音質や装着感をチェック
“初めての完全ワイヤレスイヤホン”に最適! JVCの新入門機「HA-A5T」を聴く
今回は定額ストリーミングサービスのApple Musicを利用して、様々なジャンルの音源を再生した。
まずHA-A5Tの総合的な音質だが、一言でいうなら適度な躍動感と色彩がある音楽が楽しくなる音だ。高域から低域までイコライザーで無用に上げるようなことはなく、ドライバーユニットの特性を自然に利用している印象で、つまるところナチュラルな帯域バランスと質感、そして適度な艶やかさで音楽を長時間聴くことができる。
YOASOBIが11月にリリースしたばかりの『E-SIDE』から「Into The Night」(「夜に駆ける」の英語バージョン) では、ikuraのヴォーカルは自然で音色があり暖かい質感、ヴォーカルとバックミュージックの距離感はどちらもニュートラル。かなり安価なモデルだけに、上下のfレンジや分解能については限定されるところもあるが、バスドラムやベースは弾力感があり聴き応えが良い。
次に英国のシンガーソングライターAdeleによるスタジオアルバム『30』から「Easy On Me」を再生した。音楽に最も大切な中域が充実しており、イントロのピアノの音色に色彩もある。バックミュージックのフォーカスの中から、フワッと浮き上がってくるヴォーカルも中々のもの。
なお、本モデルはアクティブノイズキャンセリングを搭載していないが、つけた状態での遮音性、いわゆるパッシブノイズキャンセリングの能力も悪くないので一安心である。
せっかくなのでテレワークにも使用して通話品質を確認したが、通話相手によると自分の声はエコーがかからずはっきりと伝わっているようで、全く問題ないとのことだった。
実は、本稿はHA-A5Tを使い音楽を聴きながら仕上げたのだが、その間つけていることさえ意識させないほどの装着感の高さが特に印象的だった。
HA-A5Tの開発者によると、装着感にこだわるため耳にすっぽりと収まる小型ラウンド形状を採用したため、バッテリーサイズを小型化しなくてはならず、そのため連続再生時間のバランスを取る調整には苦労したという。
このように、HA-A5Tは同社のモデル群において最も安価な製品だが、開発には手間がかけられている。聴き心地が良く、適度なグルーヴが付加された音調は音楽の旨味を自然に伝えてくれるし、YouTubeなどの動画視聴にも向いているはずだ。
左右のケーブルを排したことで今まで想像できなかったほどのユーザビリティを取得した完全ワイヤレスイヤホンだが、HA-A5Tはそのメリットを安価で享受できるコストパフォーマンスの高い1台。スマートフォンやパソコンと組み合わせて、音楽や動画を快適に楽しんでほしい。