【PR】バイアンプ化も効果絶大
ティアック最上位“701シリーズ”は多機能と発展性を備えた傑作機。AP-701の「温度感の高さ」も魅力
■「Reference」シリーズの最上位、“701シリーズ”に込められた思い
先行して発売されているパワーアンプ「AP-701」に続き、USB DAC/ネットワークプレーヤー「UD-701N」がいよいよ販売開始となる。両機はTEACの「Reference」シリーズの最上位ラインに位置づけられ、意欲的な内容が盛りだくさんのモデルである。UD-701Nの発売に合わせ、あらためて701ペアの魅力と実力について深掘りしてみたい。
まずは両機のおさらいをしておこう。UD-701Nはユーザーのシステム構成に応じて単体DACまたはネットワークプレーヤーとして使用可能で、DACとしては新開発の「TEAC ΔΣデルタシグマ ディスクリートDAC」を搭載した点が最大のトピックだ。
D/A変換の心臓部に既製品のDACチップではなく独自開発のディスクリートDACを用いるケースは近年増加傾向にあるとはいえ、実際に採用されるのは高価格帯の製品が多い。そうしたなかで、UD-701Nは比較的手が届きやすい価格でありながら、ディスクリートDACを搭載したモデルとしても注目に値する。
DACとしての仕様は、USB入力とネットワークの両方でDSD 22.5MHz、PCM 384kHz/32bitの再生が可能。ネットワークプレーヤーとしての機能はOpenHome準拠で、本機で音楽ストリーミングサービスのTIDALとQobuzに対応、優れた完成度の純正コントロールアプリ「TEAC HR Streamer」を用意するなど、ありがちな「USB-DACのおまけ」とは次元の違う一線級の仕様となっている。他にもRoon Ready対応、Spotify Connect対応、MQAフルデコーダーの搭載などなど、とにかくファイル音源の再生に関する機能はほぼ「全部盛り」と言っていい充実ぶりだ。
また、UD-701Nの大きな特徴となっているのが、本格的なプリアンプ機能の搭載。本機は豊富なデジタル入力にくわえてアナログ入力も備えており、他のプレーヤーと接続して単体プリアンプとしても使用可能となっている。純粋にプリアンプとして見ても、単に「DACのアナログ出力で音量調整ができます」といった製品とは一線を画す充実した内容であり、UD-701Nの使い勝手をさらに高めている。
■独自チューニングのNcoreのパワーアンプを2基搭載するパワーアンプ
「AP-701」はUD-701Nとのデザインの整合性が図られたデュアルモノラル構成のステレオパワーアンプだ。こちらの最大の特徴は、パワーアンプモジュールにHypex社のスイッチングアンプモジュール「Ncore」を採用していること。昨今では様々なメーカーで採用例のあるモジュールだが、AP-701ではチューニングを施したティアック専用設計のアンプモジュールを2基搭載する。
AP-701はステレオパワーアンプとして使えるほかに、スイッチひとつでバイアンプ用に切り替えが可能。本来、バイアンプは物理的にアンプが複数台必要という以外にも、プリアンプ・パワーアンプ間の接続や、使用するパワーアンプによってはゲインの違いなど、実践するには色々とハードルが存在する。しかしAP-701であれば、もう一台買い足すだけで、確実かつ完璧な状態でのバイアンプがすぐに実現する。これはバイワイヤリング対応のスピーカーを使っているオーディオファンにとって、決して見逃せない機能だ。
そのほか、UD-701NとAP-701に共通する特徴として、複数の大容量トロイダルトランスによる充実した電源部、3点支持ピンポイントフット、しっかりと作り込まれた剛性感の高い筐体などがあり、本格的なオーディオコンポーネントに相応しい内容となっている。
■情報量豊かで温度感の高いサウンドを展開する
UD-701N・AP-701ペアの試聴は専用室ではない一般的な部屋を想定した環境で、B&Wのブックシェルフ「706 S2」と組み合わせて行った。
まずUD-701Nの機能面の検証だが、本機のメイン機能といえるUSB接続・ネットワークプレーヤーとしての使用・Roon Readyでの使用のいずれについても安定した動作が確認できた。どのような使い方をするにせよ、使い勝手の部分で不満を感じることはまずないだろう。
