シリーズ4機種をステレオ再生でレビュー
ディナウディオのスピーカーには、なぜ心に響く浸透力があるのか。最新モデル「Evoke」を聴いてわかったこと
■Cerotarトゥイーターをはじめ最新ユニットを搭載
Evoke のトピックとして、高域ユニットに最新のCerotarトゥイーターが初めて搭載されたことが挙げられる。これは、創立40周年記念モデル「Special Forty」に搭載されたEsotar fortyトゥイーターと、2019年登場予定の同社ハイエンドライン「Confidence」に用いられるEstar3をベースとした、まったく新しいトゥイーターである。
大きな特徴は、28mmソフト・ドーム振動板の内側に、微細な凹凸をもった樹脂製のHexisインナードームを配置していることだ。これは、ドーム振動板の背圧と気流を均等に振動板背後に送り込み、周波数応答特性を滑らかにすると同時に、不要共振を激減させることに貢献する。これにより、振動板レスポンスと解像度をより高めることができる。また、磁気回路には炭酸ストロンチウム・フェライトとセラミック磁石が使用され、微細な信号においても、従来以上に高い感度が得られるようになっている。
ミッドレンジとウーファーには、冒頭でも紹介した通り、同社が創立以来大切に昇華させてきた、お家芸のMSPを使用した振動板を採用。Evoke 10/30の14cmウーファーは、最新のサラウンド・エッジと改良されたフェライト・マグネット磁気回路を搭載。低域のみならず、優れた中域特性を維持し、周波数応答特性、低周波数ダイナミクスを拡張させたとのことだ。また、Evoke 20、50の18cmウーファーは、同社のContourとConfidenceの技術を踏襲し、過去にない低周波数ダイナミクスと高い応答特性を実現したとのことだ。
さらにEvoke 50のミッドレンジ・ユニットは、多くのファンから高い評価を得たContour 60のミッドレンジ・ユニットの技術から派生したものであり、強力なネオジウムマグネットの磁気回路とアルミボイスなどの軽量素材が採用されている。このように、今回もトゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーの特性を向上させているのである。
■高感度・高解像度でありながら刺激感のない、いつまでも聴いていたくなる音
Evoke シリーズの4モデルを試聴し、共通して感じることは、ユニットの広帯域化および高速レスポンス化を実現し、高い感度特性、解像度特性を身につけながらも、けっして刺激のある音圧や左右からの鋭利な音の直線性、固有音を発しないことである。いつまでも聴いていたくなる、心に響く音、浸透力のある音を達成しているように思える。
例えばクラシックの大音圧の旋律を再生した場合、十分な量感でありつつも、コンサートをベストポジションで聴くように自然な音圧で、そこに少しキャビネットの木質感がブレンドされたかのような、きめ細かで温かみのある音調を感じるのである。
まず最初に、一番スモールサイズのEvoke 10を聴いてみると、このサイズとは思えない中低域の厚みがある。おそらく同社は、現在のハイエンドスピーカーの主流といえるキャビネットの振動を徹底して低減する技術とは真逆の、キャビネットの響きを活かして、なおかつバスレフポートの力も使うアプローチをとっている。それゆえこのサイズにして、量感たっぷりの低音を実現しているようである。
これに合わせ、刺激が皆無で、透明度が高く開放的な高域も再現している。私のリファレンスであるホフ・アンサンブル「Quiet Winter Night」を再生すると、女性ヴォーカルの輪郭に柔らかな質感を加え、鈴のようなパーカッションに繊細で柔らかな響きを加えてくれる。従って、ピアノの一音一音の余韻も豊富になり、ベースやバスドラムの響きも、このサイズながらステージに大きく再現する。しかし、決して解像度を失わず、自然なプレゼンスを再現するところに好感をもった。
驚いたのは、通常の音量レベルで、リサ・パティアシュヴィリのプロコフィエフの「騎士たちの踊り」冒頭のグランカッサの打音を朗々と鳴らしたことだ。歪みを感じさせないので、ヴァイオリン・ソロや弦楽パートの響きがにじむこともない。まさに圧巻! マイルス・ディヴィスの「highlight from the plagged nickel」においても、大音量では難しいが、通常音量なら、トランペットとテナーサックスの音の鮮度や重厚感を失わず、ドラムスやシンバルの連打を、存分に楽しむことができる。
次にひと回り大きい「Evoke 20」と切り替えた。音質としてはEvoke 10と同様であるものの、読者もおそらく想像がつくと思うが、ウーファー口径が14cmから18cmに拡張した分、中低域の量感が増し、ピラミッド型バランスの音へと変化する。両モデルともに、ネットワーク回路も相当高品位なものを用いることで、この音色を探ったことが推察される。
