【特別企画】LCI JAPANショールームに聞く
オーディオに“デザインの価値”が問われる今、「PATHOS/chario」はなぜ評価されるのか。インテリアのプロが分析
ハイエンドオーディオにおけるデザインの価値が今、見直されようとしている。昨年日本に導入されたイタリアのブランド 「PATHOS(パトス)」と「chario(チャリオ)」は、まさにこうした流れを象徴する存在といえるだろう。
照明やインテリアを手がけるLCI JAPANは、同社のショールームで両ブランドのアンプとスピーカーを展示している。インテリアやデザインに関わる方々からは、こうしたオーディオ製品がどのように映るのだろうか。オーディオ評論家の土方久明氏が、LCI JAPANの担当者に、パトスとチャリオについて、そしてインテリアから見たオーディオの存在について、じっくりと話を伺った。
■新時代、「デザイン」はオーディオの重要な価値指標になる
「平成」が終わり、「令和」が始まった。平成の間にオーディオの世界はCDからハイレゾ、そして定額制ストリーミングへと移り変わっていった。誰もが手軽に良い音で、多様な音楽を楽しめる土壌が整った時代だったと言える。では、令和という新しい時代に、オーディオはどう変貌を遂げていくのか。
筆者は、すでに新しい動きが始まっている考える。それは、オーディオ製品におけるデザインの価値を改めて見直そうというものだ。ある意味でレガシーな考え方だが、昨今のオーディオを見渡すと、デザイン、ひいてはライフスタイルにどのような価値や体験をもたらすことができるかが、これまで以上に求められているのだ。
昨年、イタリアから「PATHOS(パトス)」と「chario(チャリオ)」という2つのオーディオブランドが日本に導入されたが、これらはまさに上記のような潮流に応えるブランドだと思った。
■「音質とデザインの両立」を日本市場に問いかける「PATHOS」と「chario」
1994年にイタリア北部の町ビツェンツァで創設されたパトスは、特許技術「InPol」をはじめ高度なアンプ技術を持つオーディオブランド。真空管/半導体のハイブリッド構成アンプを主に手がけ、上質なデザイン性も特徴としている。
一方のチャリオは、1975年に設立されたスピーカーメーカー。ミラノ郊外に本拠地を持ち、ハンドクラフトにこだわって、キャビネットにイタリア産の天然木を用いたスピーカー製品を多数手がけている。
これらを日本に輸入するタイムロードは、「DAVE」や「Qutest」といったDACでおなじみのCHORDなど、人気の高いオーディオブランドを扱っている輸入商社だ。パトスとチャリオの日本展開スタートは、タイムロードがHi-Fiオーディオにおける「音質とデザインの両立」することの価値を改めて日本市場に投げかけることにもなったと言えるだろう。
■インテリアのプロが語る「オーディオ機器」と「美しい空間」
パトスとチャリオの製品が、イタリアの照明ブランド「Lumen Center Italia(ルーメンセンターイタリア・以下LCI)」のショールーム(東京・代官山)にも導入された。このショールームは、イタリアや北欧などの優れたインテリアを数多く取り揃えた人気店だ。インテリアのプロは、なぜパトスとチャリオを選んだのか? 今回、同社マネージャーの菊池達也氏に話を聞くことができた。
土方 素晴らしいショールームですね。センスあふれる家具や照明が揃えられていて、見ているだけで気分が高揚します。
菊池 ありがとうございます。まさに私たちが目指しているのは、ショールームに来ていただいたお客様にわくわくしていただくことです。
我々LCI JAPANは、もともとイタリアで40年以上の歴史を持つLCIの日本支店としてスタートしました。LCIはこれまで40年間、ミラノから世界に向けて発信していたのですが、ブランドを日本でもっと知っていただきたく思い、4年前に日本支店を設立したのです。
日本は地震が多い国なので、家具や照明もまずは安全性について検討され、デザインは後回しになりがちです。もちろん安全性は最重要ですが、しかし、インテリアですから、わくわくする、楽しい空間づくりも追求したいですよね。そういう考え方を持っているプロダクトデザイナーや空間デザイナーさんたちの手助けをしたいなと思ったのが、LCI JAPAN設立のきっかけです。
土方 ショールーム内ではどのような製品を取り扱われているんですか?
