【特別企画】ペルソナを愛する評論家たち(4)
パラダイム「Persona B」導入記。「鳴らす音楽そのものに染まる“鏡”」逆木 一氏
カナダ発のスピーカーブランド、パラダイム。なかでもブランドの最上位クラス「Persona」シリーズは、オーディオ評論家の間でも愛用者が増えてきている。
今回紹介するのはオーディオ評論家の逆木 一氏。デスクトップユースでのPersona Bの楽しみ方を追求する逆木氏の導入記を紹介しよう。
パラダイムというスピーカーブランドについては、15年ほど前から知ってはいた。海外のオーディオフォーラムでユーザーを多数見かけており、特にハイレベルなホームシアターファンから熱烈な支持を受けるブランドというイメージだった。そんなパラダイムが、極めて先進的な内容のフラグシップ「Persona」シリーズを引っ提げて日本に導入されることになり、それはもうおおいに期待したものだった。
輸入元であるPDNの試聴室で「Persona B」を初めて聴いた時の第一印象は、ずばり「うるさくない」ということ。J-POPやアニソンといった、ともすれば「うるさく」感じられるような音源でさえ、まったく耳に不快なところがなく、実にスムーズに聴ける。
これはつまるところ、スピーカーに付きまとう色付けや歪みといった要素が限りなく小さく、「音楽がそのまま出てくる」結果であり、当時は非常に大きな感銘を受けたことを覚えている。
数えきれないほど目にしてきた一方で、私からすれば単なる煽り文句にしか思えなかった「無色透明」という表現が、初めて真に実感できたのだ。全帯域をベリリウム振動板が担うという未曽有の構成、PPAという名の音響レンズなど、興味深い技術的要素も多々あったが、「Persona B」に関しては、「凄いスピーカーに出会ってしまった」という感情が先に立った。
そんなこんなで、自宅試聴を経て我が家に迎え入れた「Persona B」。メインシステムには別のスピーカーを使用している関係で、現在はデスクトップのシステムで常用している。もちろん、ハイエンドの機材をレビューする際の、メインシステムにおける「もうひとつのリファレンス」としての役割も果たしているが、デスクトップシステムは筆者がまさに普段生活・仕事をしている現場なので、「Persona B」は筆者にとって最も接する機会の多いスピーカーとなっている。
かなりサイズの大きい筆者のデスクに置いても、左右のユニット間隔は精々120cmほどの超ニアフィールド環境。それでも、「Persona B」は輝きを失わない。豊潤な空間表現は音楽にせよ映像にせよ机の周辺を異世界に塗り替え、精密な音像の定位はめいっぱいモニターに顔を近づけてもなお崩れない。そしてもちろん、長時間のリスニングでもまったく苦にならない耳なじみの良さも健在。
得てして小規模・安価なシステムが想定されるデスクトップオーディオにおいて、これほど高価なスピーカーを使うというのはイレギュラーかもしれない。しかし、「オーディオのために書斎や机を中心とする環境しか用意できなくても、もっといい音で楽しみたい」という想いは確実にあるはずだ。なればこそ、デスクトップで「Persona B」を使うことは、その想いに全力で応える「デスクトップオーディオの究極」と言えるのではないか、と最近は考えている。
「Persona B」はスピーカーとして極めて高度な性能を持ちつつ、「こういう環境で・こういう用途で・こういう音源に使え」とスピーカーの側から要求することはない。無色透明であるがゆえに、いかなる環境・用途にも馴染み、鳴らす音楽そのものに染まる。言うなれば、「ユーザーを映す鏡」なのだ。いやはや、「ペルソナ」とはよく言ったものである。
今年はパラダイム社の創業40周年にあたり、その記念として日本だけの特別な色の「Persona B」を企画。赤とシルバーによるロッソ・フォッコと黄色と黒のカナリー・イエローの2モデルで、各色共に5ペアの限定品。標準色はもちろん、カスタムにも含まれていない色で、同社が今回のみ特別に製造した限定色モデル。いずれも日本で今回のみ入手が可能だ。
Persona B スピーカーシステム 1,650,000円(ペア/税込)
Specifications
●構成:2ウェイ・バスレフ型●クロスオーバー:2kHz●周波数特性:60Hz〜45kHz ±2dB●ドライブ・ユニット:1×φ25mm Truextent べリリウムドーム型、1×φ178mm Truextent、べリリウムコーン型●感度:92dB●インピーダンス:8Ω●推奨アンプ出力:15〜250W●最大入力:150W●質量:14kg●サイズ:225W×330D×435Hmm●取り扱い:(株)PDN
