旗艦UHD BDプレーヤー
パイオニア「UDP-LX800」画質レビュー。前人未踏のS/Nで4K映像のリアリティを余さず引き出す
また、トップパネルに1mm厚の黒色鋼板、サイドパネルに制振性に優れたアルミ材、さらにボトムパネルに1.6mm厚と3mm厚の鋼板を重ねるなど、重量級の部材による徹底した高剛性化と低重心化が図られた点も見逃せない。
ドライブユニットは、制振黒塗装を施したハニカム・メカカバーの鋼板ケースに収められている。UHD BDはBDよりも高速回転となるため、振動を起こしやすいのだが、鋼板の重量によるダンプと、ハニカム加工による定在波の抑制など、長年に渡るプレーヤー開発のノウハウが息づいているのがわかる。
加えて、ディスク回転に伴う振動を外部に伝達させない「アコースティックダンパートレイ」による静粛さ、ダンパーを介してドライブユニットをシャーシからフローティングしたことによる無共振化も、ノイズレスの画質に一役買っている。
■生の情報を大切にしつつも、視聴環境に適した映像調整ができる
プレーヤーの設計思想を大別すると、ディスクに収録されている情報を一切加工せずに出力する方向と、ディスプレイや使用環境に応じてより適切な設定を行なう方向の2通りがある。UDP-LX800はその双方の考え方をいい按配でバランスよく捉えたものだ。
映像調整のパラメーターは、「明るさ」や「コントラスト」、「色合い」といった一般的なイコライジング項目だけでなく、「HDR-SDR Adj.」という設定もある。これは、組み合せるディスプレイの能力に応じて最大輝度値を設定するもの。デフォルトは<300>だが、<100〜700>まで100ステップで可変できる。これを的確に使いこなすには、自分が使っているディスプレイ(テレビまたはプロジェクター)のスペックを知っておくのが賢明だ。
また、「テレビタイプ」として、液晶や有機EL、あるいはプロジェクターなど、ディスプレイの種類に適した画質設定のプリセット・モードを備える。映像信号処理を最も控えめにし、ディスクの情報を素に近い状態で出力するモードが「リファレンス」で、これがデフォルトである。
リモコンの操作によって画面にディスクの情報やHDRの最大輝度レベル/平均輝度レベルなどが表示できるのもセールスポイント。これらのマスタリング情報を確認することが各種画質設定の一助となるだろう。
■優れた精細感と色彩。UHD BDの豊かな情報量が一層引き立つ
今回の視聴では、本体の「DIRECT/TRANSPORT」ボタンを押して「TRANSPORT」モードを選択し、画質設定は「リファレンス」とした。再生したコンテンツは、すべてUHD BDである。
始めに総括的な評価を記すことになるが、UDP-LX800はコンテンツの情報量が多ければ多いほど、すなわち高品位であればあるほど、その魅力を存分に発揮してくれる。さほど高画質でないコンテンツはそれなりに、という感じだが、画質優秀なコンテンツでは、まさに目を見張る、驚くべきハイレゾリューションと豊かな色彩を提示してくれるのだ。