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【特別企画】マイク技術を活用した外音取り込みも秀逸

Shure初のノイキャンBTヘッドホン「AONIC 50」は、音質も機能もすでに“横綱級”の逸品だ!

公開日 2020/08/05 06:30 海上 忍
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Bluetoothに切り替えても、そのサウンドキャラクターに大きな変化はない。コーデックがLDACということもあるのだろうが、高域はすっきり見通しがよく、ボーカルの定位が明瞭だ。低域にもドライブ感があり、音ぎれもいい。音の輪郭の緻密さ、解像感という点ではUSB/デジタルに譲るが、Bluetoothヘッドホンとしてはかなりの高みに到達していることは間違いない。

それにしても、ノイズキャンセルが絶妙な味付けだ。側面のスイッチをANC側に動かすと、換気扇の音や電車の走行音、自動車のロードノイズがすっと穏やかになる。完全に姿を消すわけではないが、意識しないレベルにまで低下するのだ。

音楽再生を停止してノイズキャンセルのみ有効な状態にしたところ、その味付けが少し理解できた。音域全体のノイズを満遍なく除去しようというのではなく、人間が不快に感じる音・音域にターゲットを絞り、ノイズを低減しているようなのだ。その証拠に、近くのテレビニュースの声は聞き取れるし、他のANCヘッドホン・イヤホンで時折感じる不自然な圧迫感や閉塞感もない。

ノイキャンは圧迫感や閉塞感がなく、それでいてノイズを意識しないレベルまで低減する絶妙さ

ノイズキャンセルは、マイクで集音したノイズに逆位相の波形を再生音に重ねるアクティブ方式と、耳・鼓膜に周囲の雑音が届かないよう物理的に遮断するパッシブ方式の2つの技術により実現されるが、AONIC 50のイヤーパッドには適度なクッション性があり、長時間装着しても辛くならない程度の側圧がある。

「SM58」など、数々のミュージシャンに愛用されているマイクのメーカーなだけに、集音用マイクにも長年の知見が生かされているようで、外音取り込み機能も実に優秀。ビデオ会議などの通話時においても、その性能を遺憾なく発揮してくれる。

業務用マイクで名を馳せるメーカーなだけあって、リスニングだけでなくビデオ会議などのヘッドセットにも最適だ

AONIC 50は“遥か先を見据えた”ノイキャンBTヘッドホン

Bluetoothヘッドホンは、ワイヤレスであることだけで価値があった時代から「+α」が求められる時代への過渡期にある。+αとは例えばコーデックやノイズキャンセルなどがそれにあたるが、プロセッサさえ入手すればある程度の機能は実装できてしまうだけに、+αだけでは早晩アピールできなくなることは目に見えている。

AONIC 50と1週間を共に過ごし気付いたのは、その+αが手段でも目的でもなく「通過点」という事実だ。ノイズキャンセルは効果の有無だけでなく、自然な効きにまで昇華。ワイヤレス対応は単にBluetoothで接続できるという次元を超え、独自設計ヘッドホンアンプの採用にまで踏み込んでいる。

USB/デジタル接続のサポートも、消費者のニーズを汲んだというよりは、ポテンシャルをフルに発揮できる環境を提供すべきというメーカーの信念と映る。本機は初のBluetoothノイズキャンセルヘッドホンだが、Shureは遥か先を見据えているようだ。

強いていえば、本体が折り畳み機構ではなく、そのぶんケースが大柄なことが気になるが、そこはご愛嬌。スイーベル機構ではあるため、移動中は首もとに下げて利用できるし、目に見えるところに置いておけるオーナーとしての愉悦も享受できる。一度体験すれば、この提案があながち大げさでないことは理解できるはずだ。

(協力:シュア・ジャパン)

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