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<山本敦のAV進化論 第186回>

AKGの新生“Yシリーズ”、意外にも初のノイキャンBTヘッドホン「Y600NC」をチェック

公開日 2020/04/03 06:30 山本 敦
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オーストリアの老舗オーディオブランドAKGが2014年の夏に「Yシリーズ」を発表してから、早くも6年が経とうとしている。シリーズが冠する「Y」の1文字には “Young Pro” という意味が込められている。つまり、クオリティの高い音楽やオーディオにこだわりを持つ若年層にAKGが自信を持って届けるヘッドホン・イヤホンがYシリーズなのだ。

そのYシリーズが、AKGとGalaxyによる新しいコラボレーションの形の下で、ラインナップを刷新している。2018年に発売されたワイヤレスイヤホン「Y100 WIRELESS」を皮切りとする新生・Yシリーズのアラウンドイヤー・ワイヤレスヘッドホンが「Y600NC」だ。

AKGのYシリーズで初めてアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載したワイヤレスヘッドホン「Y600NC」

型番の末尾にNCが付いていることからも分かる通り、本機はYシリーズ初のアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載するヘッドホンとしても要注目だ。位置付けとしては2015年に発売された「Y50BT」の後継モデルであり、本機Y600NCと同時期にオンイヤースタイルのワイヤレスヘッドホン「Y400 WIRELESS」が発売された。こちらはANC機能は非搭載になる。

ライトウェイトなオンイヤースタイルのワイヤレスヘッドホン「Y400 WIRELESS」も登場した

Y600NCの主なスペックを確認しよう。ハウジングは密閉型。Y50BTと口径は同じ40mmのダイナミック型ドライバーを搭載する。同梱されているリモコン付ケーブルを接続して有線リスニングも可能だが、ハイレゾ対応のヘッドホンではない。

AKGのヘッドホンのシンボルである正円形のハウジングを採用している

アームの接続部分に曲線のラインを取り入れたり、柔らかみのあるデザインにした

デザインはY50BTの基本を踏襲しているが、スライダーとアームの接続部分の形状に丸みを持たせたり、細部にアレンジを加えた。イヤーカップに大きく配置していたAKGのブランドロゴはコンパクトになって、全体的に印象は落ち着いた。スーツスタイルにも合わせやすい3色が揃う。本体をコンパクトに折り畳めるAKG独自の「3D-Axis」機構は本機にも継承されているので、バッグの中に入れて普段持ち歩くのも苦にならない。パッケージにはキャリングポーチが付属する。

アルファベットの「Y」をかたどったエレメントをさりげなく配置している

Y600NCの本体は3D Axis機構によりコンパクトに折り畳める。キャリングポーチが付属する

本体に内蔵するバッテリーで最長25時間の連続音楽再生が楽しめる。充電ケーブルにはUSB Type-Cを使う。

音質はGoogle Pxiel 4 XLをペアリングしてApple Musicで確認した。Y50BTが対応していたaptXは省略されており、BluetoothオーディオのコーデックはAACとSBCをサポートしている。

Goole Pixel 4 XLとiPhone 11 Proを使ってBluetooth再生の音を聴いた

音のバランスがフラットで、アラウンドイヤースタイルのヘッドホンならではのスケールの大きな音場感が楽しめる。音色は全体にウォーム。ボーカルやピアノの演奏にプラスアルファの熱量を感じる。アコースティックギターやベースなど、弦楽器の音の余韻をゆったりと響かせる。耳に潤いを感じさせる少しウェットな質感の音だ。Y50BTのシャープな印象の中高域が少し穏やな表情になった分、少し厚みを増した低音までスムーズにつながるサウンドにチューニングされている。

聴感上のバランスが整っているので、様々なジャンルの音楽を聴いてみても得手不得手が感じられない。言い方を変えれば、アグレッシブな演奏を聴きたい楽曲もそつなく鳴らしてしまえるヘッドホンでもある。

「AKG Headphone」アプリに内蔵されているEQ機能を使って、聴く楽曲に合わせて好みのバランスに味付けしても良いと思う。このAKGオリジナルアプリのEQ機能はプリセットを持っておらず、ユーザーが好みのバランスのEQ設定を自分で作成して、複数件保存しておくことができるのが特徴だ。数を数えたわけではないが、カスタム設定値はかなりの件数が残せるし、EQカーブの設定も変則的で自由度が高い。

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