評論家・会田 肇がレビュー
ケンウッドの球体360度ドライブレコーダー「DRV-CW560」を試す! スマホ連携の利点とは?
ケンウッドが8月下旬に発売した360度撮影対応ドライブレコーダー「DRV-C750」に続いて、同タイプ2機種目となる「DRV-CW560」を発売した。C750はディスプレイを備えていたが、CW560はディスプレイを備えずWi-Fi接続してスマートフォンと連携するタイプ。「DRV-CW560」をさっそくテストすることにした。
本機に搭載するセンサーは、業界最高だという解像度2,160×2,160(約466万画素)記録を実現するソニー製約840万画素CMOSセンサー「STARVIS」となった。これで前方、後方、左右の360度撮影に加え、垂直方向は約210度までの撮影を可能とし、今もなお被害の声が少なくない“あおり”運転や車室内での万一のトラブルに備える。明暗差が強いシーンでも「WDR機能」がこれをサポート。特にSTARVISの採用はC750にも採用されていなかったセンサーであり、F1.8の明るいレンズを組み合わせとも相まって昼夜を問わず鮮明な記録を可能にした。本機にとって大きなアドバンテージになるだろう。
本機はディスプレイを備えなかったこともあり、本体はほぼ真ん丸のユニークなデザインを創り出している。カメラは下向きに取り付けられているが、これは1枚のセンサーで360度撮影を行うため。そのため、フロントウインドウに取り付けた格好は妖怪漫画に登場するキャラクターのようにも見える。本体上部には凹みも備えられており、スイッチを押すときやアングルを変えるときのグリップとして使うと重宝する。また、記録メディアに使うmicro SDカードを出し入れする挿入スロットが手前にあったり、スピーカーを聞きやすい車内側に配置するなど、使う側に立ったいろんな気遣いが感じられる設計だ。
さて、本機の使い勝手を左右するのが専用アプリ「Street Tracker Mobile」だ。これをスマホ上にインストールし、このアプリと無線LANを介して連携させることで初めてCW560で記録した映像が確認できるようになるというものだ。
スマホ画面では5種類のビューモードから好みのモードが選択でき、出掛けた先で様々な角度で映像を確認できる。特に360度ドラレコでは多彩なアングルで再生できるが、その一方でドラレコ本体にディスプレイを装備したとしても画面サイズが小さ過ぎてその内容は把握しにくい。その点、スマホ上で展開できればより大きな画面として見られるわけで、これは出掛けた先で映像チェックが必要になったとき大きなメリットになる。
加えて、映像をチェックするときは同時に撮影した場所を示す地図も表示できる。これはCW560のGPS機能によって取得したデータを反映したものだ。このデータには正確な時刻情報も含まれ、その上で加速度センサーによる車両の速度も反映できる。つまり、これらの情報は交通トラブルが発生したときのより正確な証拠としても活用できるのだ。また、地図とのリンクはドライブでの思い出を振り返るのにも役立つ。アプリ一つが様々なシーンで活用範囲を広げてくれるというわけだ。
もう一つ、このアプリとの連携で役に立つのがドラレコの各種設定がスマホ上で可能となることだ。一般的にドラレコで設定する時は小さな画面を見ながらスイッチでスクロールすることがほとんど。正直言えば、この画面を見ながら設定するのは特に中高年にとってツライものがある。その点、本機の設定をスマホ上で行うと本当に楽チンだ。各機能の設定状態がひと目で把握できるため操作は想像以上にスムーズだ。この方法を体験するとその便利さ故に後戻りできない。
それとPC上で撮影したデータを展開するには専用ビューアーソフトとして「KENWOOD STREET TRACKER」を使う。このアプリでは方位やGセンサーの状況が同時に確認できるようになり、必要なシーンを静止画キャプチャーできる専用ボタンも装備される。こちらも合わせて使うことをおすすめしたい。
