「Zero Chill」「Hang Up」も
全米No.1ヒットを独占!JAM Audioの主力ワイヤレススピーカー「Chill Out」など3機種一斉レビュー
早速、米津玄師の『Lemon』から音楽を流してみる。スピーカーユニットが上向きについているのだが、ちょうどその真上に、軽やかに音楽が広がる。ボーカルの帯域に厚みがあり、音楽全体がバランスよく拡散する。
宇多田ヒカルの『あなた』では、ボーカルがやはりスッと立ち上がり、歌う姿が目に浮かぶような立体的な音の広がりで聴かせてくれる。低音の押し出しはあまり強くないものの、メリハリはしっかりと出ていて、J-POPなどを聴くにはちょうどいいバランスだ。
映画『ラ・ラ・ランド』より「アナザー・デイ・オブ・サン」を聴くと、軽やかに響くジャズの演奏を背景に、明瞭に浮かび上がるボーカルのバランスが良い。手軽に持ち出せるポータブルBluetoothスピーカーを探している人にとっては、音質というポイントからも有力な選択肢になるはずだ。
■充電ケーブルを本体底に収納できる中型モデル「Zero Chill」
JAM Audioが展開するワイヤレススピーカーで、最もサイズの大きなモデルが「ZERO Chill」。本体サイズは74×74×168mmで、質量は490g。一見するとよく見かける円筒形のワイヤレススピーカーのようだが、天面がやや抉られたような形になっていて独特の存在感を醸し出しているところがJAM Audioらしい。
Zero Chillも、スピーカーの底面にあたる箇所にラバー製のフタが取り付けられていて、こちらもChill Out同様、中には充電ケーブルが収納されている。また、microUSBとAUX端子も同じく蓋の中にあり、IP67の防塵防水に対応している。「Chill」シリーズの特徴的な要素である。
一点注意したいのは、購入直後のスピーカー底のフタが非常に硬く密閉されていることだ。フタを開ける際のハンドルにあたる部分もあるので、そこをつまんで強く引っ張ればフタが開く。
Bluetoothスピーカーとしてのスペックは、Bluetoothバージョン4.2で、コーデックはSBCに対応。内蔵アンプは12W、連続再生は22時間とバッテリー駆動時間は十分すぎるほどに確保されている。
スマホとペアリングして試聴を開始。ボーカルの帯域にパワーバランスを集中させたサウンドチューンといえる。
スピーカーの外見から360度サウンドを鳴らすタイプに見えるが、天面の低くなっている方向を正面としてスピーカーユニットが内蔵されていて、音の指向性ははっきりとしている。
中高域にフォーカスしたチューニングでしっかりと声を聴かせてくれるので、米津玄師「Lemon」のように、ボーカルメインの楽曲の鳴りっぷりは特に気持ち良い。楽器のなりやややドライな印象だが、素直な音の広がりを見せる。
宇多田ヒカル『あなた』のボーカルも、明るく存在感たっぷりに届けてくれる。低音の量感は欲張りすぎず、一方で音階はかなり下の帯域まできちんと聴き取ることができる。
「アナザー・デイ・オブ・サン」では、やはりボーカルにフォーカスしたサウンドで、楽器による演奏は軽やかかつドライな質感だ。中型サイズのBluetotohスピーカーで歌声にフォーカスしたモデルというのは、低域志向が鮮明な米国のブランドとしては珍しく感じるが、それだけに日本の楽曲と相性も良く、ふだん使いでも気楽に音楽を味わえるワイヤレススピーカーと言える。