(提供:PDN)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。
今回紹介するのはオーディオ評論家の逆木 一氏。デスクトップユースでのPersona Bの楽しみ方を追求する逆木氏の導入記を紹介しよう。
「無色透明」という表現が真に実感できたスピーカー
パラダイムというスピーカーブランドについては、15年ほど前から知ってはいた。海外のオーディオフォーラムでユーザーを多数見かけており、特にハイレベルなホームシアターファンから熱烈な支持を受けるブランドというイメージだった。そんなパラダイムが、極めて先進的な内容のフラグシップ「Persona」シリーズを引っ提げて日本に導入されることになり、それはもうおおいに期待したものだった。
輸入元であるPDNの試聴室で「Persona B」を初めて聴いた時の第一印象は、ずばり「うるさくない」ということ。J-POPやアニソンといった、ともすれば「うるさく」感じられるような音源でさえ、まったく耳に不快なところがなく、実にスムーズに聴ける。
これはつまるところ、スピーカーに付きまとう色付けや歪みといった要素が限りなく小さく、「音楽がそのまま出てくる」結果であり、当時は非常に大きな感銘を受けたことを覚えている。
数えきれないほど目にしてきた一方で、私からすれば単なる煽り文句にしか思えなかった「無色透明」という表現が、初めて真に実感できたのだ。全帯域をベリリウム振動板が担うという未曽有の構成、PPAという名の音響レンズなど、興味深い技術的要素も多々あったが、「Persona B」に関しては、「凄いスピーカーに出会ってしまった」という感情が先に立った。
どんな環境でも輝き続ける、精密な音像は微動だにしない
そんなこんなで、自宅試聴を経て我が家に迎え入れた「Persona B」。メインシステムには別のスピーカーを使用している関係で、現在はデスクトップのシステムで常用している。もちろん、ハイエンドの機材をレビューする際の、メインシステムにおける「もうひとつのリファレンス」としての役割も果たしているが、デスクトップシステムは筆者がまさに普段生活・仕事をしている現場なので、「Persona B」は筆者にとって最も接する機会の多いスピーカーとなっている。
かなりサイズの大きい筆者のデスクに置いても、左右のユニット間隔は精々120cmほどの超ニアフィールド環境。それでも、「Persona B」は輝きを失わない。豊潤な空間表現は音楽にせよ映像にせよ机の周辺を異世界に塗り替え、精密な音像の定位はめいっぱいモニターに顔を近づけてもなお崩れない。そしてもちろん、長時間のリスニングでもまったく苦にならない耳なじみの良さも健在。
得てして小規模・安価なシステムが想定されるデスクトップオーディオにおいて、これほど高価なスピーカーを使うというのはイレギュラーかもしれない。しかし、「オーディオのために書斎や机を中心とする環境しか用意できなくても、もっといい音で楽しみたい」という想いは確実にあるはずだ。なればこそ、デスクトップで「Persona B」を使うことは、その想いに全力で応える「デスクトップオーディオの究極」と言えるのではないか、と最近は考えている。
「Persona B」はスピーカーとして極めて高度な性能を持ちつつ、「こういう環境で・こういう用途で・こういう音源に使え」とスピーカーの側から要求することはない。無色透明であるがゆえに、いかなる環境・用途にも馴染み、鳴らす音楽そのものに染まる。言うなれば、「ユーザーを映す鏡」なのだ。いやはや、「ペルソナ」とはよく言ったものである。
創業40周年記念の特別色を発売(編集部)
今年はパラダイム社の創業40周年にあたり、その記念として日本だけの特別な色の「Persona B」を企画。赤とシルバーによるロッソ・フォッコと黄色と黒のカナリー・イエローの2モデルで、各色共に5ペアの限定品。標準色はもちろん、カスタムにも含まれていない色で、同社が今回のみ特別に製造した限定色モデル。いずれも日本で今回のみ入手が可能だ。
Persona B スピーカーシステム 1,650,000円(ペア/税込)
Specifications
●構成:2ウェイ・バスレフ型●クロスオーバー:2kHz●周波数特性:60Hz〜45kHz ±2dB●ドライブ・ユニット:1×φ25mm Truextent べリリウムドーム型、1×φ178mm Truextent、べリリウムコーン型●感度:92dB●インピーダンス:8Ω●推奨アンプ出力:15〜250W●最大入力:150W●質量:14kg●サイズ:225W×330D×435Hmm●取り扱い:(株)PDN
(提供:PDN)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。