[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第234回】FOSTEXの完全ワイヤレスイヤホン?レシーバー?「TM2」を徹底検証!
■TM2本体のみで10時間再生!接続安定性も問題なし
もちろん、ケースがバッテリー搭載で外でもいつでも充電出来ればもっと便利だろう。だが、その場合ケースがさらにでかく重くなっていたことだろう。また、このケースは「スペースないから無理!無理ったら無理!」と匙を投げて、実用性を切り捨ててのバッテリー非搭載ではない。必要十分な実用性は確保できるからこそ出来た決断なのだ。
なぜならこちらのイヤホン(というかワイヤレスレシーバー)、単体で最大約10時間の連続再生が可能。「Bluetoothイヤホンとして長くはないが短くもないレベル」を単体で確保しているのだ。理由としては、Qualcomm最新チップ「QCC3026」の採用、それによるロールスワッピング機能などもあるだろう。さらにそのおかげか、接続安定性も十分に確保されている。
今回「夕刻に秋葉原駅周辺の徒歩から総武線で新宿を通過して田村ゆかりさんライブ会場の中野サンプラザまで」という区間で音楽再生を続けてみたが、気になるような音切れは発生しなかった。「都心路線のラッシュ時」「渋谷の交差点や新宿の歌舞伎町のような超繁華街」などの特に過酷な条件でなければ、音切れが気になることはさほど起きないだろうと思う。
■フィット調整もボリューム調整もおおよそ良好!
続いて、純正コンビ以外にも様々なイヤホンを接続して装着感や使い勝手を確かめてみる。装着感はどの組み合わせでも総じて、「慣れは必要そうだがコツを掴めば問題なさそう」といった感触。完全ワイヤレスにしては少し面倒だが、耳掛けスタイルのイヤホンとしては納得の感覚だ。
フレキシブル・ショート・ケーブルは、ワイヤー入りのケーブル同様、耳掛け周りの曲げ具合や角度をぐにぐにと調整できる。なのでハンガー部分がしっかりと耳にかかるように合わせればOK。うまく調整しないと装着が安定しない上に、耳から浮いてしまったハンガー部分が歩いた振動でびよんびよんと揺れ、その揺れがノイズとなったりする。
イヤホンとの相性でもうひとつ気になるのは、高感度イヤホンと組み合わせた場合の音量調整周り。例えばステージモニター系イヤホンには高感度かつ高遮音性なモデルも多く、組み合わせるアンプの出力が強い&音量調整のステップが大きいと、最小音量付近でもうるさすぎたり、細かな調整が難しいこともある。バックグラウンドノイズも目立ちやすい。
今回は高感度高遮音性イヤモニの代表、Shure「SE535」でチェックした。まず音量調整は問題なし。iPhone側ボリューム表示で最小付近の1〜4目盛りあたりでも滑らかに音量調整できた。また「サー」というバックグラウンドノイズも「静かな室内で音楽を再生していない時や静かな曲を再生している時には聞こえる」という程度。筆者は不快にまでは感じなかった。SE535でこれなら、他の多くのイヤホンでも大きな問題はないだろう。
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