[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第259回】
ギターアンプなのにヘッドホン?VOX「VGHシリーズ」の音楽再生力をチェック!
■デザインや機能を確認
ぱっと見の印象は「無骨」。VOXのギターアンプは何となく気品を感じさせる印象だが、こちらはデザインも仕上げも実用性重視感が強い。
実用性重視感というのは、このアイテムの性質からして納得できる。真空管ギターアンプのように高価で重厚なものであれば丁寧に扱われるだろうし、長年使われることでのダメージさえも味わいに転ずるような上質な仕上げがふさわしい。
しかしこちらは「手軽」で「安価」が持ち味のヘッドホンスタイルギターアンプだ。ギタリストからの扱いも気軽にラフになるはず。ならば外観にコストを投入するよりも、機能向上や価格引き下げに力を注いだほうがよいだろう。
VGHシリーズの全体の形状、ボタン等のコントローラーの数や配置などは全モデル共通。
ヘッドホンとしての基本スペックも以下のように全モデル共通だ。
・ドライバー径:40mm
・出力音圧:97dB
・再生周波数特性:20Hz - 20kHz
・最大入力:1,000mW
・インピーダンス:49Ω
どうやらヘッドホンの素体は全モデル同じもので、各モデルの違いは内蔵するamPlug由来であろう回路の違いのみという可能性が高そうだ。となれば音楽再生時の音質は全モデル同じ!……かどうかは以降で確認してみることにしよう。
■ギターアンプとしてのギターへのレスポンスの優秀さ!
まずは、このアイテムの本分であるギターアンプ/ベースアンプとしての実力を軽く確認。VOXサウンド「VGH-AC30」とスタックサウンド「VGH-ROCK」に、おおよそビンテージ仕様のFender Stratocasterを組み合わせて弾いてみる。
AC30は「いかにもVOX AC30!」とわかりやすい、心地よい鋭さのあのサウンド。組み合わせたストラトには出力やや強めのピックアップが搭載されているが、ヘッドホンアンプ側のGAINを全開にした状態で、ギターのボリュームを3あたりまで絞るとほぼクリーントーンに。となればもちろんピッキングのダイナミクスへのレスポンスも良い。