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世界初、ズーム全域で開放F値1.7を実現!

従来の常識を覆す新世代のズームレンズ。パナソニック「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.」レビュー

公開日 2020/03/27 06:30 桃井一至
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■従来の常識を覆したズームレンズのニュージェネレーション


オートフォーカスモードを自動認識に設定。動物の顔にしっかりピントを合わせて外さない。毛並みの質感描写が素晴らしく、拡大画像は思わずモニターを触りたくなるほど。ボケとのバランスもいい。(焦点距離25mmで撮影)


フォトスタイル「L.モノクローム」にて撮影。窓から淡く照らされるテーブルや椅子の背もたれの適度なボケが奥行き感を感じさせるキーになる。広角は本来、ボケがあまり出ない領域だが、大口径レンズであるからこそ、立体的にも楽しめる。(焦点距離24mmで撮影)

今回、フォトスタイルは「スタンダード」と「風景」、「L.モノクローム」を選択した。カラーはルミックス特有の適度な鮮やかさが心地よく、メリハリもあって万人受けの良い仕上がり。オートホワイトバランス(AWB)も良好で、屋内外問わず、おおむね満足のいくものだ。

階調だけで見せる白黒は、カラー以上に好みも分かれるが、「L.モノクローム」はシャドウ部に深みがあり、いつもより写真が上手くなったと錯覚するような出来栄え。今やレンズ性能を活かすには優れたボディも必要なことがよくわかる。ボディといえばDC-G9は防塵防滴だが、本レンズも同様の防塵防滴仕様。高い堅牢性と共に、悪天候下でも安心して使えること請け合いだ。


露出補正をマイナス側(-1)に調整し、雲の階調が見えるように。気の向くままにレンズを向ければ、視覚に近い視野で撮れるほか、その気になれば、あたり一面を撮り込んだり、遠近感を強めた表現も楽しめるのが本レンズの面白さだ。(焦点距離25mmで撮影)


太陽の対角線上にわずかなゴーストが見えるが、これだけ強い光にも関わらず、その部分のみに留まって、コントラストなどをキープしているのに驚く。逆光には魅力的なシーンが多いが、これなら安心して使える。(焦点距離10mmで撮影)

本レンズの立ち位置を、単なる標準ズームレンズの延長線にあるバリエーションとして捉えてしまうと、プライスやボリュームから二の足を踏みがちだが、技術の進化により、大口径広角単焦点レンズがズーム化されたものと捉えるといかがだろうか。

ズーム全域で開放F値1.7を実現したのは、デジタルカメラ用交換レンズとして世界初とのこと。長年、大口径ズームレンズの開放F値は2.8とされてきたが、それを一足飛びに超えたレンズが登場したのだから、選ぶ側の視点も従来のままでなく、切り替えが必要だ。機動性の高さに比重を置けば、それを一気に解決してくれるのが本レンズ。心の底からズームレンズのニュージェネレーションを歓迎したい。

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