[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第245回】
1,700円! ハイコスパな有線“ピヤホン”発売間近、ピエール中野氏に魅力を直撃
── シンバルやギターのエッジとかの高域は、ベースモデルもピヤホンも同じくシャープではあるんですが、そのシャープさの感触が違いました。ベースモデルはまさにシャープでシャキン!とした感触。対してピヤホンはより滑らかな鋭さというか。
マ氏 Hi-Unitの音作りとしては、いいイヤホンをはじめて体験する人でも、パッと聴いただけで「なんかいい音!」と感動してもらえるようにというのを意識しています。それで低音と高音は、無理のない程度にですが、意図的に立たせてあります。
ピ様 はじめての “音のいいイヤホン” として感動してもらいたいという思いがあるので、「なるほどこれがいい音か!」っていう分かりやすさのある音にはしたかったわけですよ。で、HSE-A1000にはまさに分かりやすいシャープさや解像感があるので、そこは元のままでもクリアできてるんです。
だからその魅力は損なわないようにしつつ、自分の好みと音楽を作る側として「こういう音で聴いてもらいたい」っていう願いも重ねるようなチューニングにしています。HSE-A1000の解像感を生かしつつ、自分好みの耳当たりの良さも加えて、という感じですね。
── 今伺ったようなチューニングを中国現地で行ったんですよね?
ピ様 ドライバーの開発を担当しているエンジニアさんと、対面で直接やり取りしながら進めました。現地に向かう前にチューニングの方向性はあらかじめ伝えておいて、それに沿ったサンプル機を用意してもらっておいたんです。当日はそれを叩き台に詰めの調整をしていく感じで。
「高音のこの帯域をさらにもう少し抑えて」みたいな要望を伝えると、その彼が「わかった」ってラボに戻って、ほんの数分で「これでどう?」ってチューニングを調整したバージョンを持ってきてくれるんですよ。HSE-A1000というモデルは元々そういう調整をやりやすい設計にしてあるらしくて、すごいスピーディでした。おかげで現地でのチューニングはほんと一日で終わりましたよ。
マ氏 2017年にHi-Unitをスタートした時から、コラボレーションやOEM展開を視野に入れた製品開発を進めてきました。そういった準備をしていたこともあり、今回のチューニングにおいてもエンジニアさんとの意思疎通がスムーズにできたんです。
ピ様 でもこういうコラボモデルでアーティスト本人が工場まで来て一緒にチューニングするというのは初めてらしくて、あちらもすごい喜んでノリノリで進めてくれてました(笑)。
── そしてこの有線ピヤホンには、音の他にもベースモデルからのプラスα的なポイントがありますよね。まずはこの価格帯にして収納ケース付属!
ピ様 有線だと断線を心配する人もいると思うんですけど、それってイヤホンを乱暴にぐしゃぐしゃってカバンの中にしまったりするのが原因なことも多いんですよ。でもイヤホンに最初からケースが付いてきてたら「このイヤホンはカバンとかにしまう時には、このケースに入れておくものなんだな」って分かってもらえますよね。そこに気付いてほしくて。
あとHSE-A1000の時点からケーブルの耐久性も高いので、このケースを使ってちゃんと扱ってもらえたら、そう簡単には断線しないはずです。
── そしてベースモデルの付属イヤーピースがXS/S/Mの3サイズなのに対して、有線ピヤホンはXS/S/M/Lの4サイズです。
ピ様 買ってくれた人みんなにベストな状態、最高の音で楽しんでほしいんで。しっかり選んで、それぞれの耳の大きさにフィットするイヤーピースを使ってもらいたいですね。
── なるほど。
ピ様 他にはカラーバリエーションも、当初はカッコいい系のガンメタリックのみで進めていたんですけど、かわいい系もほしいよねということで、ピンクも追加してもらいました。
マ氏 実はうちとしても「カラバリあった方がいいかも?」と考えていたところだったので、そのご提案には「待ってました!」とばかりに応えさせていただきました(笑)。
ピ様 それに、店頭でもより多くの人の目に留まってほしいので、パッケージデザインでもアピールしてます!
── 音も付属品もパッケージも完璧ですが……エントリークラスの価格に収めるために妥協せざるを得なかったところとかは無いんですか?
ピ様 無いですね。究極のハイエンドイヤホンとかを作ろうとしたわけじゃないんで。HSE-A1000という優秀なエントリーモデルがあって、そこに自分の理想を上乗せしていった感じですから。チューニングをさせてもらって、ケースも付けてイヤーピースのサイズも増やして、カラバリやパッケージにもこだわらせてもらって、もう大満足ですよ。
── ハイエンドからの引き算ではなく、HSE-A1000への足し算で生み出された決定版エントリーモデル、ですね。実際、何の妥協も不足もないどころか、至れり尽くせりな内容だと思います。
ピ様 このイヤホンをきっかけにいい音で音楽を楽しんでくれるリスナーが増えてくれたら嬉しい!とにかくそこっす!
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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