Evoke のトピックとして、高域ユニットに最新のCerotarトゥイーターが初めて搭載されたことが挙げられる。これは、創立40周年記念モデル「Special Forty」に搭載されたEsotar fortyトゥイーターと、2019年登場予定の同社ハイエンドライン「Confidence」に用いられるEstar3をベースとした、まったく新しいトゥイーターである。
大きな特徴は、28mmソフト・ドーム振動板の内側に、微細な凹凸をもった樹脂製のHexisインナードームを配置していることだ。これは、ドーム振動板の背圧と気流を均等に振動板背後に送り込み、周波数応答特性を滑らかにすると同時に、不要共振を激減させることに貢献する。これにより、振動板レスポンスと解像度をより高めることができる。また、磁気回路には炭酸ストロンチウム・フェライトとセラミック磁石が使用され、微細な信号においても、従来以上に高い感度が得られるようになっている。
ミッドレンジとウーファーには、冒頭でも紹介した通り、同社が創立以来大切に昇華させてきた、お家芸のMSPを使用した振動板を採用。Evoke 10/30の14cmウーファーは、最新のサラウンド・エッジと改良されたフェライト・マグネット磁気回路を搭載。低域のみならず、優れた中域特性を維持し、周波数応答特性、低周波数ダイナミクスを拡張させたとのことだ。また、Evoke 20、50の18cmウーファーは、同社のContourとConfidenceの技術を踏襲し、過去にない低周波数ダイナミクスと高い応答特性を実現したとのことだ。
さらにEvoke 50のミッドレンジ・ユニットは、多くのファンから高い評価を得たContour 60のミッドレンジ・ユニットの技術から派生したものであり、強力なネオジウムマグネットの磁気回路とアルミボイスなどの軽量素材が採用されている。このように、今回もトゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーの特性を向上させているのである。
■高感度・高解像度でありながら刺激感のない、いつまでも聴いていたくなる音
Evoke シリーズの4モデルを試聴し、共通して感じることは、ユニットの広帯域化および高速レスポンス化を実現し、高い感度特性、解像度特性を身につけながらも、けっして刺激のある音圧や左右からの鋭利な音の直線性、固有音を発しないことである。いつまでも聴いていたくなる、心に響く音、浸透力のある音を達成しているように思える。
例えばクラシックの大音圧の旋律を再生した場合、十分な量感でありつつも、コンサートをベストポジションで聴くように自然な音圧で、そこに少しキャビネットの木質感がブレンドされたかのような、きめ細かで温かみのある音調を感じるのである。
まず最初に、一番スモールサイズのEvoke 10を聴いてみると、このサイズとは思えない中低域の厚みがある。おそらく同社は、現在のハイエンドスピーカーの主流といえるキャビネットの振動を徹底して低減する技術とは真逆の、キャビネットの響きを活かして、なおかつバスレフポートの力も使うアプローチをとっている。それゆえこのサイズにして、量感たっぷりの低音を実現しているようである。
これに合わせ、刺激が皆無で、透明度が高く開放的な高域も再現している。私のリファレンスであるホフ・アンサンブル「Quiet Winter Night」を再生すると、女性ヴォーカルの輪郭に柔らかな質感を加え、鈴のようなパーカッションに繊細で柔らかな響きを加えてくれる。従って、ピアノの一音一音の余韻も豊富になり、ベースやバスドラムの響きも、このサイズながらステージに大きく再現する。しかし、決して解像度を失わず、自然なプレゼンスを再現するところに好感をもった。
驚いたのは、通常の音量レベルで、リサ・パティアシュヴィリのプロコフィエフの「騎士たちの踊り」冒頭のグランカッサの打音を朗々と鳴らしたことだ。歪みを感じさせないので、ヴァイオリン・ソロや弦楽パートの響きがにじむこともない。まさに圧巻! マイルス・ディヴィスの「highlight from the plagged nickel」においても、大音量では難しいが、通常音量なら、トランペットとテナーサックスの音の鮮度や重厚感を失わず、ドラムスやシンバルの連打を、存分に楽しむことができる。
次にひと回り大きい「Evoke 20」と切り替えた。音質としてはEvoke 10と同様であるものの、読者もおそらく想像がつくと思うが、ウーファー口径が14cmから18cmに拡張した分、中低域の量感が増し、ピラミッド型バランスの音へと変化する。両モデルともに、ネットワーク回路も相当高品位なものを用いることで、この音色を探ったことが推察される。