記録フレームレートは27fps。これはLED信号と表示周期に同期しないため、無点灯状態で記録されてしまうことを防ぐのに効果的だ。地デジやラジオへのノイズ干渉を抑える地デジ干渉対策も対応済みだ。記録エラーが起きにくい独自記録システムを採用したことでSDカードの定期的なフォーマットが不要としているのも嬉しい。さらに、別売りの車載電源ケーブル「JVC CU-BC100」を組み合わせることで、最長約10時間の駐車監視録画も可能になる。駐車中の衝撃や動体の検知もでき、検知前の5秒間と検知後の25秒間の計30秒間の録画が可能。タイムラプス録画にも対応し、駐車中の状態が気になる人はこれを組み合わせることをおすすめする。
その記録映像をチェックして感じたのは、360度型ドラレコとしては十分な解像度を伴っていたということ。このタイプは1枚のセンサーで360度全域を撮影して一部だけを切り取ることになるため、解像度はどうしても甘く表現されてしまう。その故、たとえば前方だけを捉えるドラレコのように高い解像度は望めないのだ。そんな中で本機は、フルHDの約2倍に迫る2,160×2,160ドットを実現。周辺にまで近づいた車両ならナンバーが十分読み取れる実力を備えた。つまり、衝突や煽ってきた車両なら当該車両の情報はきちんと捉えられるということだ。この実力なら前方や側方からのトラブル発生にも十分対処できる。
また、車内外の輝度差についてもWDR機能が効いているためか、車外が明るい昼間でも前席なら鮮明に記録できている。さらに曇天や雨天時、あるいは明るさが落ちてくる夕方になると明るさが平均化し、鮮明度が増す。また、輝度が下がってもノイズ、くすみが抑えられており、これはセンサーにSTARVISを採用した効果なんだろうと思う。
さらにスマホやPC上で展開される5種類のビューモードを使えば多彩な映像表現が可能になる。特に一部分をクローズアップする「切り出し」では見たい部分をグルグルと自由に回して映像を確認できる。これぞ360度型ドラレコの醍醐味と言っていいだろう。ただ、本機は後方カメラとの組み合わせはできないため、後方映像を鮮明に撮影することは難しいことも知っておきたい。
では、どんな人にこのドラレコは向くのか。端的に言って、解像度や画質を重視する人には向かない。可能な限り広い範囲を捉えておき、その中から必要な部分を切り出して使いたいという人にとっては本機の能力を十分活かすことが可能だろう。そのためにはアプリとの併用は欠かせない。スマホだけでもかなり使い勝手はいいと思うが、機能をフルに使いたいのであればPCでの利用もおすすめだ。360度で撮影した映像の価値がさらに高まるからだ。360度撮影対応ドラレコのメリットをCW560で存分に味わって欲しいと思う。
本機に搭載するセンサーは、業界最高だという解像度2,160×2,160(約466万画素)記録を実現するソニー製約840万画素CMOSセンサー「STARVIS」となった。これで前方、後方、左右の360度撮影に加え、垂直方向は約210度までの撮影を可能とし、今もなお被害の声が少なくない“あおり”運転や車室内での万一のトラブルに備える。明暗差が強いシーンでも「WDR機能」がこれをサポート。特にSTARVISの採用はC750にも採用されていなかったセンサーであり、F1.8の明るいレンズを組み合わせとも相まって昼夜を問わず鮮明な記録を可能にした。本機にとって大きなアドバンテージになるだろう。
本機はディスプレイを備えなかったこともあり、本体はほぼ真ん丸のユニークなデザインを創り出している。カメラは下向きに取り付けられているが、これは1枚のセンサーで360度撮影を行うため。そのため、フロントウインドウに取り付けた格好は妖怪漫画に登場するキャラクターのようにも見える。本体上部には凹みも備えられており、スイッチを押すときやアングルを変えるときのグリップとして使うと重宝する。また、記録メディアに使うmicro SDカードを出し入れする挿入スロットが手前にあったり、スピーカーを聞きやすい車内側に配置するなど、使う側に立ったいろんな気遣いが感じられる設計だ。
さて、本機の使い勝手を左右するのが専用アプリ「Street Tracker Mobile」だ。これをスマホ上にインストールし、このアプリと無線LANを介して連携させることで初めてCW560で記録した映像が確認できるようになるというものだ。
スマホ画面では5種類のビューモードから好みのモードが選択でき、出掛けた先で様々な角度で映像を確認できる。特に360度ドラレコでは多彩なアングルで再生できるが、その一方でドラレコ本体にディスプレイを装備したとしても画面サイズが小さ過ぎてその内容は把握しにくい。その点、スマホ上で展開できればより大きな画面として見られるわけで、これは出掛けた先で映像チェックが必要になったとき大きなメリットになる。