菊池 LCIの製品を中心としたイタリアのデザイン照明器具が主です。日本で照明を買うというと、まず「どれくらい明るいか」「何畳用か」という話になりますが、照明器具は部屋に入った瞬間にまず目にするもの。つまり「デザイン」が重要な製品なのです。我々はそのような優れたデザインを備える照明器具を扱っています。
また、照明だけではなく、家具やインテリア空間に携わるものも一緒に扱うべく、3年前にこのショールームを設けました。当初はイタリアの照明や家具が中心でしたが、最近では北欧のプロダクトも扱うようになりました。
土方 パトスとチャリオもイタリアのブランドですが、この2つのオーディオブランドの展示を始めた経緯についてお話を伺えればと思います。
照明やインテリアを手がけるLCI JAPANは、同社のショールームで両ブランドのアンプとスピーカーを展示している。インテリアやデザインに関わる方々からは、こうしたオーディオ製品がどのように映るのだろうか。オーディオ評論家の土方久明氏が、LCI JAPANの担当者に、パトスとチャリオについて、そしてインテリアから見たオーディオの存在について、じっくりと話を伺った。
■新時代、「デザイン」はオーディオの重要な価値指標になる
「平成」が終わり、「令和」が始まった。平成の間にオーディオの世界はCDからハイレゾ、そして定額制ストリーミングへと移り変わっていった。誰もが手軽に良い音で、多様な音楽を楽しめる土壌が整った時代だったと言える。では、令和という新しい時代に、オーディオはどう変貌を遂げていくのか。
筆者は、すでに新しい動きが始まっている考える。それは、オーディオ製品におけるデザインの価値を改めて見直そうというものだ。ある意味でレガシーな考え方だが、昨今のオーディオを見渡すと、デザイン、ひいてはライフスタイルにどのような価値や体験をもたらすことができるかが、これまで以上に求められているのだ。
昨年、イタリアから「PATHOS(パトス)」と「chario(チャリオ)」という2つのオーディオブランドが日本に導入されたが、これらはまさに上記のような潮流に応えるブランドだと思った。
■「音質とデザインの両立」を日本市場に問いかける「PATHOS」と「chario」
1994年にイタリア北部の町ビツェンツァで創設されたパトスは、特許技術「InPol」をはじめ高度なアンプ技術を持つオーディオブランド。真空管/半導体のハイブリッド構成アンプを主に手がけ、上質なデザイン性も特徴としている。
一方のチャリオは、1975年に設立されたスピーカーメーカー。ミラノ郊外に本拠地を持ち、ハンドクラフトにこだわって、キャビネットにイタリア産の天然木を用いたスピーカー製品を多数手がけている。
これらを日本に輸入するタイムロードは、「DAVE」や「Qutest」といったDACでおなじみのCHORDなど、人気の高いオーディオブランドを扱っている輸入商社だ。パトスとチャリオの日本展開スタートは、タイムロードがHi-Fiオーディオにおける「音質とデザインの両立」することの価値を改めて日本市場に投げかけることにもなったと言えるだろう。
■インテリアのプロが語る「オーディオ機器」と「美しい空間」
パトスとチャリオの製品が、イタリアの照明ブランド「Lumen Center Italia(ルーメンセンターイタリア・以下LCI)」のショールーム(東京・代官山)にも導入された。このショールームは、イタリアや北欧などの優れたインテリアを数多く取り揃えた人気店だ。インテリアのプロは、なぜパトスとチャリオを選んだのか? 今回、同社マネージャーの菊池達也氏に話を聞くことができた。
土方 素晴らしいショールームですね。センスあふれる家具や照明が揃えられていて、見ているだけで気分が高揚します。
菊池 ありがとうございます。まさに私たちが目指しているのは、ショールームに来ていただいたお客様にわくわくしていただくことです。
我々LCI JAPANは、もともとイタリアで40年以上の歴史を持つLCIの日本支店としてスタートしました。LCIはこれまで40年間、ミラノから世界に向けて発信していたのですが、ブランドを日本でもっと知っていただきたく思い、4年前に日本支店を設立したのです。
日本は地震が多い国なので、家具や照明もまずは安全性について検討され、デザインは後回しになりがちです。もちろん安全性は最重要ですが、しかし、インテリアですから、わくわくする、楽しい空間づくりも追求したいですよね。そういう考え方を持っているプロダクトデザイナーや空間デザイナーさんたちの手助けをしたいなと思ったのが、LCI JAPAN設立のきっかけです。
土方 ショールーム内ではどのような製品を取り扱われているんですか?
菊池 LCIの製品を中心としたイタリアのデザイン照明器具が主です。日本で照明を買うというと、まず「どれくらい明るいか」「何畳用か」という話になりますが、照明器具は部屋に入った瞬間にまず目にするもの。つまり「デザイン」が重要な製品なのです。我々はそのような優れたデザインを備える照明器具を扱っています。
また、照明だけではなく、家具やインテリア空間に携わるものも一緒に扱うべく、3年前にこのショールームを設けました。当初はイタリアの照明や家具が中心でしたが、最近では北欧のプロダクトも扱うようになりました。
土方 パトスとチャリオもイタリアのブランドですが、この2つのオーディオブランドの展示を始めた経緯についてお話を伺えればと思います。
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