独創性溢れるアイデアとサウンド
【AEx2020「銀賞」受賞】世界のオーディオファンを熱狂させ続ける「XERXES」のいま
■安定した重心の低さと音の密度や肌理が魅力
試聴は同社のMCカートリッジ「SHIRAZ」を組み合わせた。
音の第一印象は、どっしりと安定した重心の低さと、その上に積み上がっていく高域までの音の密度、肌理が緻密で整っていること。声は瑞々しく柔軟で、人肌の温もりが感じられ、楽器は質感再現がすこぶるナチュラル。音色にも潤いが感じられる。
『エヴリシング・バット・ザ・ガール/アンプリファイド・ハート』のハーフスピード・リマスタリングの重量盤で感じられたトレーシー・ソーンのそうした歌声には、バックの雄大なアレンジも相まって、とても心地良い雰囲気が味わえた。
『ボブ・ジェームス&デヴィッド・サンボーン/ダブル・ヴィジョン』では、リズム/ビートといった骨格部分をがっちりと捉えている。スティーヴ・ガッドのリムショットの抜け、スネアやタムの音がとても力強く、マーカス・ミラーのベースが分厚く響く。デイヴィッド・サンボーンのオハコの泣きのブロウも非常にリアル。
『ブラッド・メルドー/ファインディング・ガブリエル』では、合唱パートの分離と美しいハーモニーには神々しい雰囲気すら漂い、不協和音のシンセのメロディと合わせて不思議な空間感を創出。中間部以降で激しい高速連打を繰り出すドラムのダイナミクスが凄まじい。
『ギスレ・クヴェルンドク/シンフォニック・ダンス』では、第1章のメロディの主役であるコール・アングレが瑞々しく響き、マリンバを始めとする打楽器とのアンサンブルが立体的な奥行きを伴ってクリアに浮かび上がった。それはまるで小さなオーケストラを俯瞰して見ているようなホログラム的なステレオイメージであった。
今回の試聴を通じて私が感じたことは、ロクサンは確実に蘇り、ふたたび躍進するだろうということ。大いに期待したい。
Specifications
【XERXES 20】
●駆動方式:ベルトドライブ方式●メインベアリング:硬化精密加工ステンレス(スピンドル)、強化リン青銅(ハウジング)、超精密タングステン・カーバイド(ボール)●インナー/アウタープラッター:2ピースアルミ削り出し無共振勘合●構造:3層プリンス構造●アイソレーション:3段階アイソレーションシステム●モーター:カスタムメイド24極シンクロナス・モーター●プーリー:精密加工アルミニウム合金●サイズ:450W×115H×370Dmm●質量:12kg●その他:ダストカバー付属、ナスペックセッティング料¥30,000/税別(別途交通費発生の場合あり)
【SARA】
●基本構造:ユニピボットタイプ●ベアリング:硬硬タングステンカーバイド・ピン●アーム部:アノダイズ・アルミニウム●実行長:240mm/9インチ●有効質量:24.2g●オーバーハング:17.5mm●有効長:222.5mm●取り付けホール径:23mm●アームボード厚:6〜25mm●推奨カートリッジ質量:5〜12g●推奨トラッキング質量:0〜3g●内部配線:銀メッキ OFC●付属:ロクサンオリジナルフォノケーブル
本記事は季刊・analog vol.66からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。