【特別企画】ペルソナを愛する評論家たち(2)
パラダイム「Persona 3F」導入記。「純粋に音楽に没頭できる普遍的な心地よさを備える」生形三郎氏
カナダ発のスピーカーブランド、パラダイム。なかでもブランドの最上位クラス「Persona」シリーズは、オーディオ評論家の間でも愛用者が増えてきている。
今回紹介するのはオーディオ評論家の生形三郎氏。オーディオ評論の他にも、録音家、音楽家としての顔を持つ同氏が選んだのは3ウェイフロア型の「Persona 3F」。早速その導入記をお届けしよう。
Personaの魅力は、何と言ってもその中庸を極めたハイクオリティ・サウンドにあると感じている。キャラクターや歪みを抑えた無色なトーンを基調とし、とりわけ、滑らかで瑞々しいボーカル表現やピアノの音色が美しい。ベリリウムならではの素早いレスポンスによる詳細な描写力を持ちながらも、そのサウンドは穏やかで優しささえ感じさせる。
この価格帯クラスのハイエンドを志向するスピーカーは、時としてオーディオ機器としての性能の高さを示すような描写性や音色表現におけるキャラクターのアピールなど、恣意的にしろ結果的にしろ個性を強く感じさせるものが多いように思う。その点から考えると、パラダイムのPersonaは、それらとは一線を画す存在であるのではないだろうか。
Personaは、純粋に音楽に没頭し、それだけを楽しみたいと考える時に必要となる、普遍的な心地よさや透明性といった魅力を確かに備えた存在であると筆者は認識している。その意味で、聴き疲れせず心地よく快適に音楽を楽しみたい人、音楽の内容やその表現にこそ耳を傾けたい人にとって、長く付き合えるスピーカーであると思う。
実用的な部分で言えば、広帯域で高精度に作用するフェイズプラグの役割を果たすというPPAレンズの恩恵か、広いサービスエリアを持つことも音楽への没入感を高めていると実感する。
選択した色に関しては、数多くの組み合わせがリクエスト可能なので、非常に迷った部分でもある。とりわけ、アイコンカラーでもあるアリアブルーは、筆者の中でPersonaのインパクトを象徴するカラーとして魅力的に感じた。
しかしながら筆者は、PPA音響レンズの形状としての主張や、フロントのサブバッフルボードの存在をあえて抑えて、静かでクールな存在感を放って欲しかったので、黒と黒の組み合わせのカーボンブラック・グロスを選択した。これは、流麗なPersonaの質感を味わいながらも、リスニング環境の明るさによってはスピーカーの存在を抑えてより音楽に没頭したい、という狙いがあった。
筆者は、照明を落として間接照明だけで音楽を聴くことも多いが、その際には、本体が黒いため暗部に溶け込み、スピーカーはほとんど視界内で存在が消えるのである。
オーディオは、目で見て愛でる趣味性も大きな要素だが、再生された音楽に耳を傾けるという部分においては、リスナーのイマジネーション次第ではいかようにでもその体験の質が飛躍できるものだと考えている。そのためにも、自身の想像力に大きな伸びしろを与えてくれるこの色はとても好都合なのだ。
そんなPersonaは、筆者のパッシブネットワーク・スピーカーのリファレンスとして活躍してくれている。筆者は、別途オリジナル設計によるチャンネルでバイダー&マルチアンプシステムをメインのリファレンスとしているが、その構成ゆえアンプ機器やケーブルのテストなどではリファレンスとして使いにくい現状がある。
そこで、パッシブスピーカーのリファレンスとして本機が活躍してくれている。導入してまだ1年が経っていないばかりか、導入後すぐに自宅の引っ越し作業が発生したため、ようやく鳴らし込みが始められた段階だ。それでも、非常によい塩梅で鳴り始めてくれており、組み合わせ機器やセッティングを気長に詰めながら末永く使い込んでいきたい。
今年はパラダイム社の創業40周年にあたり、その記念として日本だけの特別な色の「Persona B」を企画。赤とシルバーによるロッソ・フォッコと黄色と黒のカナリー・イエローの2モデルで、各色共に5ペアの限定品。標準色はもちろん、カスタムにも含まれていない色で、同社が今回のみ特別に製造した限定色モデル。いずれも日本で今回のみ入手が可能だ。
Persona 3Fスピーカーシステム 1,980,000円(カーボンブラック・グロス/ペア/税込)
Specifications
●構成:3ウェイ・バスレフ型●クロスオーバー:2.4kHz/450Hz●周波数特性:48Hz〜45kHz±2dB●ドライブ・ユニット:1×φ25oTruextentベリリウムドーム型、1×φ178oTruextentベリリウムコーン型、2×φ178oX-PALコーン型●感度:92dB●インピーダンス:8Ω●推奨アンプ出力:15〜400W●最大入力:300W●質量:34kg●サイズ:241W×427D×1,126Ho●取り扱い:(株)PDN
取材photo by 君嶋寛慶
