<山本敦のAV進化論 第175回>
ソニー「Xperia 1」は “音” もすごい、完全ワイヤレスが途切れない! ドルビーアトモスも最高の仕上がり
TWS Plusで接続している時には、BluetoothオーディオのコーデックはaptXがデフォルトになり、それ以外のコーデックは使えなくなる。クアルコムではTWS Plusの接続性能の向上について、アーキテクチャーの進化、あるいはaptXコーデックがもともと備えているアドバンテージだけに頼らず、SoCの無線フロントエンド回路やBluetoothソフトウェアのブラッシュアップも含めてトータルで実現していると説明している。
スマホとイヤホン間のBluetooth伝送の遅延については、TWS Plus技術よりも音声コーデックに依存するところが大きいので、体験としては通常とTWS Plusの場合とで目立った変化はないように感じた。いずれにせよ、Xperia 1とTE-D01dによる組み合わせで動画を再生してみても、役者の口元の動きと音が美しく同期してストレスのない視聴が楽しめた。ゲームについても、「スーパーマリオ ラン」を遊んでみた限りでは音のズレは気にならなかった。ただしピアノ系の楽器アプリを試してみると、どうしても遅延は感じられる。音モノのゲームやアプリでシビアに出音のタイミングを追求するのであれば、やはり有線イヤホン・ヘッドホンがおすすめだ。
TWS Plus技術が完全ワイヤレスイヤホンにもたらすメリットは、イヤホン側に搭載されるバッテリーの容量が従来と同じだったとしても、より長い駆動時間を確保できるところにも現れそうだ。今後はクアルコムのQCCシリーズのSoCを搭載して、イヤホン単体で9〜10時間のバッテリーライフを実現した製品が一気に増えるかもしれない。
TWS Plusの実装については、プレーヤー機器側にSnapdragon 855 Mobile Platformが載っていることと、イヤホン側にSoC「QCC51xx」シリーズ、または「QCC302x」シリーズが搭載されていることが条件になるが、その方法については各社が自由に決められるようだ。例えばペアリングにNFCや専用アプリを併用することもできるし、もしかするとTWS Plusで接続していることをアプリに表示したり、音声ガイダンスで知らせて差別化を図る完全ワイヤレスイヤホンも登場するかもしれない。Snapdragon 855を搭載するスマホはこの夏以降に続々と登場するはずなので、今後はスマホ側、イヤホン側の個別の対応状況にも注目していきたい。
■サイドセンスもカスタマイズすると便利
Xperia 1には、2018年秋に発売されたXperia XZ3に続いて「サイドセンス」が搭載されている。AIとディープラーニングの技術を採り入れた新しいユーザーインターフェースだ。スマホの画面左右のエッジを軽くダブルタップすると、その位置によく使うアプリや設定メニューへのショートカットが表示できるという便利な機能である。
このサイドセンスの画面には頻繁に使うアプリが全8件、最大7日間にユーザーが機器の使用した状況から判断して使用頻度の高いアプリが並ぶ。でも、実はここに表示するアプリはサイドセンスの設定メニューから、最大8件をユーザーが自由に選ぶこともできる。HF PlayerやSpotifyなど音楽系アプリをここに集中させておけば、音楽を聴くモードに素速くスイッチできて快適だ。
■国内発売が待ち遠しいプレミアムスマホ
縦に長い21対9のディスプレイも、使いはじめた頃は長さを持て余すかとも思ったが、実際には操作性は想像以上に快適ですぐに馴染めた。Spotifyを開くとアーティストやアルバムのリストが縦に長く表示されて、通常よりも多くの情報量が詰まっている感じが楽しく、そして見やすい。
4K有機ELディスプレイの発色や明るさの表現はとても素直で深みもある。今後は本機のアスペクト比に合わせた没入感の高い映像コンテンツがNetflix等のプロバイダーから登場するというから楽しみだ。
国内でどのキャリアがいつ頃、どれぐらいの価格でXperia 1を発表するのか、間もなく明らかになるだろう。発表を期待して待ちたい。国内版のローンチ後、また機会を見つけてXperia 1の映像やカメラの実力もチェックしたいと考えている。
(山本 敦)