本性能向上に的を絞っており、機能の拡張や追加はそれほど多くない。AVプリアンプ「CX-A5200」の場合、コンテンツのシーンに応じて音場効果をリアルタイム生成する「SURROUND:AI(サラウンドエーアイ)」を一体型モデルに続いて投入したことや、ハイレゾ音源の対応周波数を拡大した点(11.2MHz DSD・384kHz/32bit PCMに対応)は要注目だ。一方で機能面の強化はその程度とも言える。もう一つだけ挙げるとすれば、リモコンの操作性が格段に向上したこと。これは間違いなくこれまでで最も使いやすいリモコンだ。
一方、基本的な音質改善策は主なものだけでもDACの変更(ES9016S → ES9026 PRO)、電源トランスの大容量化(前モデル比2倍)、剛性強化(ボトムカバー厚:0.8mm → 1.6mm)など多岐にわたる。
DACの載せ替えでTHD+Nが8dB改善した点は静寂表現に直結するし、電源トランスは3mm厚の真鍮ベースプレートで支えるなど対策が入念だ。いずれもオーディオ機器として本質的な改善策であり、セパレートアンプの長所を活かす方向の改良という点が重要だ。
次ページステレオ再生ではS/Nの向上やダイナミックレンジの向上を実感