PR8Kなど最新フォーマットに対応、サウンドマスター監修のHi-Fiサウンド
デノン新AVアンプ「AVR-X3800H/X2800H/X580BT」は大ヒット間違いなしの良作だ! 評論家4名が魅力を徹底解説
イマーシブサウンドに対応した7chアンプ搭載の「AVR-X2800H」は、3800の音響設計手法を踏襲しつつコスパを高めたミドルクラス。Auro-3Dなどのこだわりの規格こそ搭載しないが、HDMI出力を2系統搭載するなどホームシアターの基本的な機能を網羅している。
サウンドは入門クラスと比較してしなやかさが加わり、音にコクのような深みが生まれるのが印象的。それでいてキレがよく明瞭さも失わない。この「音質のよさ」はサラウンド表現にも有利。イマーシブ効果により広がり感が増すが、スピーカーが増えても「混雑」のような感覚を覚えない。これはチャンネルセパレーションのよさがなせる業で、アンプ回路の設計思想を感じ取れるものだ。
本機の音質設計思想は3800と同様。各部パーツを音質対策品に置き換えつつ、ワイヤリング方法やビス、緩衝材など、細部まで見直すことでトータルのサウンドクオリティを向上させている。電源も余裕があり、大音量時のパワフルさを実感。AVR-X580BTに比べて余裕のある伸びやかさとS/Nのよさが得られる。空間の広さもより感じられ、96kHz/24bit音源のオーケストラは潤いよく余韻もスッキリと表現。
DSD音源ではピアノの響きも低域側まで安定し、ボーカルの口元もスッと浮き立つ。マルチch再生ではBGMの低域も太くリッチで、銃声や爆発音のSEも適度な硬さとキレ、厚みを持たせている。アトモスの音場は空間移動も自然で分解能も高い。
最大出力185Wの7chディスクリート・パワーアンプを搭載する本機は、理想的な回路レイアウト設計を実現するためにカスタム電子ボリュームを採用するなど音質面で妥協がない。ドライブ力を高めるためDACの出力段にオペアンプを追加し、さらに温度変化によるノイズと歪みが小さい薄膜抵抗をDACセクションに採用するなど、音質を支えるパーツの多くも3800と共通なだけに、瞬発力や低域の力強さはいい勝負だ。
NetflixのDolby Atmosコンテンツ『ウィッチャー』を試聴したが、上方向から触手が振り下ろされるなど、方向感がしっかり感じられた。5.1.2chというDolby Atmosの基本構成にフィットする、“ワンランク上”を目指せるモデルだ。
7chのアンプや8K/4K120Hz対応は、リビングシアターでワンランク上を目指す人にとってド直球のスペックだろう。8KもHDMI出力だけでなく、8Kアップスケーリングの機能も搭載するため、ディスプレイに合わせた解像度で表示できるのも魅力だ。
サウンドは弟モデルのAVR-X580BTから音質向上が凄まじく大きかったことをまずお伝えしよう。爆音がまるで体に伝わるような轟音のパワーが感じられ、移動する効果音のシャープさも優秀。『ストレンジャー・シングス シーズン4』も空間を立体的に見通せる。NetflixでもDolby Atmos作品が増えてきたので、映像配信派の方でも最高の条件を揃えるなら本機以上が目安だ。
Specification
●定格出力:95W+95W(8Ω/20〜20,000Hz/THD 0.08%) ●入力端子:HDMI×6(8K対応×3/4K対応×3)、デジタル音声(光×2)、RCAアナログ音声×4、USB-A×1 ほか ●出力端子:HDMI×2(8K対応)、サブウーファー×2 ほか ●外形寸法:434W×167H×341Dmm ●質量:9.5kg
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