精緻な加工技術で、高次元の美しさも実現
最上級の音とデザイン、LUXMAN B-sideのワイヤレススピーカー「ASC-S5」は“ハイファイ”の域
■ラックスマンらしい “良い音” を実現。いつまでも聴いていられるHi-Fiサウンド
それでは、早速NASに入れたハイレゾ音源を再生しよう。筆者の愛聴楽曲ファイルの1つ、男性ジャズボーカルから、ホセ・ジェイムズ 「Lean On Me」(44.1kHz/24bit)を再生した。
音が出た瞬間、「これは良い」と直感した。簡単に言うと、オーディオファイルが納得できる、バランスの良いハイファイサウンドなのである。
中高域の帯域バランスはほぼフラット、低域は少しだけブーストされているが、これは楽曲の楽しさや躍動感を追い求めた結果だと推測される。あくまでも原音に忠実なサウンドだ。筆者は他社の一体型スピーカー、特にオーディオブランド以外の製品が鳴らすドンシャリサウンドに少々嫌気がさしていたのだが、ASC-S5では、ベースラインは弾力を持ちながらしっかりとしたリアリティを持ち、何よりもボーカルのバランスが良い。さすがはオーディオブランドの製品である。
次に、定額ストリーミングサービスのDeezerから、ヴァイオリニストのヒラリー・ハーンとピアニストのナタリー・シューが共演した「ヴァイオリン・ソナタ集」(44.1kHz/16bit)を再生した。なんと自然な再生音だろう。この手のコンパクトな一体型スピーカーが苦手とするアコースティック楽器の質感表現が素晴らしい。全く機械的に聴こえず、艶やかな弦の質感と立ち上がりの良いピアノタッチを秀逸に表現する。
ここで気がついたのだが、本スピーカーは、正面から聴くとしっかりと音が広がってハイファイサウンドを楽しめる上に、左右に回って聴いても各側面に搭載したサテライトスピーカーのおかげで高品位なサウンドを保ち、部屋の全方位にも良い音を届けてくれるのだ。また、カタログ上の周波数帯域は50Hz-20kHzとワイドレンジで、実際の聴感でもそれを聴き取ることができた。オーディオファイルが一日中ずっと聴いていられる、本当にバランスの良いサウンドである。
なお、本体には先述したロータリー式のボリュームや最低限の操作ボタンのほか、マイクの穴やWi-Fi用のアンテナはパッと見ただけでは分からないほど上手に設置されている。これらは完全に本体と同化しており、その高いデザイン性を底上げしている。ボリューム操作も適度なトルクがあって、気持ち良く操作できる点も魅力だ。
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