<山本敦のAV進化論 第180回>
別格の高画質&高機能! はじめてのプロジェクターにオススメ、エプソン「EF-100」を試す
映像モードはダイナミック/ブライトシネマ/ナチュラル/シネマの4種類から選べる。視聴コンテンツに合わせて本体天面のボタン、またはリモコンからモードを切り替える。
明るさは最大2,000ルーメンを確保しているので、明るいリビングルームなどで映像を見る場合でも、陽避けのカーテンを引いて少し暗くすれば、十分に明るく色鮮やかな映像が楽しめる。
Netflixオリジナルアニメ『DEVILMAN crybaby』を視聴した。最も明るいダイナミックモードを選択しても明暗のバランスが崩れず、ナチュラルな色合いを保ったまま活き活きとした映像が見られる。ギラつきや脚色のない、実用的なバランスのダイナミックモードに仕上げたエプソンの経験値に脱帽した。
被写体となるキャラクターの輪郭線がくっきりと鮮やかに描かれ、平坦部にもざらついたノイズが乗らない。滑らかなテクスチャーが引き出せている。色再現がとてもピュアで、ブレがない。明暗差の大きなシーンもピークを立てすぎず、暗部もつぶさないさじ加減が見事だ。
室内を暗くできる時間帯なら、ブライトシネマやナチュラルに映像モードを切り替えながら違いを比べてみても面白いと思う。実写の映画やドラマの映像もチェックしたいと考えて、Netflixから海外ドラマの『ブラックリスト』を再生してみた。
はじめにダイナミックモードを選んでみると、光を受けた人の肌がややギラついて感じられ、色合いもこってりしている。これをナチュラル、シネマに切り替えてみたところ、人肌の色合いが落ち着いて自然な透明感が加わった。満足度の高いリアリティに富んだ映像だ。モードをブライトシネマに変えてみるとコントラスト感が引き締まって、肌の色艶がよくなった。暗部の奥行きにも深みが増してくる。シネマに比べて少し色や明るさに強調感が乗ってくるが、好みで使い分けてもいいと思う。
内蔵スピーカーは本体の背面に向いているので、プロジェクターの後ろに腰掛けてコンテンツを鑑賞すると、ちょうどセリフが聴きやすくなってよかった。バスレフを備えているので、小柄な筐体ながらそれなりにしっかりとした低音が出せる。Netflixオリジナルアニメの『ULTRAMAN』から、エイダシク星人との対決シーンでは説得力のある重低音を響かせた。
サウンドモードにもスタンダード/ボーカル/ミュージック/ムービーの4種類がある。切り替えてみるとセンターチャンネルの成分の立て方や、効果音の厚みに違いが出る。ULTRAMANを見ながらムービーを選んでみると、音場の広がりが豊かさを増して、効果音がドラマチックに鳴りはじめた。アクションの派手な映画・ドラマやアニメ作品によく合いそうだ。
音楽系コンテンツは、やはり「ミュージック」がベストだ。声の輪郭が引き締まって芯が太くなる。中高域の伸びもきれいだ。ライブやコンサート系の音楽コンテンツを見るならムービーを選んでも悪くないと思うが、こちらは低音がミュージックよりも強調される。夜中にコンテンツ視聴を楽しむのであれば、映画やドラマもスタンダードやミュージックで見てもいい。あるいは『美女と野獣』のようなミュージカル映画を見る時に「ボーカル」を選んでみたら、歌声が明瞭に引き立ってよかった。
深夜にEF-100でどうしても映画・音楽を鑑賞したくなったら、ヘッドホン出力端子が重宝する。夜型生活が中心の方も気兼ねなく、長く楽しめそうなプロジェクターだ。
すでにお気に入りのワイヤレススピーカーなどのオーディオ機器はお持ちの方もいるだろうが、エプソンのEF-100にはaptXにも対応するBluetoothオーディオレシーバー機能が載っていることも紹介しておきたい。ちょっとBGM的にスマホによる音楽再生を楽しみたい時には、本機とペアリングして音楽を聴くためのデバイスとしても使える。
スペックに書かれている騒音レベルは約26dBだ。1時間半ほど映画を鑑賞した後にもファンノイズは静かなままだし、ランプの熱もこもらないように設計されているようだ。斜め位置からの画面投写に便利なタテヨコの台形補正や1.35倍デジタルズーム機能も搭載しているので、セットアップのシンプルさと自由度の高さは小型プロジェクターの中でもトップクラスだ。プレスリリースなどで見る写真より、実物の方が質感も高いと感じた。
EF-100はとにかく手軽に使えるので、初めてのプロジェクターを色んな用途に使い倒してみたいという方には、遊び甲斐たっぷりな選択肢だ。エプソンらしい充実した画質と機能、安定した使い勝手にもぜひ触れてみてほしい。
今回視聴に使ったAirStick 4KのようなHDMIメディアストリーミングデバイスは、ユーザーが使い慣れたものを用意して組み合わせればよいと思うが、エプソンではEF-100とペアになるAndroid TV対応の端末を用意している。こちらはプロジェクターと同梱した商品「EF-100WATV/BATV」として、今冬のローンチに向けて準備が進められているというから楽しみだ。
(山本 敦)