【特別企画】動画の配信・制作を始めたいユーザー注目
繋ぐだけでクリアな声、オーディオテクニカ「AT2020USB-X」は初心者にもオススメの多機能マイクだ
実際の使い心地は? 編集部員が使ってみた
今回は編集部の記者が、試しにYouTubeで非公開設定の配信を試してみた。付属のスタンドで無造作に置いて使ってみたが、アーカイブを確認してみると、想像以上のハイクオリティで録音されていた。感度の高いコンデンサー型のマイクということもあり、少し距離が離れていても細かいニュアンスまで集音できているようだ。
音質についてもクリアで、安いマイクにありがちな籠もっている感じがない。特に強調されている帯域などもなく、自然な録音が楽しめるので、オールマイティなジャンルで使える。それでいて解像度も高く、この音質でほとんどのユーザーが満足できると思う。
一方で感度が高いので、エアコンなどをつけているとノイズを拾ってしまう。単一指向性なので、周囲のノイズが集音されづらい設計だが、環境ノイズが気になる場合は先に紹介したブームマウントなどを使い、マイクを口に近づけると解決できるだろう。とはいえ、スマホ内蔵マイクなどは全方向を集音する無指向性のため、そういったマイクと比べるとノイズは拾いにくい。
使ってみて特に驚いたのがセットアップの簡単さで、何度も紹介している通り、USBケーブル接続してソフトの設定を変えるだけ。使うときだけ気軽に設置できるので、デスクが狭い場合でも邪魔になりづらそうだ。
また、これも実際の使用シーンで使えると感じたのが、タッチ式で反応が良いミュートセンサーだ。個人的にはYouTubeの配信前後に「間違えて音声が配信されていないかな」と心配になったりする。LEDの色でミュート状態かすぐ分かるので、準備ができてからミュート解除すれば安心して使える。生配信はスタート後に突発的な事故など起こりがちだが、そういった場合でも、とっさにミュートできるのも便利そうだ。
また、ダイレクトモニタリング機能も「いいな」と感じたので触れておきたい。配信に限らず、マイクは意外とノイズを拾ってしまうので、モニタリングしておくと安心できる。配信中はイヤホンを付けたくない方も多いと思うが、そういった場合は開始前にチェックしておくと、思わぬノイズに気づくかもしれない。またイヤホンをつけたまま会話をすると、「自分の声が頭に響いて話しづらい」という経験はないだろうか。本機では遅延なく自分の声が聞こえるので、イヤホンをしたままでも頭に響かず、自然な感覚で話せて快適だった。
ブームアーム「AT8700J」とショックマウント「AT8455」を組み合わせた状態も試してみたが、こちらのほうが、より高音質かつ快適に利用できると感じた。まずマイクと口元の距離が近いと “音が近く” なり、より声が聞き取りやすくなる。さらにマイクに届く声のボリュームが上がることで、マイクのレベルを下げることができ、環境ノイズも小さくなるなどメリットが多い。
それでいて机の端にクランプで固定するので、机の上が狭くなることもないし、ショックマウントによってキーボードのタイピング音なども伝わりづらくなる。音のクオリティが高まるうえに快適になるので、もし予算が許すのであれば、マイクと組み合わせて使いたいと感じた。
本格マイクはどのようなシーンで使える?
最後にAT2020USB-Xが、どのようなシーンで活用できるか触れておきたい。iPhoneやイヤホンの内蔵マイクを使っているユーザーも少なくないと思うが、マイクをアップグレードすることで、様々なシーンでメリットを享受できるのだ。
まずはこれまで紹介してきた、動画の配信・制作といった用途だ。YouTuberなどインフルエンサーからの人気が高く、生配信をよく見る方は、配信画面に置かれているのをよく見かけるだろう。リスナーに自分の声を聞き取りやすく届けられるので、ゲーム実況だけでなく、雑談配信にもおすすめできる。
ゲーミングヘッドセットにもブームマイクがついており、通常のボイスチャットは問題なく行えるため、そのまま流用できるのではと考えてしまうかもしれないが、やはり単独マイクとの性能差は大きい。“かたちから入る” ではないが、配信者がマイクを別に用意しているのはちゃんとした意味があってのことなので、はじめから手頃な価格でずっと使える質の良いものを揃えておくといい。AT2020USB-Xがまさにそれだ。
見栄えという点でもAT2020USB-Xは優れている。あえて画角に入るように設置しても “映える” し、見た目重視の設置位置でも、もちろんやりすぎれば限界はあるが、その集音性能でクリアな声を届けられる。
また、高音質で録音できるため、“歌ってみた” や “弾いてみた” などの音楽配信や、いわゆる楽曲の “宅録” でも活躍できる。最大96kHz/24bitのハイレゾ録音にも対応する。本機はベストセラーモデルの「AT2020」がベースとなっているので、その音質の良さも折り紙付きだ。
もちろん、テレワークやビデオ通話での使用も申し分ない。そういったシーンにはオーバースペックに思えるかもしれないが、オンラインではこれまで以上に声から情報を伝える機会が多く、また難しくなる。高品質のマイクを使うことで、聞き取りやすい声を相手に届けられる。重要なミーティングでも、しっかりと自分の話を伝えられると考えれば、導入の価値はあるだろう。
繰り返しになるが、AT2020USB-Xは、USBケーブルで繋ぐだけで簡単に使える高音質マイクだ。それでいて、ミュート機能やダイレクトモニタリング機能など、配信やビデオ通話に必要な機能がそろっている。これだけの機能があれば、本格的なオーディオインターフェースは無くてもいいのでは? と感じてしまうほどだ。
冒頭で述べたとおり、動画で「音」というのは最も重要な要素だといえる。スマートフォンの小さい画面で動画を見るユーザーが多い現状を考えると、ますます「聞きやすい音」の重要性は高まっていくだろう。そういった状況で、手軽に導入できるAT2020USB-Xは最適な選択肢のひとつといえる。
いまiPhoneなどを使っているユーザーは、ぜひワンランク上の音質を体験してみて欲しい。また本機を用意するだけで、手軽に本格的なストリーミング環境が完成するので、これから配信を始めたい方は、この1本からチャレンジしてみるのもおすすめだ。