評論家・土方久明が試す
JVCの8K/4Kプロジェクターがさらに進化。新機能「Theater Optimizer」の効果をチェック!
JVCケンウッドは2020年11月、D-ILAプロジェクター「DLA-V9R」「DLA-V7」「DLA-V5」の新ファームウェアを公開した。
今回のアップデートでは、新機能「Theater Optimizer」の追加や「Frame Adapt HDR」機能の調整単位の変更(3段階から5段階へ細分化)が行われたほか、ユーザーからのフィードバックを元にした新たな設定項目の追加とメニュー構成の見直しなど、ユーザビリティの向上が図られている。
同社では都度ファームウェアアップデートによる動作品質向上を実施しているが、驚くべきは(あえて驚くと書きたい)まるで新製品に搭載するような機能追加が実施されてきたことだ。
2019年3月のファームウェアVer.2.01では、パナソニックとコラボレーションして、Ultra HD Blu-rayプレーヤー「DP-UB9000」の専用カラープロファイルを追加。同年9月のVer 3.0では、HDR10再生時にフレームごとの最大輝度を独自アルゴリズムでリアルタイムに解析し、トーンマッピングを可変する「Frame Adapt HDR」機能を追加している。こちらは以前にレビューもお届けした通りだ。
そして今回のVer 3.5で実装された「Theater Optimizer」は、スクリーンサイズやスクリーンゲイン情報を元に本体内部でスクリーン輝度を計算し、その結果に基づいてトーンマッピングを自動調整する。
しかも、ソース解析を元に最適なトーンマッピングを行なう「Frame Adapt HDR」と併用が可能で、18bitレベルの高精度なガンマ処理により、明部および暗部の諧調表現やグラデーションの質感を高め、HDR映像の表現力を向上させるという。
つまり従来であればコアなビジュアルファンがマニュアルで行っていたソースや使用環境に合わせた画質最適化を自動化したのである。
ここからは、昨年春にDLA-V9Rを自宅に導入した筆者が、アップデートの概要/手順と画質をレポートしたい。アップデート方法は以下の手順で行う。
(1) パソコン等から同社webサイト(https://www.jvc.com/jp/projector/support/dla-v9r_v7_v5_update/)にアクセス、ファームウェアアップデートファイルをダウンロード。
(2) USBメモリー(容量1GB以上推奨/FAT32フォーマット)に保存。
(3) プロジェクターの電源を入れてメニュー画面右上にある「情報」を選び、ファームウェアのバージョンを確認する。
(4) プロジェクターの電源を切り、USBメモリーをプロジェクター背面にある「SERVICE」端子に接続し、改めてプロジェクターの電源を入れる。
(5) MENU画面より「機能」 → 「ソフトウェアアップデート」を選び、「はい」を選択。アップデートが開始される。アップデート完了後はプロジェクターの電源が自動で切れる。
(6)改めてプロジェクターの電源を入れ、(3)と同じ手順でファームウェアバージョンを確認してアップデートされていれば完了。本アップデートに伴い、画素調整やネットワークのIPアドレス設定等以外は、工場出荷状態にリセットされる。
※リセット項目は次のページに記載されている(※PDF https://www.jvc.com/content/dam/jvc/jp/projector/support/dla-v9r_v7_v5_update/index2/web/v350_reset_list_jp_V001.pdf)
ここからは視聴に入ろう。まずは「Theater Optimizer」の設定を行う。設定画面から本機能を有効化してスクリーンサイズやスクリーンゲインを入力する。
視聴ソースはUltra HD Blu-rayから『メッセージ』と『地獄の黙示録 ファイナル・カット』、Apple TV 4Kで『フォード vs フェラーリ』の3つを用いた。
まず、Theater Optimizerを有効化した際の効果についてだが、一言でいうなら映像の見通しが向上する。
詳細に映像を見ていくと、ハイライトの階調表現やローライトの見通しのよさが向上している。
全編にわたり極端に暗部表現が厳しい『メッセージ』は、コントラストが向上して1つ1つの物体の写実が上がって見えるし、『地獄の黙示録 ファイナル・カット』の2時間23分付近で薄暗い建物内の写実はローライトが適度に沈み込みながら黒つぶれも減少する絶妙な映像を確認できた。
夜間のシーンが多い『フォード vs フェラーリ』はヘッドライトやサーキットに灯される光の諧調が明るいHDR感を出しながらも潰れない。
またオプティマイズレベル(本機能の適応レベル)を低・中・高の3段階で選べるのも嬉しい。
続いては、5段階に細かく調整できるようになった「Frame Adapt HDR」機能も試してみた。
筆者は通常本機能をオートで使用しているが、『天気の子』などの新海 誠監督作品や一部のアニメ作品などは若干ギラギラとした感じになってしまうので、そんな時はマニュアル設定で効果を落としていた。しかし、その設定値が5段階になったことで、Frame Adapt HDR機能を生かしつつ、ディレクターズインテンションを尊重した絵作りで鑑賞できるようになったのが嬉しい。
ソースや使用スクリーンに合わせた厳密なセッティングをマニュアルで行い画質を仕上げることは高品位な画質を探求するビジュアル趣味の醍醐味でもあるが、Theater Optimizer機能およびFrame Adapt HDR機能によって自動的にもたらされる便利さはDLA-V9R/ DLA-V7/ DLA-V5を使用するユーザーにとって大きな恩恵である。