オーディオ用サーバーとして「Soundgenic」を使い、UD-701NをUSB-DACとして使う場合とネットワークプレーヤーとして使う場合の両方を試してみたが、音質面においては明らかに後者が優れていた。これはUD-701Nの「プレーヤー」としての実力を示すものであり、PCとの組み合わせをメインにする、あるいは優秀な単体ネットワークトランスポートを使うのでない限り、基本的に本機はネットワークプレーヤーとして使うのがいいだろう。
UD-701Nとの組み合わせでAP-701が鳴らす706 S2の音は、いわゆるスイッチングアンプに対して一般的にイメージされる硬質さや冷たさといったものがほとんど感じられず、むしろ穏やかさ、温度感の高さが先行する。スピーカーとしての純粋な性能の高さに優れ、どちらかといえばクールな出音を特色とする706 S2との組み合わせでなおそう感じられるのだから、AP-701は良い意味で「スイッチングアンプらしからぬ」素性の持ち主と言えそうだ。
穏やかとは表現したが、当然ながら鈍く情報量に乏しいことは意味せず、音楽の情報量は豊かに空間を満たし、ディテールの描写も実に精緻だ。空間の透明感や立体感も申し分なく、然るべき音が然るべき位置にぴたりと定位する。
UD-701Nのボリュームをぐいっと上げてやれば、窮屈さとは無縁なままにエネルギー感がどこまでも高まり、アンプとしての余裕は明らか。小音量で使うよりもある程度音量を上げた状態のほうが、AP-701は実力を発揮できると感じる。低音の量感に豊満さはない一方、意識を向ければ引き締まった良質な低音が確実に音楽の下支えをしているのがわかる。
ただ、このように確かな性能を感じさせる一方で、701のペアは際立った音の輪郭やレンジの伸長などによる強い主張をすることはなく、先述の穏やかという印象に繋がっている。UD-701Nを他のアンプと繋いで聴いた際も同様の印象を持ったため、これはUD-701Nの、ひいてはTEAC ΔΣデルタシグマ ディスクリートDACの特徴と言えそうだ。
なお、AP-701は電源を投入してしばらくはかなり音が眠く、透明感もいまひとつの印象を受けた。試聴や使用の際は、じゅうぶんなウォーミングアップを意識してほしいところだ。
先行して発売されているパワーアンプ「AP-701」に続き、USB DAC/ネットワークプレーヤー「UD-701N」がいよいよ販売開始となる。両機はTEACの「Reference」シリーズの最上位ラインに位置づけられ、意欲的な内容が盛りだくさんのモデルである。UD-701Nの発売に合わせ、あらためて701ペアの魅力と実力について深掘りしてみたい。
まずは両機のおさらいをしておこう。UD-701Nはユーザーのシステム構成に応じて単体DACまたはネットワークプレーヤーとして使用可能で、DACとしては新開発の「TEAC ΔΣデルタシグマ ディスクリートDAC」を搭載した点が最大のトピックだ。
D/A変換の心臓部に既製品のDACチップではなく独自開発のディスクリートDACを用いるケースは近年増加傾向にあるとはいえ、実際に採用されるのは高価格帯の製品が多い。そうしたなかで、UD-701Nは比較的手が届きやすい価格でありながら、ディスクリートDACを搭載したモデルとしても注目に値する。
DACとしての仕様は、USB入力とネットワークの両方でDSD 22.5MHz、PCM 384kHz/32bitの再生が可能。ネットワークプレーヤーとしての機能はOpenHome準拠で、本機で音楽ストリーミングサービスのTIDALとQobuzに対応、優れた完成度の純正コントロールアプリ「TEAC HR Streamer」を用意するなど、ありがちな「USB-DACのおまけ」とは次元の違う一線級の仕様となっている。他にもRoon Ready対応、Spotify Connect対応、MQAフルデコーダーの搭載などなど、とにかくファイル音源の再生に関する機能はほぼ「全部盛り」と言っていい充実ぶりだ。
また、UD-701Nの大きな特徴となっているのが、本格的なプリアンプ機能の搭載。本機は豊富なデジタル入力にくわえてアナログ入力も備えており、他のプレーヤーと接続して単体プリアンプとしても使用可能となっている。純粋にプリアンプとして見ても、単に「DACのアナログ出力で音量調整ができます」といった製品とは一線を画す充実した内容であり、UD-701Nの使い勝手をさらに高めている。
