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TIGLONのインシュレーターとSUNSHINEのケーブルを試す

自宅で徹底検証!ハイレゾ再生に効くアクセサリーはこれだ!

公開日 2019/09/25 13:40 逆木 一
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ファイル再生は“足元"が肝心
音質の「絶対値」を引き上げる強力アクセサリー


オーディオ用PCの足元は見過ごしがちな改善ポイント


TIGLON インシュレーター「D-REN Pro」
TIGLON インシュレーター「D-REN Pro」
¥6,400(3個入り/税抜)/¥8,000(4個入り/税抜) 9月20日発売

ファイル再生で使われるPCやネットワーク関連機器は「そもそもオーディオ機器ではない」ため、オーディオシステムに組み込む際、時としてボトルネックにもなってしまう。しかし逆に考えれば、これらの機器にもオーディオ機器と同様の配慮を行うことは、システム全体の底上げにつながる可能性を持っていると言える。

そこで今回は、特にファイル再生における「振動対策」と「電源」に着目して、ティグロンの薄型インシュレーターD‐REN Proと、サンシャインの電源ケーブルSAC REFERENCE1.8を取り上げる。これらの効果を検証するにあたって、実際にファイル再生の要となることの多いPCに使ってみることにした。

今回のテストは逆木氏の自宅にて行った。複数のケーブル類を持ち込 み、特に効果の高かったアイテムを厳選してレポートしていただいた

さて、筆者はcanarinoFilsというオーディオ用のPCを導入し、ファイル再生の原器としてさまざまに活用している。設置はとりあえずケースの足をそのまま使うよりはいいだろうと考え、余っていたステンレス製のインシュレーターで前ひとつ・後ろ2つの3点支持。電源は外部アナログ電源に安価な3P電源ケーブルという状況だ。

再生システムにおけるPCの比重を高めるため、試聴はTIDALの音源をRoonで再生し、DSP‐DoradoにDirettaで出力する形で行うことにした。この時、canarino Filsは「ネットワークトランスポート」としての役割を担う。音源には米津玄師の新譜「海の幽霊」を使った。

試聴の前に、ステンレスのインシュレーターを外し、PCシャーシの足で設置して聴く。この状態では、明らかに音が緩くなったのが分かる。音の立ち方が弱く、音場の奥行きも浅くなってしまう。いまさらながら、あらためて「PCの設置」の重要性を思い知った。

細部の描写が一段と深まり、Dレンジも拡大する

それではD‐REN Proを試そう。D‐RENは特殊な人工ゴムの内部にマグネシウム箔を封入し、電磁波シールドと制振効果を狙った製品。通常モデルからゴムの顔料と成分を若干硬質化させ、内部のマグネシウム箔の厚みを2倍にしたのがD‐REN Proとなる。

D‐REN ProをPCの足の下に4枚入れた時の変化は驚くべきものだった。中低域の充実だけでなく、細部の描写が一段と深まり、メインのヴォーカル・コーラス・演奏の分離が克明になる。声の伸びやかさも著しく改善され、音楽全体のダイナミックレンジが拡大する。オーディオ的な改善は明白で、これはもう激変と言ってもいい。

はっきり言って、筆者はゴム系素材をオーディオ(特に設置)に使うことに対してあまり良い印象を持っていなかった。オーディオ趣味を始めて間もない学生時代に、トールボーイスピーカーの設置をゴム足からスパイクに変えた際の音の改善に驚いて以来、ずっとそうだ。しかしD‐REN Proの効果は、そんな筆者の認識を吹き飛ばして余りあるものだった。

この後、D‐REN ProをPC用のアナログ電源やサーバー(fidata HFAS1‐XS20)にも使ってみたが、いずれも音の重心が下がり、エネルギー感の向上といった効果が得られた。

インシュレーターを活用することで、音質改善はもちろん、ガタつきを抑えて安定した設置が可能・使う機器を傷つけるおそれがないといったメリットもある。いままでそれほど設置に気を使っていなかった機器に対しても、片っ端からD‐REN Proを試してみたくなった。


しなやかで取り回しやすく手頃な価格も魅力


SUNSHINE 電源ケーブル「SAC REFERENCE1.8」
SUNSHINE 電源ケーブル「SAC REFERENCE1.8」¥16,800 (1.8m/税抜)

続いて、サンシャインの電源ケーブルSAC REFERENCE1.8を試す。これは導体にDIP FORMING無酸素銅を採用し、過飽和電流を流してケーブル導体を活性化するHSE処理を施しながら、手頃な価格を実現した電源ケーブルだ。手元に届いたSAC REFERENCE1.8でまず感心したのは、ずばりその柔軟性。他のオーディオ用3P電源ケーブルと比べて明らかに柔らかく、しなやかで、もうこの時点でこのケーブルが好きになってしまった。

オーディオ用PC用の電源ケーブルをSAC REFERENCE1.8に交換して感じるのは、再生音のバランスを崩すことなくS/Nを改善し、情報量を増すということだ。確かに音質の絶対値が引き上げられる。

我が家に届いたSAC REFERENCE1.8は2本で、うち1本は先んじてソウルノートのプリメインアンプA‐2に使ってみたが、音の色づけがほとんどないことに驚いた。

例えば高音が突き抜けるような伸びを得るわけでも、低音に猛烈な馬力感が加わるわけでもないので、音の変化自体は地味に感じられるかもしれない。しかし、劇薬的な変化ではなく「着実な向上」を求める人にとって、SAC REFERENCE1.8はまさに好適な電源ケーブルだと言える。

今回試したD‐REN Pro、SAC REFERENCE1.8はともにオーディオアクセサリーとしては手頃な価格であり、活用の幅も広い。ファイル再生のシステム全体の底上げを図ろうと思った際、検討に値する逸品だ。



【SPEC】

D-REN Pro ●素材:純マグネシウムシールド、特殊人工ゴムのハイブリッド構造 ●サイズ:直径70mm、厚さ3mm

SAC REFERENCE1.8 ●導体:ディップフォーミング無酸素銅●導体処理:HSE処理(スタンダードプログラム)●外周シース:ウルトラフレックスPVC ●プラグ:3Pモールド

【製品のお問い合わせ】
ティグロン(株)
TEL:046-205-2777
http://www.tiglon.jp/


(逆木 一)
本記事は季刊・オーディオアクセサリー 174号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。


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