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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域:第226回

AirPodsのそっくりさん、買ってもOK? あなたの知らない “エセPods” の世界

公開日 2019/02/20 06:00 高橋 敦
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さあ……瀕死だぜ。ヤバいぜエセPodsサウンド!

どれもAirPodsをパク……リスペクトしているのに、どれも妙に個性的なエセPods。ならばそのサウンドも個性的なはず!検証していこう。

まずはマシPods。試聴した悠木碧さん「トコワカノクニ」収録曲は、声だけの多重録音というその音作りからなのか、Bluetooth伝送との相性が非常に悪く、作りの甘いBluetoothイヤホンでは明らかにノイズ混じりの再生となる、「Bluetooth殺し音源」だ。

そしてこのマシPods、僕の試聴史上かつて例を見ないほどの殺されっぷりだ!瀕死だぜ!声が荒くざらざらざらついており、全体にいやラジオじゃないんだからという程にじりじりとノイジー。他の普通の曲も背景までノイズ混じりになってしまい、音質評価などというレベルに達していない。

……なるほど。これは「近頃の音源やオーディオ機器はクリアすぎて味わいが無いんだよなあ」的な物足りなさを感じているユーザーに向けて、雑味をあえて強めた尖ったチューニングということかもしれない。ターゲットはradiko.jpに「こんなノイズレスなのはラジオじゃない!」とお嘆きのラジオリスナーあたりか。

続いてスケPods。まず朗報だ。このイヤホンは悠木碧さんに殺されない!そもそもノイジーではないし、モワ……ソフトな音調のおかげもあってか、ノイズ感を目立たせない。

サウンドとしては、そのソフトなハイエンドに加えて、ローエンドも伸びずナロウレンジ。ボーカルも少しこもった感触だ。しかし聴き疲れなさそうな柔らかさにまとめられており、これはこれでありなんじゃなかろうかという気もする。ただ本家譲りの遮音性の低さとこのソフトな音調が合わさると、屋外騒音下ではちょっと聴き取りにくさいことは否めないが。

……なるほど。これは本家よりもさらにライトに超BGM的に、むしろ全く目立たないくらいの感じで、屋外で音楽に「何となく流れていてほしい」というユーザーを狙っているのかもしれない。本家のその特徴に注目して、そこをブーストしてくるとは見事な視点、見事なリスペクトだ。

そしてデカPods。こちらは他より明らかに大柄なので、そのデカさが物理的な優位として働くはずの音質面では期待が持て……

まず異能「Bt殺し」を持つ悠木碧さん音源との相性だが……瀕死だ。マシPodsと同レベルに瀕死だ。またケースの中身と同様に、低音がスカッと抜けていて相対的に高域が目立つので、他の曲でもサーッという背景ノイズが気になりやすい。こちらも音質がどうとかいうレベルに達していない。デカくて音がコレってどういうことなのだろうか……

……なるほど。これは今日はたまたま調子が悪いのだろう。そんな日もある。Appleだって1990年代前半あたりはいつ潰れたり買収されたりしてもおかしくないくらい瀕死だった。そんな日もある。

というわけで今回とりあげた「エセPods」達だが、どの製品においても、外観も使い勝手もサウンドも、それぞれの主張を強く感じさせるものとなっていた。それはもう本当に。その個性を把握した上であなたがエセPodsを選ぶのであれば……
うん うん それもまた オーディオだね。

最後に。
ペアリングはどれも普通に「イヤホン本体のボタンを長押し」で行えたのだが、なぜかどれもやたらと派手に点滅しまくった。夜間に遭難した際などに思い出していただければと思う。

Bluetoothのペアリングはイヤホン本体ボタンを長押し…なんだけど!!!なにこれ!ビッカビカ!!!!

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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