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REAVONの“映像哲学”がここに結実。4Kユニバーサルプレーヤー「UBR-X200」、圧巻の描画力

公開日 2022/07/21 06:30 大橋伸太郎
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「本来のガンマに忠実」製作者の意図を正確に映し出す色彩再現性



大橋氏自宅視聴室ではプロジェクターによる視聴が実施された

スピルバーグが再映画化した「ウエストサイド・ストーリー」(4KBD)はフィルム撮影である。フィルムライクというと絵画的で厚手な発色と暗部重視のどっしりしたガンマを連想するが、UBR-X200の映像はそうではない。

劇場からストリートへ抜出し、時代が変わってもアメリカ社会が引きずり続ける「分断」をはじめさまざまな課題をテーマにした本作で、スピルバーグの盟友カミンスキーはヤニっぽい色彩と階調の設定で撮影に臨んだ。唯一「華のある」ダンスシーンは色彩の乱舞だが、決して甘美な色彩ではない。現実社会の残酷を映してどこか哀しみの影をひそませた色彩である。

フィルムライクとは味付けではなく、本来のガンマに忠実で原画に電気的な足し算や歪曲をしないということだ。UBR-X200は正確なRGBガンマを刻々とディスプレイへと送り込み、スピルバーグとカミンスキーが色彩に託したリメイクの着想を的確に浮かび上がらせる。

映像音響の音質も素直。どっしりとしたピラミッド型バランスのoppoUDP-205、鮮鋭感と解像感主体のDP-UB9000に対し、派手さはなくFレンジのバランスが整っていて三機種のなかで最も自然だ。



UBR-X200はかように優れた4Kユニバーサルプレーヤーだが、改善の要望がないわけではない。SACDの再生を可能とする同スペックの4KフルユニバーサルプレーヤーUDP-205と比較して動作レスポンスが遅い。立ち上がり時のメカ音がやや耳につく。

ホーム画面はUDP-205ほど美しくなく、DP-UB9000のように機能的に整理されてなくて無造作。GUIのアイコンやフォントは少々雑な印象を受ける。スクリーンセーバー機能もない。しかしそれはUBR-X200の画質と音質の価値を考えれば瑕疵に過ぎない。

UBR-X200を自宅に預かった短い日々の間に8本の新旧映画を連日フル視聴した。それくらいの引力を持ったプレーヤーだ。輸入代理店によれば “REAVON” とは、フランス語のrèves(夢)からの造語らしい。当分この「夢」から醒められそうにない。


(企画協力:タクトシュトック)

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