■独自チューニングのNcoreのパワーアンプを2基搭載するパワーアンプ
「AP-701」はUD-701Nとのデザインの整合性が図られたデュアルモノラル構成のステレオパワーアンプだ。こちらの最大の特徴は、パワーアンプモジュールにHypex社のスイッチングアンプモジュール「Ncore」を採用していること。昨今では様々なメーカーで採用例のあるモジュールだが、AP-701ではチューニングを施したティアック専用設計のアンプモジュールを2基搭載する。
AP-701はステレオパワーアンプとして使えるほかに、スイッチひとつでバイアンプ用に切り替えが可能。本来、バイアンプは物理的にアンプが複数台必要という以外にも、プリアンプ・パワーアンプ間の接続や、使用するパワーアンプによってはゲインの違いなど、実践するには色々とハードルが存在する。しかしAP-701であれば、もう一台買い足すだけで、確実かつ完璧な状態でのバイアンプがすぐに実現する。これはバイワイヤリング対応のスピーカーを使っているオーディオファンにとって、決して見逃せない機能だ。
そのほか、UD-701NとAP-701に共通する特徴として、複数の大容量トロイダルトランスによる充実した電源部、3点支持ピンポイントフット、しっかりと作り込まれた剛性感の高い筐体などがあり、本格的なオーディオコンポーネントに相応しい内容となっている。
■情報量豊かで温度感の高いサウンドを展開する
UD-701N・AP-701ペアの試聴は専用室ではない一般的な部屋を想定した環境で、B&Wのブックシェルフ「706 S2」と組み合わせて行った。
まずUD-701Nの機能面の検証だが、本機のメイン機能といえるUSB接続・ネットワークプレーヤーとしての使用・Roon Readyでの使用のいずれについても安定した動作が確認できた。どのような使い方をするにせよ、使い勝手の部分で不満を感じることはまずないだろう。
オーディオ用サーバーとして「Soundgenic」を使い、UD-701NをUSB-DACとして使う場合とネットワークプレーヤーとして使う場合の両方を試してみたが、音質面においては明らかに後者が優れていた。これはUD-701Nの「プレーヤー」としての実力を示すものであり、PCとの組み合わせをメインにする、あるいは優秀な単体ネットワークトランスポートを使うのでない限り、基本的に本機はネットワークプレーヤーとして使うのがいいだろう。
UD-701Nとの組み合わせでAP-701が鳴らす706 S2の音は、いわゆるスイッチングアンプに対して一般的にイメージされる硬質さや冷たさといったものがほとんど感じられず、むしろ穏やかさ、温度感の高さが先行する。スピーカーとしての純粋な性能の高さに優れ、どちらかといえばクールな出音を特色とする706 S2との組み合わせでなおそう感じられるのだから、AP-701は良い意味で「スイッチングアンプらしからぬ」素性の持ち主と言えそうだ。
穏やかとは表現したが、当然ながら鈍く情報量に乏しいことは意味せず、音楽の情報量は豊かに空間を満たし、ディテールの描写も実に精緻だ。空間の透明感や立体感も申し分なく、然るべき音が然るべき位置にぴたりと定位する。
UD-701Nのボリュームをぐいっと上げてやれば、窮屈さとは無縁なままにエネルギー感がどこまでも高まり、アンプとしての余裕は明らか。小音量で使うよりもある程度音量を上げた状態のほうが、AP-701は実力を発揮できると感じる。低音の量感に豊満さはない一方、意識を向ければ引き締まった良質な低音が確実に音楽の下支えをしているのがわかる。
ただ、このように確かな性能を感じさせる一方で、701のペアは際立った音の輪郭やレンジの伸長などによる強い主張をすることはなく、先述の穏やかという印象に繋がっている。UD-701Nを他のアンプと繋いで聴いた際も同様の印象を持ったため、これはUD-701Nの、ひいてはTEAC ΔΣデルタシグマ ディスクリートDACの特徴と言えそうだ。
なお、AP-701は電源を投入してしばらくはかなり音が眠く、透明感もいまひとつの印象を受けた。試聴や使用の際は、じゅうぶんなウォーミングアップを意識してほしいところだ。