「どこに」「何本」使うのがいいのか?
オーディオ機器内のノイズを“吸い取る” !CHORD COMPANY「グラウンドアレイ」 使いこなし徹底検証!
■グラウンドアレイの効果を検証 その1ーCDプレーヤーで試す
さて本命の「グラウンドアレイ」試聴である。アナログのRCA入力とデジタル入力に絞り、試聴システムの空き端子の推奨ポイント7カ所に差してみた。内訳はCDプレーヤーがアナログ出力×2本、デジタル出力×1本の計3本。プリアンプはアナログ入力×2本、パワーアンプにも2本差している。
全部差しだと3+2+2=7本でかなりの数だが、なかでも興味津々なのがCDプレーヤーの3本差しである。回路的な理屈で言うとプレーヤーの中心はデジタル回路なので、デジタルインの方が効きそうな気がする。いやいや、アナログインの2本も重要なのか? 1カ所で十分なのか? これは耳で聴くしかない。
信号ケーブルは「ミュージック」を使い、『ベルリオーズ/幻想交響曲』の頭のフレーズで比較しよう。もちろんベストは3本差しだが、意外とデジタル出力の1本差しの健闘が目立った。
ノイズ吸収の特性だろうか? アナログ2本差しよりもS/Nや静寂感が音に直結しているようで、弱奏ティンパニのキレがよく立ち上がりが明快。ファゴットの遠近や空気感も生々しい。古楽器の微細な響きを引き出す。一方で金管や弦バスの力強いエネルギー感ならアナログ2本差しが効いている。
結論として、最初の1本はまずデジタルで使い、余裕ができたらアナログ差しがベターだ。
■グラウンドアレイの効果を検証 その2ーアンプで試す
CDプレーヤーは2カ所差しのまま、プリは0本→片ch(1本)→両ch(2本)の3パターンを聴き比べよう。数が増えるほど雑味やきつさが消えて、弦の濡れたようなみずみずしさや響きの余韻感が抜群だ。
パワーアンプも同様に、0本→片ch(1本)→両ch(2本)だが、音色の傾向はほぼ保ったまま、本数が多いほど空間が密になり、演奏のエネルギー表現が確かに高まった。あくまで筆者の印象だが、差す箇所や本数によって、明らかな差が聴けるのはユーザー冥利だ。ひとつ断っておくと、「スーパーアレイ採用のケーブルがあればグラウンドアレイは必要ないのでは?」というのは間違いだということが今回の試聴で分かった。むしろ併用して欲しいケースだ。
ただし、異なるメーカーの空き端子対策アクセサリーと併用することは、グラウンドアレイ本来の効果が発揮できない場合もあるようだ。ぜひとも各々、別々でテストし効果をジャッジして欲しい。
■ユーザーの自宅でもテスト ハイエンドシステムでの音質改善効果をテスト
最後は番外編で、ルーム環境やシステムが変わると「グラウンドアレイ」の効果はどう出るのか? コード・カンパニーのユーザーでもある高橋 潤さんのお宅に場所を移して試聴した。ユニバーサル・プレーヤーとプリアンプはAyre製。ビオラのチャンデバでパワーアンプはオール・マークレビンソン。スピーカーは大型の4ウェイというハイエンドなシステムである。
高橋さんのシステムは、とにかく空き端子が多い! 数えきれないくらいだが、打てば響く反応のよい装置だからこそ、どんな効果も鮮烈に出るはすだ。アーロン・ネヴィル、ショーン・コルヴィンという定番のグラミー賞歌手をかけてもらい、プレーヤーから対策を開始。
まず1本差しだ。「やはりデジタルからでしょう」。高橋さんの声が飛んだ。みなさん息を呑む。どんな微細音も逃さず、さらに空間の純度とS/Nを高めてくる感触だ。続いてアナログ出力にもう1本。陰影感や深みが増して、鳥肌の立つ効果だった。「じゃあプレーヤーに2本ずつ、プリにもう1本差して、チャンデバに2本」……。こうして次々に増設していくのだが、副作用なく効果も飽和せず、いくらでもリニアにアップするからもう納得するしかない。
身を乗り出したのは、最後にトゥイーター駆動専用のパワーアンプの空き端子に2本差した時である。超高域は倍音やエア感を大きく左右することが如実に分かるだろう。リンダ・ロンシュタットの美声がさらに透き通って空間へと伸び、オーバーダビングの豊かなハモリに包まれた。その後拙宅でもさまざま実験中だ、「グラウンドアレイ」の素晴らしい魅力や新発見など、いずれ報告したいと思う。
本記事は季刊・analog vol.67 Springからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。