今回のアップデートでは、新機能「Theater Optimizer」の追加や「Frame Adapt HDR」機能の調整単位の変更(3段階から5段階へ細分化)が行われたほか、ユーザーからのフィードバックを元にした新たな設定項目の追加とメニュー構成の見直しなど、ユーザビリティの向上が図られている。
同社では都度ファームウェアアップデートによる動作品質向上を実施しているが、驚くべきは(あえて驚くと書きたい)まるで新製品に搭載するような機能追加が実施されてきたことだ。
2019年3月のファームウェアVer.2.01では、パナソニックとコラボレーションして、Ultra HD Blu-rayプレーヤー「DP-UB9000」の専用カラープロファイルを追加。同年9月のVer 3.0では、HDR10再生時にフレームごとの最大輝度を独自アルゴリズムでリアルタイムに解析し、トーンマッピングを可変する「Frame Adapt HDR」機能を追加している。こちらは以前にレビューもお届けした通りだ。
そして今回のVer 3.5で実装された「Theater Optimizer」は、スクリーンサイズやスクリーンゲイン情報を元に本体内部でスクリーン輝度を計算し、その結果に基づいてトーンマッピングを自動調整する。
しかも、ソース解析を元に最適なトーンマッピングを行なう「Frame Adapt HDR」と併用が可能で、18bitレベルの高精度なガンマ処理により、明部および暗部の諧調表現やグラデーションの質感を高め、HDR映像の表現力を向上させるという。
つまり従来であればコアなビジュアルファンがマニュアルで行っていたソースや使用環境に合わせた画質最適化を自動化したのである。
ここからは、昨年春にDLA-V9Rを自宅に導入した筆者が、アップデートの概要/手順と画質をレポートしたい。アップデート方法は以下の手順で行う。
(1) パソコン等から同社webサイト(https://www.jvc.com/jp/projector/support/dla-v9r_v7_v5_update/)にアクセス、ファームウェアアップデートファイルをダウンロード。
(2) USBメモリー(容量1GB以上推奨/FAT32フォーマット)に保存。
(3) プロジェクターの電源を入れてメニュー画面右上にある「情報」を選び、ファームウェアのバージョンを確認する。
(4) プロジェクターの電源を切り、USBメモリーをプロジェクター背面にある「SERVICE」端子に接続し、改めてプロジェクターの電源を入れる。
(5) MENU画面より「機能」 → 「ソフトウェアアップデート」を選び、「はい」を選択。アップデートが開始される。アップデート完了後はプロジェクターの電源が自動で切れる。
(6)改めてプロジェクターの電源を入れ、(3)と同じ手順でファームウェアバージョンを確認してアップデートされていれば完了。本アップデートに伴い、画素調整やネットワークのIPアドレス設定等以外は、工場出荷状態にリセットされる。
※リセット項目は次のページに記載されている(※PDF https://www.jvc.com/content/dam/jvc/jp/projector/support/dla-v9r_v7_v5_update/index2/web/v350_reset_list_jp_V001.pdf)
ここからは視聴に入ろう。まずは「Theater Optimizer」の設定を行う。設定画面から本機能を有効化してスクリーンサイズやスクリーンゲインを入力する。
視聴ソースはUltra HD Blu-rayから『メッセージ』と『地獄の黙示録 ファイナル・カット』、Apple TV 4Kで『フォード vs フェラーリ』の3つを用いた。
まず、Theater Optimizerを有効化した際の効果についてだが、一言でいうなら映像の見通しが向上する。
詳細に映像を見ていくと、ハイライトの階調表現やローライトの見通しのよさが向上している。
全編にわたり極端に暗部表現が厳しい『メッセージ』は、コントラストが向上して1つ1つの物体の写実が上がって見えるし、『地獄の黙示録 ファイナル・カット』の2時間23分付近で薄暗い建物内の写実はローライトが適度に沈み込みながら黒つぶれも減少する絶妙な映像を確認できた。
夜間のシーンが多い『フォード vs フェラーリ』はヘッドライトやサーキットに灯される光の諧調が明るいHDR感を出しながらも潰れない。
またオプティマイズレベル(本機能の適応レベル)を低・中・高の3段階で選べるのも嬉しい。
続いては、5段階に細かく調整できるようになった「Frame Adapt HDR」機能も試してみた。
筆者は通常本機能をオートで使用しているが、『天気の子』などの新海 誠監督作品や一部のアニメ作品などは若干ギラギラとした感じになってしまうので、そんな時はマニュアル設定で効果を落としていた。しかし、その設定値が5段階になったことで、Frame Adapt HDR機能を生かしつつ、ディレクターズインテンションを尊重した絵作りで鑑賞できるようになったのが嬉しい。
ソースや使用スクリーンに合わせた厳密なセッティングをマニュアルで行い画質を仕上げることは高品位な画質を探求するビジュアル趣味の醍醐味でもあるが、Theater Optimizer機能およびFrame Adapt HDR機能によって自動的にもたらされる便利さはDLA-V9R/ DLA-V7/ DLA-V5を使用するユーザーにとって大きな恩恵である。