Eシリーズで最も手頃な価格を実現
中学生にも買える「良い音」を。あのfinalが作った2,480円のイヤホン「E1000」レビュー
finalから、エントリーモデル「E1000」が発売された(関連ニュース)。上位機種となる「E2000」とほぼ同じ6.4mmドライバーを搭載しつつ、筐体素材をE2000のアルミから今回はABS樹脂に変えることなどでコストダウン。これによりEシリーズで最も手頃な価格を実現させた本機を、高橋敦氏がレビューする。
■オーディオ体験の入り口となるために
圧倒的コストパフォーマンスでエントリーモデルの基準を再定義した「E3000/E2000」。そしてリケーブル対応を含め進化を果たしたハイエンドモデル「E5000/E4000」。それ自体が高く評価されているだけではなく、それぞれの価格帯やジャンルに大きな衝撃をもたらした、ゲームチェンジャー的なイヤホンだ。
しかしそれらEシリーズのヒットを通して、finalは新たな課題も感じることになったという。E2000/E3000で実現した、実売4,000円/5,500円という価格。それでもまだ、Eシリーズは中高生には手が届きにくい価格帯だったのだ。
高品位な再生によって届けられる音楽の本当の姿に心を揺さぶられる。若き音楽ファンにとってのその経験の入り口になる、さらに手軽な価格の製品を提供したい。新モデル「E1000」はその想いから生み出された製品だ。
finalを展開するS'NEXTの細尾満社長は、「中学生のE2000ユーザーの方から、『友達に勧めたけど“高い”と言われてしまった』との声をもらいハッとした。E2000が今実売4,000円くらいでエントリー機だと我々は考えていたが、自分が中学生だった頃を考えればたしかに4,000円は手軽に買える値段ではないと気づいた」と開発の経緯について語っている。
だからその開発においてはまず、絶対に動かせない条件として実売2,480円という価格設定があった。だが価格ありきでその価格なりの音の製品を作るだけでは意味がない。「これが良いイヤホンで良い音楽を聴くという体験、その素晴らしさです」と伝えられるクオリティの音。それも絶対に動かせない条件だ。
より手頃な価格とそれでも素晴らしい音。それをE3000/E2000を超えるレベルで両立させる。finalが自らに課した命題は容易ではないものだった。だがE1000はそれをクリアしてここに登場したのだ。
■コスト投入ではなくノウハウ投入で磨かれたサウンド
しかし価格を抑えたまま音を良くするなんて都合の良いことは、いったいどのようにして実現されたのだろうか?
答えは「コストを投入するのではなく、これまでの開発で得たノウハウを全力投入!」だ。
例えば「音を良くするために材料費が高く加工も難しい素材を使いました」では当然、製造コストが跳ね上がる。対して「この部品の形を少し変えると少し明るい音にできる」といったノウハウに基づく調整は大きなコストアップにはならない。
そういった小さな調整も積み重ねれば馬鹿にならないものであり、そしてfinalとEシリーズには積み重ねられるだけの蓄積がある。またfinalは40万円弱のフラッグシップヘッドホン「D8000」の開発を経たタイミングでもあり、そこで得たさらなる知見さえもこの2,480円のイヤホンに投入したというから、実に全力だ。
具体的にはまず、これまでは金属製だったイヤホン筐体をABS樹脂に変更することでコストダウン。しかしイヤホンの心臓部、ドライバーはこれまでのモデルとおおよそ共通のものを継承。この価格帯では異例の組み立て精度を誇るこのダイナミック型ドライバーだからこそ、ノウハウに基づく微調整の効果も鋭敏に反映されるのだろう。
筐体素材の変更はもちろん音に影響する。だがそうであれば、その変化を受け入れた上でそれを前提としたトータルチューニングを行えばよい。実際のサウンドの印象については後述するが、このモデルならではの個性も感じさせつつ、それでもfinalのEシリーズの音、このシリーズとして納得のクオリティだ。
「高域に強調を作ることでぱっと聞いた感じの鮮やかさを演出するのではなく、滑らかな周波数特性によってすべての帯域の音をしっかりと届ける」という同社の音作りは健在。その上でシリーズの中でも明快、明るく軽やかな表現を感じさせる仕上がりとなっている。
