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CHORDアンプテクノロジーを凝縮、“卓上の小さな巨人”「ANNI」の実力を聴く
ヘッドホン出力は6.3mmと3.5mmミニ端子の2種類を備え、同時使用も可能。入力はRCAアンバランスが2系統用意され、ボリュームノブを押し込むことで切り替えることができ、ノブの奥から灯される赤・青LEDでどちらを選んでいるかわかるようになっている。ゲイン切り替えについてはスピーカー駆動時のみ可能だ。
電源はDC15Vの外部アダプターを使用。背面にはDC出力が用意されており、同シリーズのQutestやフォノアンプ「Huei」への電源供給が可能である。GND端子はノイズが感じられるときに使用すればよいとのことだ。スピーカー端子は4mm径バナナプラグのみに対応するが、ピッチが狭いため、プラグ選定には気を付けた方がよいだろう。
■濃密ながら明瞭、伸びやかさまで備えたヘッドホン再生音
まずはANNI単体のクオリティチェックとして、普段から活用し聴き慣れたUSB-DACのラックスマン「DA-06」を接続。音源はノートPCから再生し、ヘッドホンにはゼンハイザー「HD800 S」を選んでみた。
オーケストラは潤い良く緻密な管弦楽器の旋律が主体となり、ローエンドは弾力良く滑らかに表現。ジャズのホーンセクションはハキハキとして鮮やかなタッチで、質感は艶良くしっとりとして耳当たり良い。ピアノは存在感高く、透明度の高い響きとなり、シンバルの余韻は優しくまとめる。
ANNIの駆動力も申し分なく、重心の低い充実した音像表現だ。ロック音源ではみっちりと引き締まったリズム隊の明快なアタックと、軽快で伸び良いエレキギターのリフが歯切れ良く描かれ、スネアの響きもクリアで付帯感がない。
ボーカルは口元のハリ艶が良く、スムーズで厚みがある。5.6MHz音源のピアノは爽やかなハーモニクスを聴かせ、ローエンドは素直に響く。アコギの弦は艶良く太さがあり、ボーカルは肉付きも自然でウェットに描写。余裕のある実に伸びやかなサウンドである。
続いてUSB-DACをQutestに置き換え、想定されたペア同士で聴いてみた。QutestはFPGAを活用した49,152タップを誇る10エレメント・パルスアレイ構成のDACを搭載しており、USB入力はPCM 768kHz/32bit、DSD 22.4MHzまで対応できる。
ANNIとの組み合わせではより押し出し良く濃密なサウンド傾向となり、密度の高い中低域は粘りよくどっしりと安定的な音を描き出す。高域は高解像度で煌き良く涼やかな方向性。オーケストラはしなやかかつ階調の細やかな余韻が展開し、ローエンドにかけふくよかで弾力良い描写となる。ホーンセクションも伸び良く太さを感じさせ、ピアノの響きもコクのある丁寧なアタックで、高域方向の響きの滑らかさ、艶やかさが一層際立つ。
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