【特別企画】CHORD COMPANYのLANケーブルも総チェック
オーディオブランドが開発したスイッチングハブ「8Switch」でネットオーディオの音質改善!
■ハブとNASの間で、LANケーブル6モデルを一斉比較
もうひとつのテーマは、8SwitchにCHORD COMPANY社のLANケーブル全ラインナップをつなぎ、怒濤の一気聴き。エントリークラスのC-Streamから最高峰のChordMusicまで6機種だが、独自のアレイ技術や素材をグレードによって使い分け、音決めをしているのだ。
試聴は8SwitchのハブとDELAのNAS間で行おう(ハブとスフォルツァートのネットワークプレーヤー間は「Signature」で固定)。参考のため、市販で数百円のLANケーブルをまず聴いておく。かなり酷い。伝送性能が悪いため耳に刺さってナローレンジだし、ヴォーカルは圧縮音声のよう。「La Habanera」はほぐれず音が固まってダンゴ状。市販品はこの程度だと知って欲しい。
(1)「C-Stream」すべてのオーディオ的要素がバランスよく、表情が豊かに
ここからCHORD COMPANYの製品が続く。いきなり来たか。エントリーのC-Streamと最初の市販ケーブルとでは “月とスッポン” の大変化だ。音そのものがほぐれてナチュラルかつ伸びやかに。すべてのオーディオ的な要素がバランスよく向上。ヴォーカルやバンドものも格段にクリアで生き生きと表情豊かになった。これでこそ音楽鑑賞に値する。
(2)「Shawline」ヴォーカルの再現力が上がり、大音量でもスムーズ
C-Streamで十分なのではと思えるクオリティだったが、Shawlineでもう一段上がる。S/Nや微弱音のレスポンスが向上。ジョイス・カーの感情を込めていねいに歌うヴォーカルの再現力が上がり、「La Habanera」はよりエネルギッシュで空間が密。大音量までスムーズに伸びてくれた。
(3)「Epic」伝送能力とグレードがさらにアップ。スケールの大きな華やかさも
中堅ミドルのEpicやこの次に試聴するSignatureになると、CHORD COMPANYのポリシーの延長上でさらに伝送能力とグレード感が増す印象だ。Epicでは「La Habanera」のスケールの大きな華やかさや、ヴォーカルの豊潤な響きがまったく違う。音域が広がって表情もいっそう克明になった。
(4)「Signature」 シンガーの気配と体温感まで伝えてくる
EpicとSignatureでは値段が倍であるが、どれだけ音質に差があるのだろう? “少し変わった” くらいではユーザーも納得しないはず。そんな思いで聴くと、Signatureの音は優に2倍を越えていた。美声のシンガーがそこにいる。その気配と体温感までリアルに伝える生々しさだし、お祭り騒ぎはさらに盛り上がって空間力と集中力が漲ったのだ。ドラマの半沢直樹ではないが、倍返しならぬ恩返し、いや音で返すから、これぞ「音返し(おんがえし)」だろう(笑)。
(5)「Sarum T」「ChordMusic」生以上に生々しい女神のようなヴォーカル
最高峰の2モデルSarum TとChordMusicは、もはや別次元である。価格も急上昇だが、これに見合う以上のサウンド。生以上に生々しいジョイス・カーの女神のようなヴォーカルや、カ−ニバルのまっただ中に放りこまれた感がすごい。その放射エネルギーと音数も膨大、巨大な空間にのみこまれる感動である。Sarum TとChordMusicの差は読者にご想像いただきたいのだが、高価なLANケーブルの差を正確に描き分ける8Switchの性能にもあらためて驚かされた次第。まさしく “コード・マジック” といえるものだ。
■NASの空き端子に効果あり! LAN仕様の「グラウンドアレイ」を追加
最後に番外編的ではあるが、CHORD COMPANYから発売され、話題の “ノイズ・ポンプ(ノイズ吸収プラグ)” の「グラウンドアレイ」を8Switchに差したらどうなってしまうのか? 確認しておきたい。
ハブかNASか、どちらの方がより効果があるのか? それぞれの空き端子にLAN仕様の「グラウンドアレイ」を差してみると、どちらも明白な効果をみせてくれたが、今回はどのメーカーのハブを仕様しているかにもよるが、NASに差した方がより効果は高かった。
曲によっても違いはあるのだが、ChordMusicのLANケーブルを使用した時と傾向がよく似ている。背景の決定的な静けさが透明さやしなやかさを引き出し、とにかく質感描写が絶妙だ。低音域も豊かで反応がよく、精密なテクスチャーと立体的なコントラスト感が構築されるからたまらない。
「グラウンドアレイ」に続き、今回登場した8SwitchやLANケーブルの充実したラインナップも含め、最新のネットワーク再生でも進化を加速させるCHORD COMPANYの躍進に期待は高まる。
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本記事は季刊・analog vol.69 Autumnからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから