【特別企画】オーディオアクセサリー銘機賞 グランプリ受賞
電源の空き端子に挿すだけ、CHORD COMPANY“パワーアレイ”の効果を評論家6名が語る!
■明朗闊達に伸びる音楽表現は、まさにオーディオの醍醐味(炭山)
CHORD COMPANYといえば、他の誰も考えつかない独創的な構造のケーブルで、他のどこも成し得なかった再生音の世界を構築している社、という印象が強い。そんな同社がケーブル以外の製品を出してきて驚いたのが、「グラウンドアレイ」と名付けられた一連の製品群である。当初は主にインターコネクト系の空き端子へ挿して使用する製品がラインアップされ、RCA、XLR、LAN、USB、BNCにHDMIまでそろっている。
RCAとXLRは自宅のシステムでもじっくり試すことがかなったが、一聴してあまりにも歴然としたノイズフロアの低下と解像度の向上、音場の掃き清められたようなクリーンさにもう離れ難くなってしまい、結局RCAを我が家へ常駐願うこととなった。
そして今秋、満を持していた感のある電源コネクター用が登場した。改めて輸入元アンダンテラルゴの鈴木代表にじっくりと解説していただいたが、3ピン方式のコネクター・ブレードに100Vの電流は流れない、というか回路としては繋がっていないそうで、それぞれのピンから高周波のノイズのみを吸収する機構となっている。見た目も少し丈の長いコンセント・プラグという感じだし、空きコンセントが1口あれば、システムの邪魔にならず使えるグッズといってよいだろう。
試聴は小社試聴室で行った。まずデフォルトで音楽を聴き、本機を電源タップへ挿して再び同じ曲を聴いたのだが、最初の数秒で笑ってしまった。もうまるで音の品位が段違いになり、やや渋めの輝きをまといつつ、明朗闊達にどこまでも伸びる音楽表現は、まさにオーディオの醍醐味といってよい。この音質向上はどこか同社の最高峰「ChordMusic」のケーブルへ取り替えた時の印象に近いものがある。やはり同じエンジニアが共通の“真実”へ向けて、心血を注いだ作品だからであろう。
また、グラウンドアレイよりも電源の方が効き目が大きいようにも感じられた。電源こそがあらゆる源で、すべての機器へ効果が及ぶからであろう。その後自宅でも試してみたが、一応は電源周りを対策している我が家でも、かなりしっかりと効き目が感じられた。本当にすごいグッズである。
■低域での解像度が見違えるほど向上。画期的な製品と言える(井上)
昨年発売されたグラウンドアレイには驚愕したものだが、その技術を今度は電源に応用して「パワーアレイ」が開発された。目的はもちろん同様で、電源に含まれる高周波ノイズを吸収・排除すること。そして今回もその目的は見事に達成されたのである。
アレイ・テクノロジーは元々、ケーブルのノイズ対策から発見された現象が基礎になっている。電気信号はインピーダンスが急変すると反射を起こす。特に高周波になるほど反射が起きやすい。このことを利用して、端子との接点で起きた高周波の反射を別の導体に導いて解消するのがアレイ・テクノロジーだ。
グラウンドアレイもそうだが、今回のパワーアレイにも同様の構成が採用されている。その効果は目覚ましく、再生音全体に絡むノイズっぽさ、要するに汚れや濁りがきれいに消えて静かさが際立つ。特に低域での解像度が見違えるほど向上することに目をみはる思いがする。エネルギーも高まって彫りが深く、音楽が洗い直したように新鮮だ。一般的なフィルターとは違う画期的な製品である。
■グラウンドアレイとパワーアレイの複数使いはメリットあり(福田)
CHORD COMPANY社のアレイ技術は、機器内部で発生した高周波ノイズを減衰させる目的がある。2019年に発表された機器の空き端子に使うグラウンドアレイはアース経路のみに作用する構造で、その効果は注目されるものとなった。
今回のパワーアレイも基本原理は共通しているが、電流経路に直接作用しない方法でノイズを減衰させる効果を研究した製品である。電源ボックスや壁コンセントの空き端子に装着するだけで使える方式である。電源ボックスの場合は入力インレットに近い位置セットするのが推奨されているが、インレットから一番遠いコンセントにまず結線されている製品もある。不明な場合はメーカーに確認して欲しい。
テスト試聴すると、S/Nを高め混濁が排除されすっきりした音に効果を見せる。輪郭をはっきりさせ解像度が向上する。明らかに音のゆるみ、ぼやけ、ふくらみが改善され表現精度が高くなるのが魅力である。この種の製品を2個使う方法もあるが、筆者は2倍の効果を発揮するとは考えていない。グラウンドアレイとパワーアレイという複数使いであればメリットがあるだろう。