PRイヤーピースの理想的な王道スタイルを追求
快適で確実、理想的なフィット感を実現!AZLAイヤーピース「SednaEarfit MAX」はその名に相応しい完成度だ
まずはStandardモデルを、Astell&Kernの有線イヤホン「AK ZERO1」と組み合わせてチェック。サラッとした質感だけに、耳に入れても抜け落ちやすいかと思いきや、意外にもグリップ力が高い。シリコンそのものの摩擦力が強いというよりは、形状のおかげか、無理なく最適な位置まで挿し込めるような「スッと入る感」がちょうどよい。
「サラッとした優しい肌触りのイヤーピース」と言われると、なんとなく低音が痩せてしまいそうなイメージを持ってしまいがちだが、むしろ中低域の量感はなかなかのもの。しっかりとサイズを合わせれば心配無用だ。
一方で、「XELASTEC」や「Crystal」のようなピタッと吸い付くフィット感と比較すると、さすがに密閉感の面では少し控えめ。ただ、そもそも本製品は、強い密閉感が苦手な人にも扱いやすい快適性を備えたものである。「とにかく高密閉!」というよりは、軽い装着感と優れた遮音性のバランスに注目するのが良いだろう。
音質傾向はそれら2製品と比べても、やや抜け感があって、音像が引き締まりつつも柔らかなサウンド。イヤホン本体の特性を味付けしすぎることなく、快適なリスニングが楽しめるはずだ。
続いて、Standardモデルを同じくAstell&Kernの「UW100」に装着してチェック。UW100は完全ワイヤレスイヤホン、なので本来ならばfor TWSタイプを使用するところだが、ケース内のスペースに対して、サイズによっては充電ケースの蓋がきちんと閉まらなくなる場合もあるとのこと。そのため今回はStandardモデルを使用した(なお、この試聴においてはStandardモデルのMまたはMSサイズを使用したのだが、充電ケースに入れてもしっかり収納することができた)。
装着感については上述の通り、しっかりと耳にグリップしてくれるため、耳への固定の大部分をイヤーピースで支える完全ワイヤレスイヤホンであっても、問題なくしっかり固定される。音質においても、繊細な解像感も邪魔せずに、違和感なく音のディテールを整えてくれた。
今度はfor TWSモデルをULTRASONEの「LAPIS」に装着してみる。すると、LAPISの特徴ともいえる沈み込むような深い低音や、高域まで潰れることなくシャープに再生する描写力が、見通しの良い響きによってより明快に表れた。
また、LAPISはやや大柄なため、耳の手前側気味に装着することになりがちだが、軸の短いfor TWSモデルでも問題なく耳に固定することができた。完全ワイヤレスイヤホンが耳から落ちやすいという人も、試してみる価値があるだろう。
最後にfor AirPods ProモデルをAirPods Proに装着。電車内や街中を歩いてノイズキャンセリング機能をテストしてみたところ、デフォルトのイヤーピースと比べてもパッシブな遮音性が高く、それがノイズキャンセリングにも効果を発揮しているように感じられた。
筆者は以前、「XELASTEC for AirPods Pro」を購入して使っていたのだが、デフォルトのイヤーピースと比べて、個人的に少し密着しすぎるような感じがあった。比べて今回のMAXは、適度にサラサラした質感が使いやすく、デフォルトの印象にも近いため、違和感なく移行できそうだと感じた。
ちなみに、AirPods Proの「イヤーチップ装着テスト」機能を使ってみても、問題なく密閉されていることが確認できた。音質傾向としても、大きな変化は無いながら、やはり全体的に音にまとまりが生まれ、質量感を帯びた響きに感じられる。通常の音楽再生はもちろん、空間オーディオで映像コンテンツなどを楽しむのにも相性が良いだろう。
「XELASTEC」以降、TPEやLSRといった吸着感の高い素材を中心として展開してきたAZLAだが、優しく耳にフィットする今回のMAXは、初代や「Light」からのつながりも感じられる製品だ。
ストレスなく、かつ確実にフィットするというイヤーピースの理想的な王道の形に対する、今のAZLAからの回答ともいえる本製品は、まさに「MAX」の名を冠するに相応しい完成度を備えているといっても過言ではないだろう。
現状のイヤーピースに特に不満が無いという人でも、そんな自身の定番を塗り替えるかもしれない安定感を持ったSednaEarfit MAXを、お手持ちの環境に合わせてぜひ一度お試しいただきたい。
(協力:アユート)