【特別企画】人気イヤホンと組み合わせテスト
HiByの最新DAP「R5」レビュー。実売4.5万円で4.4mmバランス搭載、Google Play対応の注目機
続いてPOLARIS IIを試聴したが、こちらはややくすんだ音色の渋めのサウンドに感じられた。高域はしっかりと感じられるのだが、全体的にはかなり重心の低いサウンドバランスだ。本来はもっとニュートラルな音色なので、純粋に「R5」との相性なのだろう。特に男性ヴォーカルは、かなりハスキーで重心の低い歌声をとなるため、ブルース系などと相性が良いと感じた。一方、女性ヴォーカルも低域側に重心を置いた、厚みのある大人びた歌声となる。やや個性的な音色になるが、これはこれで好みだと思う人もいることだろう。
最後に聴いたIOは、かなりの個性派サウンドの持ち主で、「R5」との相性も決して悪くはないが、楽曲によっては「R5」の設定を変更したほうがより好ましい音質になるのではと思うことがあった。実はこのIO、とことんヌケの良い、かなり奔放な鳴り方をするサウンドチューニングに仕立てられているようで、カスタムIEMのような低インピーダンス向け設定が用意されたアンプか、意識的にかまぼこ型の帯域バランスとしているポータブルプレーヤーとは相性が良さそうだったりする。「R5」の素の組み合わせだと、この奔放さがやや前面に出過ぎるきらいがあった。
そこで、「MSEB」を使ってサウンドを調整してみたところ、奔放さを活かしつつも中域に芯や厚みを感じる、好みのサウンドに纏め上げることができた。このようにイヤホンの個性に合わせて幅広いサウンドチューニングができる「R5」の調整機能と対応力にも、思わず感心させられた次第だ。
このように「R5」は、基礎体力の高い音質と幅広い音色調整能力を併せ持つ、良質な製品だということが確認できた。多機能さやスマートな筐体デザインなど使い勝手の良さも含め、なかなかに魅力的な優秀機だといえよう。
(野村ケンジ)
特別企画 協力:飯田ピアノ