【特別企画】LCI JAPANショールームに聞く
オーディオに“デザインの価値”が問われる今、「PATHOS/chario」はなぜ評価されるのか。インテリアのプロが分析
土方 ショールームではどのような音楽をかけているんですか?
菊池 それは、我々もプレッシャーでして(笑)。何をかけたらいいかタイムロードさんにも相談しました。やはりイタリアのクラシックなどかなと思っていたら、「好きな音楽をかけてください。聴きたいものをかけていただき、それを良い音で再生するのがオーディオの役目です」とアドバイスいただきました。
土方 とても良い考えですね。
菊池 なので今はラジオをかけたり、イタリアのクラシックもかけたりしています。あとは天気が悪い時は静かな曲とか、お花見の季節だから春っぽいものとか。基本は天気とか季節に応じて様々な楽曲をかけています。
■ただ音を出すだけではない。パトスとチャリオは人と人をつなぐ「接点」を作ってくれる
土方 イタリアならではのデザイン・ものづくりという点でオーディオを語るとしたら、いかがでしょうか。
菊池 いちばんは、そこに接点を作ること。その製品をきっかけに、会話が生まれることがイタリア製品の特徴かと思います。一般的な照明やダウンライトからは会話は生まれないですよね。パトスとチャリオからは、やはり会話を生むイタリアのデザイン力を感じますね。そして、買っていただいた皆さんも自慢したがる。そんな魅力があると思います。
土方 車であれば、フェラーリもアルファロメオも延々と語れますからね。あ、オーディオファイルも基本的に語り合うのが好きですよ。
菊池 同じものを買った同志だったり、趣味や好みが合うという部分で、自然とコミュニティができていく。インターネット時代でリアルな関係性が希薄になっていく中、そういう仲間同士のスペースを作るという非常に重要な役割を担える存在なのではと思います。
それから、時間が経つにつれて、使う人によって異なる味が出てくるという唯一無二の製品になり得るかということも大事だと思います。
土方 チャリオは天然木を使っているから、まだ入れたばかりですが今後は味も増してきそうですよね。拭いたりメンテナンスしたりしてそれがツヤになっていったり、経年変化を楽しめるそうです。
私はライフスタイル誌で書いていた時期もあるんですが、その世界の人たちが求めている製品って、インテリアに「馴染む」というレベルではなく、インテリアを「強化する」ものです。オーディオ製品にもそのくらい強烈なデザイン性があっても良いと思っています。
菊池 日本でモノを入れる時って、邪魔しないとか、空間に合うかとか、目立たなくしようというところばかり着目してしまいますよね。でもそうではなくて、空間のグレードを1段階上げましょうよ、と。同じ値段だとしても置くもので1段も2段も空間のグレードが上げられますよということをもっと伝えていきたいと思っています。
土方 あ、今仰ったことは、すごいインパクトがある。チャリオとパトスに関してはそれくらいのデザイン力があるということですね。
菊池 そう思います。
■新しい音楽に出会うチャンスが広がったサブスク時代にこそ、いいオーディオが必要
土方 オーディオに話を戻しますと、今の音楽リスニングってストリーミングが主流になってきていて、新しい音楽に出会うチャンスは増えているんですね。だからこそ、音楽を聴くためのオーディオの注目度はもっと上がるべきだと思っています。音楽やインテリアに対して感度の高い人たちに、オーディオの良さを知ってもらうにはどうしたらいいでしょうか。
菊池 モノが飽和状態になると、価格競争が起きますよね。価格競争には良い面と悪い面がありますが、その中で、本当にいいものが際立っていくと思っています。音楽が満ち足りていく中で、今度はよい音を出すための手段や特別な価値をもつものを求める人は増えていくのではないでしょうか。
土方 そうなると、パトスとチャリオのようなデザイン的な付加価値のあるオーディオは、より注目されますよね。
オーディオ評論家として、音質は常に第一に考えていますが、オーディオは趣味としての価値に見合うだけの格好良さがないと、若い世代は付いてこないのではという危機感があります。今、パトスのClassic Rimixを導入したいと考えているんですが、今の自分の部屋のレベルではまだまだ釣り合わない。だからいっそのこと部屋を作り変えてしまおうかと思っていますが、そういうモチベーションを生み出す製品がもっとあったらと思うのです。
菊池 そして、そこに素晴らしい照明機器が入ったら……。
土方 まさにそういうところですよね。読者の皆さんにもぜひ、最上のインテリアの中にある美しいオーディオ機器を見に来て欲しい。ぜひショールームへ足を運んでいただきたいなと思いました。
菊池 ぜひ気軽に。インテリア関係のショールームは予約制なところも多いのですが、我々は常時開いていますし、自由に見ていっていただききたいと思います。
菊池氏との対話の中で、良い音を探求するオーディオの基本原則は大切にしながら、人生を豊かにしてくれるデザイン性も備えていることは、これからの時代のオーディオ、特にハイエンドオーディオにとっては必要不可欠な要素であるとあらためて実感させられた。こうした資質を備えたパトスやチャリオは、これからのオーディオの在り方を改めて問いかけていると思う。ぜひ、一度LCI JAPANショールームに足を運んでいただき、上質なデザインを備えたオーディオが、やはり上質なインテリアや照明と組み合わせられることでどのような世界が広がるのか、実際に体験してもらいたい。
(土方久明)
LCI JAPAN ショールーム
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