Android 12標準搭載のフラグシップ機
グーグル「Pixel 6/Pro」速攻レビュー、最新機能盛りだくさんの“使える”5Gスマホ
CPU/GPUと、機械学習に特化するブロックである「TPU(Tensor Processing Unit)」が連携してオンデバイスで完結する機械学習処理のスピードアップと消費電力の効率化を図る。カメラから入力される画像信号を処理するISPプロセッサもまた、Pixel 6シリーズの画期的なふたつのユニークなカメラ機能の実現に欠かせない。
ひとつがフォトアプリの機能として提供される「消しゴムマジック」だ。旅行写真のように背景を伴う人物撮影のクオリティアップに役立つ。写り込ませたくない人物、景観を損なう被写体などを、スマホ上の画像加工処理だけで素速くきれいに消せる。
アプリから「消しゴムマジック」を選択すると、ユーザーが消したいであろうオブジェクトを機械学習によるアルゴリズムが自動で検出・提案してくれる。複数の人物が写っている写真など、オブジェクトを一気に選んで消すことも可能だ。処理にかかる時間は数秒も要らない。加工の跡もほとんどわからないほど自然に消し込んでくれる。写真はビフォー/アフターともに端末に保存できる。
■AIによる高度な機械学習処理を活かしたカメラ機能
もうひとつはカメラアプリの新機能となる「モーション」撮影モードだ。スマホのカメラは暗い場所の被写体もブレなく鮮明に撮影することには長けているが、デジタル一眼レフカメラのようにマニュアル設定を細かく追い込んで、動きのある被写体の “モーション感” を再現するアーティスティックな撮影はあまり得意ではなかった。仮に細かなマニュアル撮影設定ができたとしても、筆者の場合はその手間をスマホでかける気分になれず、機能に手を出すこともあまりなかった。
Pixel 6シリーズに搭載される新機能の「モーション」は、カメラアプリを起動してから撮影モードを「モーション」に切り換えて、「アクションパン」と「長時間露光」のメニューを選ぶだけ。あとはシャッターをタップするだけで、スマホのカメラらしく簡単にアーティスティックな写真が記録できる。
アクションパンと長時間露光は、どちらもカメラで言うところのシャッタースピード調整を、データの後処理加工によってアーティスティックな雰囲気に仕上げる機能だ。
ホームに侵入してくる電車を「アクションパン」で撮ってみた。データは本来全体がブレずシャープに記録できているのだが、フォトアプリからモーションモードのオン・オフを切り換えるとダイナミックな動きが付けられる。長時間露光も仕組みは同じ。夜景を撮って光線に動きを付けたり、水が力強く流れる様子を写真に残せる。
■レコーダーアプリによる日本語対応の文字起こしが使える
Tensorのパワフルな機械学習処理は、文字認識アプリのパフォーマンスの限界を押し上げる。クラウド上のAIを介さずに、デバイス上の処理によって高速かつセキュアに自動翻訳や文字起こしができる。
Pixel 6シリーズでは、従来からAndroid OSに搭載する「リアルタイム翻訳」やGoogleアシスタントに話しかけながら使える「通訳モード」のレスポンスが大きく向上している。翻訳を解析して表示するまでのアイドルタイムがほぼないため、会話の相手を待たせることなくスムーズにコミュニケーションがとれそうだ。
筆者のように発表会やインタビューの取材に携わるライターは、日本語の認識にも新たに対応したPixel 6シリーズの「レコーダー」アプリによる文字起こしが重宝するだろう。
レコーダーアプリは元から英語による文字起こしの精度・スピードに定評があった。日本語の出来映えが気になっていたが、筆者が試した限りスピーチtoテキスト変換の精度や速さは十分に「使いもの」になる完成度だと思う。
もちろん所々に誤って認識されている箇所も散見されるが、会話の現場に立ち会っていれば後から思い出しながら内容を補足できるほど、レコーダーアプリの文字起こしが会話のアウトラインをなぞってくれる。発話のセンテンスが長くなると、テキスト化されたデータが読みやすくなるようアプリが適当にスペースを挟み込んでくれる。