iPadOSの完成度は? 画質は? 使い心地は?
「第7世代iPad」速攻レビュー! 3万円台でこの使いやすさは衝撃的だ
Slide Overには複数のアプリを立ち上げ、レイヤーを切り替えることでマルチタスク作業がこなせる新機能が加わった。Slide Overで立ち上げているアプリの画面に、Dockから別のアプリをドラッグ&ドロップするとタスクが加わる。続けてサブのアプリの画面下端をつかんで上方向にドラッグすると、マルチタスクが起動中のアプリが一覧に並ぶ。あとは作業を切り替えたいアプリを選べばいい。
指定したアプリがどのタスクで稼働中かを確認したい場合は、Dockに並ぶアプリアイコンを長押しして、コンテクストメニューに並んでいる「すべてのウインドウを表示」をタップすると、Expose(エクスポゼ)と呼ばれる画面表示に切り替わり、タスクのリストを選択してすぐに飛べる。
Slide Overは、例えばウェブサイトのURLやマップで検索した待ち合わせ場所の位置情報をメールにドラッグ&ドロップし、友人に送るなどの作業に向いている。ほかにもSafariの中にSafariの画面をSlide Over表示できるようにもなった。例えばオンラインストアで買いたいものを横並びで比較検討する場面などに使えるかもしれない。
■iPadをノートPCに近づける「ファイル」アプリ
iPadの本体、またはiCloud DriveやDropboxなどのオンラインストレージに保存しているファイルを管理できる「ファイル」アプリは、フォルダの新規作成やカラム表示などにも対応したことで、インターフェースがかなりPCライクにブラッシュアップされた。
iPadOSの新機能として追加された外部ストレージからのファイルの読み込み、および外部ストレージへの転送も、先述のSplit ViewやSlide Overを使ってファイルアプリを複数画面で表示しながら活用すれば、散らかりがちなファイルデータの整理整頓もはかどりそうだ。
第7世代iPadの場合、外部ストレージはLightning-USB変換アダプターを使ってUSBメモリやSDカードを読み込むことになるが、認識されるストレージとそうでないものがあることが目下の課題だ。筆者もまだiPadOSを試しながらも、その法基準がつかみきれていない。今後アップデートにより改善されることを期待したい。
■3万円台で衝撃的に使いやすいiPad
このほかにも、まもなく正式公開がありそうなmacOS最新バージョン“Catalina”と、iPadOSを搭載したiPadとの組み合わせで利用できるサブディスプレイ「Sidecar」にも注目だ。PhotoshopやIllustratorなどSidecarに対応するアプリケーションは、iPadのApple Pencilによる入力と、MacのShift、Commandキーを掛け合わせたハイブリッドな操作を実現するという。こちらもまた機会をあらためてレポートしたい。
iPadはモバイルPCのようなオフィスツールにもなれば、電子楽器の入力インターフェースやApple Pencilで絵を描くためのクリエイティブツールとしても、多くのユーザーに支持されてきた。当サイトの読者の中には、iPadをネットワークオーディオ機器のリモコンとして活用している方も多いだろう。新しく誕生したiPadOSによって、すべての用途でiPadの使い勝手が向上するはずだ。
そして、3万円台で買えるエントリークラスのiPadでも、この革新が体感できることに注目したい。より多くの人が購入を検討すべきデバイスになったと思う。