加えて、映像をチェックするときは同時に撮影した場所を示す地図も表示できる。これはCW560のGPS機能によって取得したデータを反映したものだ。このデータには正確な時刻情報も含まれ、その上で加速度センサーによる車両の速度も反映できる。つまり、これらの情報は交通トラブルが発生したときのより正確な証拠としても活用できるのだ。また、地図とのリンクはドライブでの思い出を振り返るのにも役立つ。アプリ一つが様々なシーンで活用範囲を広げてくれるというわけだ。
もう一つ、このアプリとの連携で役に立つのがドラレコの各種設定がスマホ上で可能となることだ。一般的にドラレコで設定する時は小さな画面を見ながらスイッチでスクロールすることがほとんど。正直言えば、この画面を見ながら設定するのは特に中高年にとってツライものがある。その点、本機の設定をスマホ上で行うと本当に楽チンだ。各機能の設定状態がひと目で把握できるため操作は想像以上にスムーズだ。この方法を体験するとその便利さ故に後戻りできない。
それとPC上で撮影したデータを展開するには専用ビューアーソフトとして「KENWOOD STREET TRACKER」を使う。このアプリでは方位やGセンサーの状況が同時に確認できるようになり、必要なシーンを静止画キャプチャーできる専用ボタンも装備される。こちらも合わせて使うことをおすすめしたい。
記録フレームレートは27fps。これはLED信号と表示周期に同期しないため、無点灯状態で記録されてしまうことを防ぐのに効果的だ。地デジやラジオへのノイズ干渉を抑える地デジ干渉対策も対応済みだ。記録エラーが起きにくい独自記録システムを採用したことでSDカードの定期的なフォーマットが不要としているのも嬉しい。さらに、別売りの車載電源ケーブル「JVC CU-BC100」を組み合わせることで、最長約10時間の駐車監視録画も可能になる。駐車中の衝撃や動体の検知もでき、検知前の5秒間と検知後の25秒間の計30秒間の録画が可能。タイムラプス録画にも対応し、駐車中の状態が気になる人はこれを組み合わせることをおすすめする。
その記録映像をチェックして感じたのは、360度型ドラレコとしては十分な解像度を伴っていたということ。このタイプは1枚のセンサーで360度全域を撮影して一部だけを切り取ることになるため、解像度はどうしても甘く表現されてしまう。その故、たとえば前方だけを捉えるドラレコのように高い解像度は望めないのだ。そんな中で本機は、フルHDの約2倍に迫る2,160×2,160ドットを実現。周辺にまで近づいた車両ならナンバーが十分読み取れる実力を備えた。つまり、衝突や煽ってきた車両なら当該車両の情報はきちんと捉えられるということだ。この実力なら前方や側方からのトラブル発生にも十分対処できる。
また、車内外の輝度差についてもWDR機能が効いているためか、車外が明るい昼間でも前席なら鮮明に記録できている。さらに曇天や雨天時、あるいは明るさが落ちてくる夕方になると明るさが平均化し、鮮明度が増す。また、輝度が下がってもノイズ、くすみが抑えられており、これはセンサーにSTARVISを採用した効果なんだろうと思う。
さらにスマホやPC上で展開される5種類のビューモードを使えば多彩な映像表現が可能になる。特に一部分をクローズアップする「切り出し」では見たい部分をグルグルと自由に回して映像を確認できる。これぞ360度型ドラレコの醍醐味と言っていいだろう。ただ、本機は後方カメラとの組み合わせはできないため、後方映像を鮮明に撮影することは難しいことも知っておきたい。
では、どんな人にこのドラレコは向くのか。端的に言って、解像度や画質を重視する人には向かない。可能な限り広い範囲を捉えておき、その中から必要な部分を切り出して使いたいという人にとっては本機の能力を十分活かすことが可能だろう。そのためにはアプリとの併用は欠かせない。スマホだけでもかなり使い勝手はいいと思うが、機能をフルに使いたいのであればPCでの利用もおすすめだ。360度で撮影した映像の価値がさらに高まるからだ。360度撮影対応ドラレコのメリットをCW560で存分に味わって欲しいと思う。