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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第231回】64800円、でもコスパ抜群!?リケーブルDITA「OSLO cable」は便利な“だけ”じゃない

公開日 2019/06/25 06:00 高橋 敦
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ストレートなイヤホンに湿度感のある響きを与えてくれる

音の変化の傾向だが、様々なタイプのイヤホンとの組み合わせ、標準付属品を含む様々なタイプのケーブルとの比較を試してみての印象としては、平均的な音作りのイヤホンケーブルに対して、「ウェットな湿度感」「豊富な粒子感」という二点が、このケーブルがサウンドにもたらす要素として大きなポイントになると思う。

これは特に良い! と思わされたのはShure「SE846」との組み合わせだった。こちらのイヤホンは、同社イヤホンの中ではオーディオライクなサウンドだが、それでも基本的にはプロオーディオメーカーがプロのモニター用途をターゲットに設計した製品。飾り気の多すぎないすっきりとしたサウンドを備えている。

同じくクリアシェルなイヤホンとはルックスの相性もやはり良い

そこにこのOSLO cableを組み合わせると、音色の輪郭やその背景のすっきりとしていた余白に、よくほぐれた粒子感が生まれてくる。そしてその粒子は心地良いしっとり感を備えており、音色にも全体にも滑らかな潤いを与えてくれるのだ。

…とだけ書くと「それって代わりに音の鋭さや抜けは鈍ってしまうのでは?」という不安もあるだろう。しかしそんなこともなく、このイヤホンらしいすっとクリアな抜けや広がりもキープされているから嬉しい。

相性の合う合わないが分かりやすかった例としては、finalの同シリーズ「E4000」「E5000」との組み合わせ。イヤホン自体のサウンドがすっきり系なE4000とOLSOの組み合わせの相性は良好だ。846と同じく、イヤホンの個性を生かしつつケーブルの個性も上乗せされ、「クリアでいて豊か」と言いたくなるようなコンビネーションを聴かせてくれる。

一方そもそもイヤホン自体がしっとり系なE5000とOLSOの組み合わせは、リケーブルの効果が小幅になって分かりにくい。イヤホン自体の湿度感や粒子感がそもそも豊かなので、ケーブルでの上乗せ分がわかりにくいのだ。それにそこは元から十分なのだから上乗せは必要ない、と感じる方も少なからずだろう。

この音にハマる方には絶大なコスパをもたらす!

仕様や音質傾向を確認するに、OSLO cableは機能性の面では汎用的で万能性に優れつつ、音の傾向としてはユーザーの好みやイヤホンとの相性も出やすそうなタイプかもしれない。

しかし、そこはリケーブルとして欠点というわけではない。例えば「どのイヤホンと組み合わせてもそのイヤホンの音を変えることなく、レベルを全体的に引き上げてくれるリケーブル」は、もちろん使いやすい。

だが、このOSLO cableのように分かりやすい個性を備えたケーブルも、全体的にではなく狙いを絞って「このイヤホンの音のこの部分を、もう少しこう調整できたら最高…!」といったように、ピンポイントで音質調整したい時には大活躍してくれる。ハマったときの効果は絶大だ。

そしてこの音にハマったのならば長らく使い続けたくなるわけだが、このケーブルは実際、プラグ交換システムのおかげで、DAPを買い替えたりしてもケーブルはずっと使い続けられるわけだ。そして使い続ければ使い続けるほどコスパ的にはどんどんお得になっていく。

例えば5年間使い続けたとしたら、、、
6万5000円÷60ヶ月=月額約1,083円!

サブスク音楽配信と同じ程度の出費にすぎない。それでそのケーブルを使って何回でも音楽を聴き続けられるのだから実質無料と言って差し支えないだろう。差し支えないだろう。

ただ、僕自身もこのケーブルは機能性も音もとても気に入ったのだが、悩ましいのはイヤホン側の端子。このケーブルは長期的コスパに優れている。しかし僕には「MMCXも2pinもFitEarもぜんぶ買うー!」なんて短期的資金はないのだ……。

まあ僕の悩みはさておき。長く使用できるリケーブルをお探しの方にはぜひチェックしてみていただきたい一本だ。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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