ケーブルを耳の下に垂らすスタイルでも、耳の上に回すスタイルでも、どちらでも装着できる円筒型筐体、SS/S/M/L/LLと5サイズ付属するイヤーピース、そのイヤーピースが耳の穴の向きに合わせてスイングしてフィットしてくれる仕組みなど、使い心地の面でのシリーズの特長も当然継承している。
■オーディオ体験の入り口となるために
圧倒的コストパフォーマンスでエントリーモデルの基準を再定義した「E3000/E2000」。そしてリケーブル対応を含め進化を果たしたハイエンドモデル「E5000/E4000」。それ自体が高く評価されているだけではなく、それぞれの価格帯やジャンルに大きな衝撃をもたらした、ゲームチェンジャー的なイヤホンだ。
しかしそれらEシリーズのヒットを通して、finalは新たな課題も感じることになったという。E2000/E3000で実現した、実売4,000円/5,500円という価格。それでもまだ、Eシリーズは中高生には手が届きにくい価格帯だったのだ。
高品位な再生によって届けられる音楽の本当の姿に心を揺さぶられる。若き音楽ファンにとってのその経験の入り口になる、さらに手軽な価格の製品を提供したい。新モデル「E1000」はその想いから生み出された製品だ。
finalを展開するS'NEXTの細尾満社長は、「中学生のE2000ユーザーの方から、『友達に勧めたけど“高い”と言われてしまった』との声をもらいハッとした。E2000が今実売4,000円くらいでエントリー機だと我々は考えていたが、自分が中学生だった頃を考えればたしかに4,000円は手軽に買える値段ではないと気づいた」と開発の経緯について語っている。
だからその開発においてはまず、絶対に動かせない条件として実売2,480円という価格設定があった。だが価格ありきでその価格なりの音の製品を作るだけでは意味がない。「これが良いイヤホンで良い音楽を聴くという体験、その素晴らしさです」と伝えられるクオリティの音。それも絶対に動かせない条件だ。
より手頃な価格とそれでも素晴らしい音。それをE3000/E2000を超えるレベルで両立させる。finalが自らに課した命題は容易ではないものだった。だがE1000はそれをクリアしてここに登場したのだ。
■コスト投入ではなくノウハウ投入で磨かれたサウンド
しかし価格を抑えたまま音を良くするなんて都合の良いことは、いったいどのようにして実現されたのだろうか?
答えは「コストを投入するのではなく、これまでの開発で得たノウハウを全力投入!」だ。
例えば「音を良くするために材料費が高く加工も難しい素材を使いました」では当然、製造コストが跳ね上がる。対して「この部品の形を少し変えると少し明るい音にできる」といったノウハウに基づく調整は大きなコストアップにはならない。
そういった小さな調整も積み重ねれば馬鹿にならないものであり、そしてfinalとEシリーズには積み重ねられるだけの蓄積がある。またfinalは40万円弱のフラッグシップヘッドホン「D8000」の開発を経たタイミングでもあり、そこで得たさらなる知見さえもこの2,480円のイヤホンに投入したというから、実に全力だ。
具体的にはまず、これまでは金属製だったイヤホン筐体をABS樹脂に変更することでコストダウン。しかしイヤホンの心臓部、ドライバーはこれまでのモデルとおおよそ共通のものを継承。この価格帯では異例の組み立て精度を誇るこのダイナミック型ドライバーだからこそ、ノウハウに基づく微調整の効果も鋭敏に反映されるのだろう。
筐体素材の変更はもちろん音に影響する。だがそうであれば、その変化を受け入れた上でそれを前提としたトータルチューニングを行えばよい。実際のサウンドの印象については後述するが、このモデルならではの個性も感じさせつつ、それでもfinalのEシリーズの音、このシリーズとして納得のクオリティだ。
「高域に強調を作ることでぱっと聞いた感じの鮮やかさを演出するのではなく、滑らかな周波数特性によってすべての帯域の音をしっかりと届ける」という同社の音作りは健在。その上でシリーズの中でも明快、明るく軽やかな表現を感じさせる仕上がりとなっている。
ケーブルを耳の下に垂らすスタイルでも、耳の上に回すスタイルでも、どちらでも装着できる円筒型筐体、SS/S/M/L/LLと5サイズ付属するイヤーピース、そのイヤーピースが耳の穴の向きに合わせてスイングしてフィットしてくれる仕組みなど、使い心地の面でのシリーズの特長も当然継承している。