(提供:PDN)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。
今回紹介するのはオーディオ評論家の生形三郎氏。オーディオ評論の他にも、録音家、音楽家としての顔を持つ同氏が選んだのは3ウェイフロア型の「Persona 3F」。早速その導入記をお届けしよう。
音楽表現や内容に没入できる、個性を超越したスピーカー
Personaの魅力は、何と言ってもその中庸を極めたハイクオリティ・サウンドにあると感じている。キャラクターや歪みを抑えた無色なトーンを基調とし、とりわけ、滑らかで瑞々しいボーカル表現やピアノの音色が美しい。ベリリウムならではの素早いレスポンスによる詳細な描写力を持ちながらも、そのサウンドは穏やかで優しささえ感じさせる。
この価格帯クラスのハイエンドを志向するスピーカーは、時としてオーディオ機器としての性能の高さを示すような描写性や音色表現におけるキャラクターのアピールなど、恣意的にしろ結果的にしろ個性を強く感じさせるものが多いように思う。その点から考えると、パラダイムのPersonaは、それらとは一線を画す存在であるのではないだろうか。
Personaは、純粋に音楽に没頭し、それだけを楽しみたいと考える時に必要となる、普遍的な心地よさや透明性といった魅力を確かに備えた存在であると筆者は認識している。その意味で、聴き疲れせず心地よく快適に音楽を楽しみたい人、音楽の内容やその表現にこそ耳を傾けたい人にとって、長く付き合えるスピーカーであると思う。
実用的な部分で言えば、広帯域で高精度に作用するフェイズプラグの役割を果たすというPPAレンズの恩恵か、広いサービスエリアを持つことも音楽への没入感を高めていると実感する。
選択した色に関しては、数多くの組み合わせがリクエスト可能なので、非常に迷った部分でもある。とりわけ、アイコンカラーでもあるアリアブルーは、筆者の中でPersonaのインパクトを象徴するカラーとして魅力的に感じた。
しかしながら筆者は、PPA音響レンズの形状としての主張や、フロントのサブバッフルボードの存在をあえて抑えて、静かでクールな存在感を放って欲しかったので、黒と黒の組み合わせのカーボンブラック・グロスを選択した。これは、流麗なPersonaの質感を味わいながらも、リスニング環境の明るさによってはスピーカーの存在を抑えてより音楽に没頭したい、という狙いがあった。
筆者は、照明を落として間接照明だけで音楽を聴くことも多いが、その際には、本体が黒いため暗部に溶け込み、スピーカーはほとんど視界内で存在が消えるのである。
オーディオは、目で見て愛でる趣味性も大きな要素だが、再生された音楽に耳を傾けるという部分においては、リスナーのイマジネーション次第ではいかようにでもその体験の質が飛躍できるものだと考えている。そのためにも、自身の想像力に大きな伸びしろを与えてくれるこの色はとても好都合なのだ。
リファレンスとして活躍中、気長に使いこんでいきたい
そんなPersonaは、筆者のパッシブネットワーク・スピーカーのリファレンスとして活躍してくれている。筆者は、別途オリジナル設計によるチャンネルでバイダー&マルチアンプシステムをメインのリファレンスとしているが、その構成ゆえアンプ機器やケーブルのテストなどではリファレンスとして使いにくい現状がある。
そこで、パッシブスピーカーのリファレンスとして本機が活躍してくれている。導入してまだ1年が経っていないばかりか、導入後すぐに自宅の引っ越し作業が発生したため、ようやく鳴らし込みが始められた段階だ。それでも、非常によい塩梅で鳴り始めてくれており、組み合わせ機器やセッティングを気長に詰めながら末永く使い込んでいきたい。
創業40周年記念の特別色を発売(編集部)
今年はパラダイム社の創業40周年にあたり、その記念として日本だけの特別な色の「Persona B」を企画。赤とシルバーによるロッソ・フォッコと黄色と黒のカナリー・イエローの2モデルで、各色共に5ペアの限定品。標準色はもちろん、カスタムにも含まれていない色で、同社が今回のみ特別に製造した限定色モデル。いずれも日本で今回のみ入手が可能だ。
Persona 3Fスピーカーシステム 1,980,000円(カーボンブラック・グロス/ペア/税込)
Specifications
●構成:3ウェイ・バスレフ型●クロスオーバー:2.4kHz/450Hz●周波数特性:48Hz〜45kHz±2dB●ドライブ・ユニット:1×φ25oTruextentベリリウムドーム型、1×φ178oTruextentベリリウムコーン型、2×φ178oX-PALコーン型●感度:92dB●インピーダンス:8Ω●推奨アンプ出力:15〜400W●最大入力:300W●質量:34kg●サイズ:241W×427D×1,126Ho●取り扱い:(株)PDN
取材photo by 君嶋寛慶
(提供:PDN)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。