従来機「QC35 II」比較で進化点をチェック
ボーズの新NCヘッドホン登場! 「Noise Cancelling Headphones 700」速攻レビュー
■NCH700とQC35 IIでノイズキャンセリング効果を比較
「ノイズキャンセリングの効果」はどうだろうか。カスタマイズ機能が乗って利便性が向上したことだけでもう大満足なのだが、NCH700はさらに、その効果がとても自然にかかるようになった手応えも得られた。機能をオンにした時に耳に空気が押し込まれるような、アクティブノイズキャンセリングヘッドホン独特のプレッシャーが気にならないし、再生する音楽のバランスや聴こえ方にも影響がとても少ない。カスタムノイズキャンセリングのレベルを0から10、10から0へ段階的にスライドさせてみると、“継ぎ目”がなくトランジションがとてもスムーズだ。
まずは音楽を再生せずに、耳栓としてのノイズキャンセリング効果を試してみる。QC35 IIはBose Connectアプリからノイズキャンセリングの効果を「強」にして、NCH700のノイズキャンセリングも最強レベルの「10」を選択して比べた。
QC35 IIの方は、低域を中心に全帯域に渡ってゴリっとした消音効果が得られるヘッドホンだ。特に車のロードノイズやエアコン、冷蔵庫のファンノイズが強めに消去される。対するNCH700の方は最初、QC35 IIよりも若干効き目が甘いようにも感じられたが、耳が慣れてくると全ての帯域がバランスよく消えてくれる。そして“ノイズキャンセリング機能による雑音”のような違和感がほとんどない。「とても静か」なのだ。
音楽を再生してみると、その完成度の差はさらに明快だ。静寂の中、音楽に心落ち着けて耳を傾けるられるような感覚は、新しいNCH700の方が研ぎ澄まされて感じられた。
一方で、ノイズキャンセリングのレベルを「0」に設定して、外音を取り込みながら屋外で安心して音楽リスニングができるようになったことも大歓迎だ。街中で試してみると、レベルを「0」にすると周囲を歩く人の声や自動車のロードノイズがはっきりと聞こえてくる。レベルを「5」ぐらいに設定しても、近くの人に話しかけると気がつけるので、例えばオフィスで仕事をしている時など、ちょっと集中力を高めたい時に使いやすそうなヘッドホンだ。
■サウンドの印象は大きく変化。NCH700では中高域が抜けよく明瞭に
最後に、注目の「サウンド」のインプレッションを報告しよう。BluetoothオーディオのコーデックはSBCのほか、メーカーのスペックシートには記載されていないがAACにも対応している。今回はiPhone Xとペアリングして、CDからリッピングした音源とApple Musicの楽曲を試聴した。
森口博子の「Gundam Song Covers」から『JUST COMMUNICATION』を再生する。ミドルテンポのジャジーな楽曲なのだが、円熟味がさらに増した森口博子のボーカルが冴え渡る。歌い手の音像がセンターの位置に明瞭に定位し、QC35 IIよりも声の輪郭が繊細な部分を描けるようになった。
ベースにドラムス、パーカッションなどリズムセクションはビートの切れ味が鋭くスピード感が豊か。低音がぶれないし歪まない。比べてしまうと、QC35 IIはやや中低域の分離感が物足りなく感じてしまう。全体的に低音が支配的なような印象も受けるQC35 IIに対して、NCH700は中高域の抜けが良く、縦横・奥行き方向へ音場が自由に広がる。バンドの楽器の定位も鮮明だ。
音色にむやみな色付けは感じられないが、NCH700でアップテンポなロック・ポップス系の楽曲を聴いてみると、ドラムスのハイハットやシンバル、ホーンセクションのハイトーンがとても明るく、エネルギッシュに感じられるようになった。
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