独創性溢れるアイデアとサウンド
【AEx2020「銀賞」受賞】世界のオーディオファンを熱狂させ続ける「XERXES」のいま
■現代のスタイルに合わせシステムを大幅アップデート
05年に誕生したXERXES 20は、今日まで細部のブラッシュアップを繰り返してきた。つまり、基本設計時点から優れていた初代機の特色と美点をそっくり継承しつつ、現代の要求に適合するようアップデートされてきたのである。
美点といわれるのは、木製キャビネットを用いつつ、ラバー系素材でサスペンション構造を組み込んで、スプリング等のスティフネスで問題とされる垂直方向の弾性よりも水平方向のコンプライアンスを重視した設計と、アームベースとキャビネット、内蔵モーターのアイソレーション構造をそっくり継承している点だ。これが今日までザクシーズの真骨頂といわれている3層プリンス(ボード)構造による高S/Nにつながっているといって過言でない。
強化スチールスピンドル(加工精度5ミクロン以下)と、直径2mmの超硬タングステンカーバイトボールベアリングによるプラッターの軸受け構造は、もはや伝説といえる仕様だ。専用の潤滑オイルが馴染んでプラッターが軸受け底部に落ちるまで半日以上を要すると伝えられるほど(これはいささか誇張された噂だが)、嵌合具合に遊びがないことの所以であり、リン青銅ハウジングを含めたその仕組みにも基本的に変更はない。
2ピースの中空構造アルミ削り出しインナープラッターも然り、再生時にスピンドルを外すキャップ構造も然りで、この辺りは基本設計の秀逸さの現れだ。
今回組み合わせたパワーサプライ「RPM」は、ACシンクロナスモーターを正確かつ静粛に回転させるため、AC電源を一旦DCに変換した後、再びACに戻してクリーンな駆動力を供給する。回転数の切り換えは前面ボタンで行ない、速度調整機能も内蔵されている。
トーンアーム「SARA」は、ブラック・アノダイズ仕上げのアルミ製ストレート一体型パイプで、タングステンカーバイドによる鋭いニードルピンのユニピボッド/人工ルビー台座支持構造。内部配線はOFC線で、DINソケットタイプなので簡単に軸受け部から取り外しでき、カートリッジの交換も比較的容易だ。吊り下げ式のアンチスケート機構もシンプルである。