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Jubilee 300B、AirForce Zeroなど

独HIGH ENDで聴いた「特別な音」<1> レコードプレーヤー/真空管アンプ注目新製品の音質をレポート

公開日 2019/06/05 06:15 山之内 正
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LINNのSelekt DSMシリーズとLP12の組合せは、スペースオプティマイゼーションの威力もうかがえるサウンドを奏でていた

レコードから質感の高い低音を引き出していた例を紹介しよう。ミュンヘンで久々にブースを構えたLINN(リン)のデモンストレーションである。同社が前回参加したときはLP12のアップグレード部品を中心にした展示だったと思うが、今回は昨秋に登場したSelekt DSMシリーズが主役で、デモの音源もネットワーク再生が中心を占めていた。

一方、DACのグレードによる音の違いなどを紹介したあとでLP12とSelekt DSMの組み合わせに切り替えて、モンティ・アレキサンダー「Montreux Alexander」のレコードを再生。ピアノの鮮鋭なタッチと力強い浸透力、ベースの強靭なリズムなど、呆れるほど鮮度の高いサウンドが聴けた。おなじみの録音だが、LP12、Selekt DSMとKEFのスピーカーの組み合わせで鳴らした音は沸き立つようパッションとクリアな粒立ち感があり、良い意味で耳を強く刺激。この抜けの良さの一因が、進化したスペース・オプティマイゼーションにあるのは間違いない。同じような構造のブースが並ぶなか、リンのリスニングルームは低音が淀むことなく、スムーズに動いていたからだ。


ヤマハは以前からHIGH ENDへの出展を準備していたようだが、会場の都合などもあり、これまで実現していなかった。5000シリーズが出揃う今年は満を持してホール会場に広めのスペースを確保し、本格的なリスニングルームを設営。今秋の発売が予定されているレコードプレーヤー「GT-5000」をセッティングし、レコード再生に重点を置いたプレゼンテーションを行った。

ヤマハは日本では今年11月の発売を予定しているレコードプレーヤー「GT-5000」をアピール

ドイツにはヤマハのファンや愛用者が多く、ホームシアターだけでなく、歴史を重ねたピュアオーディオのブランドとしていまも注目度は高い。それだけにGT-5000への期待は大きいようで、モーターやアームの仕様を質問する来場者が少なくなかったという。

GT-5000で再生したヴォーカルは声の音域に伸びやかさとなめらかさがあり、ハーモニーの柔らかさが印象的だった。スピーカーシステム「NS-5000」を単独で聴いたときやプリアンプ「C-5000」とパワーアンプ「M-5000」の音は反応の良さや鮮鋭な音調に感心させられたが、GT-5000を組み合わせたシステム全体のサウンドは響きの柔らかさやヴォーカルのぬくもりが伝わり、日本国内での試聴とは少し違う印象を受けた。部屋のチューニングも含め、いくつか要因がありそうだが、いずれにしてもGT-5000は発売が待ち遠しいコンポーネントの代表格だ。

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