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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第257回】

ドラム好き必聴!あのZildjianのイヤモニを日本が誇るドラマー3人の曲でチェック

公開日 2020/10/03 07:00 高橋 敦
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ジルジャンイヤモニで聴くドラム祭り!一曲目は、X JAPAN「DAHLIA」

しかし!ここからが本番!
その「モニターサウンド+ジルジャン仕上げ」なイヤモニで、ドラムがかっこいい曲を聴きまくっていこう!

ということで初っ端から聴くのは、X JAPAN「DAHLIA」
YOSHIKIさんのハイスパートドラミングが究極形態に到達したと言える曲であり、またそのハイスパートドラミングが収められた音源としては最高の録音クオリティな曲でもある。

X JAPAN「DAHLIA」

スネアとバスドラはオンマイク集音した音と、それを大型スピーカーを通してスタジオルームに響かせたサウンドを合わせて録音し、それらをミックスして理想の音にするという試みも行われているとのこと。

早速聴いてみると……
チタンシェルドラムをハードヒットすることで叩き出される、ドライでスピーディーな音色。その質感と速さをジルジャンイヤモニは見事に届けてくれる!

このドラムスは大きめに目立たせたミックスはされておらず、むしろやや奥の方に定位しているのだが、その距離感からの耳元というか、脳内への音の到達の速さが! そして存在感が存分に引き出される!

低域側のアタックや抜けのクリアさについては、イントロのギターリフやAメロの裏に効果的に挿入されてくるあの「YOSHIKIの2バス」を聴いてもらうのがわかりやすいだろう。

この曲のBPMは173とのことだから、1拍=4分音符の長さは約0.35秒。2バスは16分音符でぶち込まれているので約0.35秒に4発。1秒換算で約11発/秒の速さだ。その速さと密度でぶち込まれてくる2バスのアタックを、ジルジャンイヤモニは変に強調して耳に痛い音にすることもなく、気持ちよく確実に届けてくれる! これはいいぞ!

続いては! 凛として時雨「abnormalize」

勢いに乗って続いては、凛として時雨「abnormalize」。ドラマーはオーディオ界隈でもおなじみピエール中野さん。

凛として時雨「abnormalize」

この曲の特徴的でいてオーディオ的に難しいポイントは、ミックスにおけるドラムスのポジショニング。「DAHLIA」と同じく基本的に奥に置かれている上に、特にサビでは、前方の他の音がぶわっと広がることで、ドラムスは相対的にさらに奥に行き、それらの音にマスキングされていく印象となる。後半のサビではその度合いがさらに強まり、スネアの音さえ聴こえなくなってきたぞ=手数の多いフィルインとかもうほぼ聴こえねえ! ってくらい他の音に溶け込んでいく瞬間さえあるのだが……

しかし聴こえる! 脳内的には聴こえる!
どういうことかというと、リスナーの頭には、前半サビではまだ聴こえてたフレーズが、壮絶なフィルインが、そのインパクトが残っているのだ。なので後半サビでそれらが耳からはほぼ聴こえなくなっている場面でも、微かに聴こえてくる音をガイドに、前半で聴いたあのドラミングの残像が脳内に浮かんでくる!

それによって「ボーカルやギターが普通じゃないくらいぶわっと前に来て曲の世界を変質させる」という思い切った演出と、「しかしその後ろでは強靭なビートが続いている」という感覚が両立されているのだ! たぶん!

だがその感覚を生み出すためには、
「前半のサビの時点でも奥に定位しているドラムを、それでもしっかり印象付けて残像を残す」
「後半のサビでは背景にかなり溶け込んでいくドラムを、溶け込ませつつ『でも何となく聴こえてくる』ようにはすることで、前半の残像を呼び起こす」
ということが必要。

ジルジャンのイヤモニはそれを成し遂げる! 「DAHLIA」でもそうだったように、奥めに定位するドラムスのその配置はそのままに、その奥からクリアな音を飛ばしてきてくれる。ドラムの凄さだけでなく、こうしたアレンジやミックス、サウンドデザインの凄さも、ジルジャンイヤモニはしっかり表現してくれるのだ。

次ページ最後は高橋幸宏さんの「End Of An Error」

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