HOME > レビュー > オーディオブランドが開発したスイッチングハブ「8Switch」でネットオーディオの音質改善!

【特別企画】CHORD COMPANYのLANケーブルも総チェック

オーディオブランドが開発したスイッチングハブ「8Switch」でネットオーディオの音質改善!

公開日 2020/11/09 06:45 林 正儀
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■ハブとNASの間で、LANケーブル6モデルを一斉比較

もうひとつのテーマは、8SwitchにCHORD COMPANY社のLANケーブル全ラインナップをつなぎ、怒濤の一気聴き。エントリークラスのC-Streamから最高峰のChordMusicまで6機種だが、独自のアレイ技術や素材をグレードによって使い分け、音決めをしているのだ。

試聴は8SwitchのハブとDELAのNAS間で行おう(ハブとスフォルツァートのネットワークプレーヤー間は「Signature」で固定)。参考のため、市販で数百円のLANケーブルをまず聴いておく。かなり酷い。伝送性能が悪いため耳に刺さってナローレンジだし、ヴォーカルは圧縮音声のよう。「La Habanera」はほぐれず音が固まってダンゴ状。市販品はこの程度だと知って欲しい。

(1)「C-Stream」すべてのオーディオ的要素がバランスよく、表情が豊かに

「C-Stream」2本ずつ束ねてシールドした上で、全てをまとめてもう1度シールドする2重設計。金メッキを施したモールドプラグを採用。¥8,000/税抜/0.75m

ここからCHORD COMPANYの製品が続く。いきなり来たか。エントリーのC-Streamと最初の市販ケーブルとでは “月とスッポン” の大変化だ。音そのものがほぐれてナチュラルかつ伸びやかに。すべてのオーディオ的な要素がバランスよく向上。ヴォーカルやバンドものも格段にクリアで生き生きと表情豊かになった。これでこそ音楽鑑賞に値する。

(2)「Shawline」ヴォーカルの再現力が上がり、大音量でもスムーズ

「Shawline」モールドプラグの端子部に24金メッキを採用。またシールドとしての機能も備えた亜鉛メッキのカバーも装着。¥38,000/税抜/0.75m

C-Streamで十分なのではと思えるクオリティだったが、Shawlineでもう一段上がる。S/Nや微弱音のレスポンスが向上。ジョイス・カーの感情を込めていねいに歌うヴォーカルの再現力が上がり、「La Habanera」はよりエネルギッシュで空間が密。大音量までスムーズに伸びてくれた。

(3)「Epic」伝送能力とグレードがさらにアップ。スケールの大きな華やかさも

「Epic」繊細な作業を要すため、LAN端子としては異例となる手作業でのハンダ付けを採用。¥86,000/税抜/1.0m

中堅ミドルのEpicやこの次に試聴するSignatureになると、CHORD COMPANYのポリシーの延長上でさらに伝送能力とグレード感が増す印象だ。Epicでは「La Habanera」のスケールの大きな華やかさや、ヴォーカルの豊潤な響きがまったく違う。音域が広がって表情もいっそう克明になった。

(4)「Signature」 シンガーの気配と体温感まで伝えてくる

「Signature」厳重な高・低周波シールドやチューンドアレイテクノロジー等、同社を象徴する技術を搭載。¥140,000/税抜/1.0m

EpicとSignatureでは値段が倍であるが、どれだけ音質に差があるのだろう? “少し変わった” くらいではユーザーも納得しないはず。そんな思いで聴くと、Signatureの音は優に2倍を越えていた。美声のシンガーがそこにいる。その気配と体温感までリアルに伝える生々しさだし、お祭り騒ぎはさらに盛り上がって空間力と集中力が漲ったのだ。ドラマの半沢直樹ではないが、倍返しならぬ恩返し、いや音で返すから、これぞ「音返し(おんがえし)」だろう(笑)。

(5)「Sarum T」「ChordMusic」生以上に生々しい女神のようなヴォーカル

「Sarum T」 新開発の絶縁材「タイロン」を投入。スーパーアレイテクノロジー、厳重な高・低周波シールド、ダイレクト銀メッキを施した高品位な無酸素銅線を採用したハイエンドモデル。¥400,000/税抜/1.0m

「ChordMusic」最上級「スーパーアレイテクノロジー」、最高レベルの高周波シールド、磁気シールドを採用するなど、理想を集約させた最高峰シリーズ。¥760,000/税抜/1.0m

最高峰の2モデルSarum TとChordMusicは、もはや別次元である。価格も急上昇だが、これに見合う以上のサウンド。生以上に生々しいジョイス・カーの女神のようなヴォーカルや、カ−ニバルのまっただ中に放りこまれた感がすごい。その放射エネルギーと音数も膨大、巨大な空間にのみこまれる感動である。Sarum TとChordMusicの差は読者にご想像いただきたいのだが、高価なLANケーブルの差を正確に描き分ける8Switchの性能にもあらためて驚かされた次第。まさしく “コード・マジック” といえるものだ。

■NASの空き端子に効果あり! LAN仕様の「グラウンドアレイ」を追加

最後に番外編的ではあるが、CHORD COMPANYから発売され、話題の “ノイズ・ポンプ(ノイズ吸収プラグ)” の「グラウンドアレイ」を8Switchに差したらどうなってしまうのか? 確認しておきたい。

NASの空き端子にグラウンドアレイを挿入

ハブかNASか、どちらの方がより効果があるのか? それぞれの空き端子にLAN仕様の「グラウンドアレイ」を差してみると、どちらも明白な効果をみせてくれたが、今回はどのメーカーのハブを仕様しているかにもよるが、NASに差した方がより効果は高かった。

曲によっても違いはあるのだが、ChordMusicのLANケーブルを使用した時と傾向がよく似ている。背景の決定的な静けさが透明さやしなやかさを引き出し、とにかく質感描写が絶妙だ。低音域も豊かで反応がよく、精密なテクスチャーと立体的なコントラスト感が構築されるからたまらない。

「グラウンドアレイ」に続き、今回登場した8SwitchやLANケーブルの充実したラインナップも含め、最新のネットワーク再生でも進化を加速させるCHORD COMPANYの躍進に期待は高まる。


アンダンテラルゴの製品を自宅システムで体験できる、無料貸し出しサービス実施中
本記事は季刊・analog vol.69 Autumnからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク