PR最大4Vrmsのハイパワーで余裕の駆動力
スマホでも高級イヤホンを理想的に鳴らす!DUNU初ポタアン「DTC 500」レビュー
DUNUから、さまざまなイヤホンのベストな音をスマートフォンでも楽しめる、ドングルタイプのDACアンプ「DTC 500」が登場した。本製品には、iPhoneなどのiOSデバイス向けのLightningケーブル付属モデルと、Androidスマートフォンなどと接続できるUSB Type-Cケーブル付属モデルの2種類が用意されている。
そもそもDUNUは、有線イヤホンを得意とするオーディオブランド。1994年に創業したOEMメーカー「TOPSOUND」の自社ブランドで、2006年にスタートし、2012年に日本上陸を果たしている。
特に日本では、2013年にハイブリッドドライバー構成のイヤホン「DN-1000」を手がけたことでいち早く注目を集めた。そして近年は、ピュアベリリウム振動板を搭載した「LUNA」や、自社開発の「ECLIPSEドライバーモジュール」を搭載した「ZEN PRO」などをリリースし、アジア屈指の開発力に磨きをかけている。
そんなDUNUから、ドングルタイプのDACアンプが発売されたのは至って自然な流れとも言える。というのも、DUNU製イヤホンは音質にこだわるあまり、ヘッドホンアンプを組み合わせた方が本来のポテンシャルを引き出せる傾向にあるからだ。
もちろん、「TITAN」などエントリークラスの製品に関してはスマートフォンでも楽しめるよう比較的 “鳴りやすい” 特性にまとめ上げられている。しかしながら、音質に対するこだわりの表れか、スマートフォンによっては高域がシャカシャカした音になってしまう場合もあった。
また、近年はスマートフォンからヘッドホン端子が省かれていることも多く、それに合わせてドングルタイプのDACアンプも各社から続々登場しており、サイズや扱いやすさ、音質のよさを競い合っている。
そんな状況だからこそ、DUNUは “スマートフォンでも自社のイヤホンが理想の音を奏でてくれる” 理想の環境を求めたのだろう。「DTC 500」を詳細に見ていくと、そういった志のようなものが感じられる。
音質の要となるDACチップは、32bit Hyperstream II技術を採用し、優れたS/Nを実現するというESS社製の「ES9038Q2M」を搭載。これにより、DTC 500のS/N比は122dBで、768kHz/32bitまでのリニアPCM、22.4MHz(DSD512)までのDSD音源がデコード可能となっている。現在リリースされているハイレゾ音源ほぼすべてに対応するハイスペックだ。
さらに、100MHzまでの高周波出力に対応した、低ジッターのアクティブ水晶発振器を搭載。入力信号のタイミングをコントロールするクロックを、内蔵クロックによって制御する、アシンクロナス(非同期)モードに対応することで、USB経由のジッターを低減させ、よりピュアな信号伝送を行うという。
ヘッドホン出力に関しては、4.4mmバランスと3.5mmステレオと2つの端子を搭載しつつ、2つの独立したオペアンプ「RT6863」を採用。これにより、DACで変換されたアナログ信号を増幅し、最大4Vrsm(バランス/600Ω)、200mW(32Ω/バランス出力)という高出力と低歪みを両立することができたとアピールする。
一方で、個性的なデザインを採用しているのも特長だ。筐体にはCNC削り出しのアルミを使用し、一部にクリアパーツを組み合わせることで内部パーツや、内蔵するRGBインジケーターライトのLEDの光が見えるようになっている。LEDは再生中の楽曲のサンプリングレート/フォーマットに合わせて色が変化する。
上から見るとスマホ端子側に窓ガラスのようなクリアパーツが、ヘッドホン端子側にフィンのような意匠が形づくられているため、まるでイタリア製スーパーカーのミニチュアのようにも見える。遊び心が満載で所有欲をくすぐられる。
果たして、実際のサウンドはいかがなものだろうか。今回、iPhone SE(第2世代/2020年モデル)とXiaomi「Mi 11 Lite 5G」、2台のスマートフォンに接続して、ハイレゾやストリーミングサービスなど、さまざまなスペックの音源を試聴してみた。ちなみにイヤホンはDUNU「TITAN S」を使用。こちらに同社製アップグレードケーブル「DUW-02」(4.4mmバランス端子)を組み合わせている。
一聴して驚いたのが、音のバランスのよさ、聴き心地のよさだ。TITAN Sは、iPod touchやAstell&KernのDAP「SP2000T」などと組み合わせると、高域のざらつき感が僅かに感じられるが、DTC 500と組み合わせると、中高域がクリアに、随分と聴き心地のよいウェルバランスなサウンドへと変化してくれる。
なかでもボーカルは距離が一段と近づき、情感あふれる歌声を楽しませてくれた。男性の声も女性の声も、ほんの少しハスキーで大人っぽくも感じられる。なかなか、絶妙な組み合わせといえる。
さらに、他社製ハイグレードイヤホンと組み合わせても良好な印象を得られた。JVC「HA-FD01」では、肉感あるボーカルが楽しめるダイレクト感の高いサウンドを聴くことができたし、final「A8000」は、ディテールのしっかり伝わるクリアな音を聴かせてくれた。
続いて、オーディオテクニカのヘッドホン「ATH-ADX5000」でも試してみた。こちらもボーカルがややハスキーな印象で、音源本来のエコー成分が普段より強く感じられ、ピアノのタッチも強めだ。十分に鳴らしてくれているが、DUNU製品をはじめとするイヤホンとの相性がより好ましいように感じた。
また、ストリーミングサービスとの相性もいい。今回はAmazon MusicでSD(標準音源)をメインに試聴したため、ハイレゾ音源に解像度で劣っていたものの、パワフルで抑揚のしっかりした、ノリのよいサウンドを楽しむことができた。
このように、DTC 500は手持ちの有線イヤホンとスマホで手軽にいい音を楽しみたい人にとって、有力な選択肢だ。1万円前後という価格を考えると、かなりコスパのよい製品でもある。特にDUNUイヤホンを持っている人にとって、ポータブルDACアンプの購入を考えるなら、最優先に手にすべきアイテムといえる。
【SPEC】
●DAC:ESS Technology「ES9038Q2M」×1 ●最大対応サンプリング周波数/量子化ビット数:PCM→768kHz/32bit、DSD→22.6MHz ● ヘッドホン出力;3.5mm、4.4mm ●出力レベル:2Vrms@600Ω(アンバランス)、4Vrms@600Ω(バランス)、100mW@32Ω(アンバランス)、200mW@32Ω(バランス) ●外形寸法:55W×13.7H×18.5Dmm ●質量:約17g ●付属品:USB Type-C to A変換アダプター
(協力:サウンドアース)
※本記事は「プレミアムヘッドホンガイド最新号VOL.28」所収記事を転載したものです
そもそもDUNUは、有線イヤホンを得意とするオーディオブランド。1994年に創業したOEMメーカー「TOPSOUND」の自社ブランドで、2006年にスタートし、2012年に日本上陸を果たしている。
特に日本では、2013年にハイブリッドドライバー構成のイヤホン「DN-1000」を手がけたことでいち早く注目を集めた。そして近年は、ピュアベリリウム振動板を搭載した「LUNA」や、自社開発の「ECLIPSEドライバーモジュール」を搭載した「ZEN PRO」などをリリースし、アジア屈指の開発力に磨きをかけている。
そんなDUNUから、ドングルタイプのDACアンプが発売されたのは至って自然な流れとも言える。というのも、DUNU製イヤホンは音質にこだわるあまり、ヘッドホンアンプを組み合わせた方が本来のポテンシャルを引き出せる傾向にあるからだ。
もちろん、「TITAN」などエントリークラスの製品に関してはスマートフォンでも楽しめるよう比較的 “鳴りやすい” 特性にまとめ上げられている。しかしながら、音質に対するこだわりの表れか、スマートフォンによっては高域がシャカシャカした音になってしまう場合もあった。
また、近年はスマートフォンからヘッドホン端子が省かれていることも多く、それに合わせてドングルタイプのDACアンプも各社から続々登場しており、サイズや扱いやすさ、音質のよさを競い合っている。
そんな状況だからこそ、DUNUは “スマートフォンでも自社のイヤホンが理想の音を奏でてくれる” 理想の環境を求めたのだろう。「DTC 500」を詳細に見ていくと、そういった志のようなものが感じられる。
デュアルオペアンプ搭載でハイパワー。バランスや聴き心地のよさに一驚
音質の要となるDACチップは、32bit Hyperstream II技術を採用し、優れたS/Nを実現するというESS社製の「ES9038Q2M」を搭載。これにより、DTC 500のS/N比は122dBで、768kHz/32bitまでのリニアPCM、22.4MHz(DSD512)までのDSD音源がデコード可能となっている。現在リリースされているハイレゾ音源ほぼすべてに対応するハイスペックだ。
さらに、100MHzまでの高周波出力に対応した、低ジッターのアクティブ水晶発振器を搭載。入力信号のタイミングをコントロールするクロックを、内蔵クロックによって制御する、アシンクロナス(非同期)モードに対応することで、USB経由のジッターを低減させ、よりピュアな信号伝送を行うという。
ヘッドホン出力に関しては、4.4mmバランスと3.5mmステレオと2つの端子を搭載しつつ、2つの独立したオペアンプ「RT6863」を採用。これにより、DACで変換されたアナログ信号を増幅し、最大4Vrsm(バランス/600Ω)、200mW(32Ω/バランス出力)という高出力と低歪みを両立することができたとアピールする。
一方で、個性的なデザインを採用しているのも特長だ。筐体にはCNC削り出しのアルミを使用し、一部にクリアパーツを組み合わせることで内部パーツや、内蔵するRGBインジケーターライトのLEDの光が見えるようになっている。LEDは再生中の楽曲のサンプリングレート/フォーマットに合わせて色が変化する。
上から見るとスマホ端子側に窓ガラスのようなクリアパーツが、ヘッドホン端子側にフィンのような意匠が形づくられているため、まるでイタリア製スーパーカーのミニチュアのようにも見える。遊び心が満載で所有欲をくすぐられる。
果たして、実際のサウンドはいかがなものだろうか。今回、iPhone SE(第2世代/2020年モデル)とXiaomi「Mi 11 Lite 5G」、2台のスマートフォンに接続して、ハイレゾやストリーミングサービスなど、さまざまなスペックの音源を試聴してみた。ちなみにイヤホンはDUNU「TITAN S」を使用。こちらに同社製アップグレードケーブル「DUW-02」(4.4mmバランス端子)を組み合わせている。
一聴して驚いたのが、音のバランスのよさ、聴き心地のよさだ。TITAN Sは、iPod touchやAstell&KernのDAP「SP2000T」などと組み合わせると、高域のざらつき感が僅かに感じられるが、DTC 500と組み合わせると、中高域がクリアに、随分と聴き心地のよいウェルバランスなサウンドへと変化してくれる。
なかでもボーカルは距離が一段と近づき、情感あふれる歌声を楽しませてくれた。男性の声も女性の声も、ほんの少しハスキーで大人っぽくも感じられる。なかなか、絶妙な組み合わせといえる。
さらに、他社製ハイグレードイヤホンと組み合わせても良好な印象を得られた。JVC「HA-FD01」では、肉感あるボーカルが楽しめるダイレクト感の高いサウンドを聴くことができたし、final「A8000」は、ディテールのしっかり伝わるクリアな音を聴かせてくれた。
続いて、オーディオテクニカのヘッドホン「ATH-ADX5000」でも試してみた。こちらもボーカルがややハスキーな印象で、音源本来のエコー成分が普段より強く感じられ、ピアノのタッチも強めだ。十分に鳴らしてくれているが、DUNU製品をはじめとするイヤホンとの相性がより好ましいように感じた。
また、ストリーミングサービスとの相性もいい。今回はAmazon MusicでSD(標準音源)をメインに試聴したため、ハイレゾ音源に解像度で劣っていたものの、パワフルで抑揚のしっかりした、ノリのよいサウンドを楽しむことができた。
このように、DTC 500は手持ちの有線イヤホンとスマホで手軽にいい音を楽しみたい人にとって、有力な選択肢だ。1万円前後という価格を考えると、かなりコスパのよい製品でもある。特にDUNUイヤホンを持っている人にとって、ポータブルDACアンプの購入を考えるなら、最優先に手にすべきアイテムといえる。
【SPEC】
●DAC:ESS Technology「ES9038Q2M」×1 ●最大対応サンプリング周波数/量子化ビット数:PCM→768kHz/32bit、DSD→22.6MHz ● ヘッドホン出力;3.5mm、4.4mm ●出力レベル:2Vrms@600Ω(アンバランス)、4Vrms@600Ω(バランス)、100mW@32Ω(アンバランス)、200mW@32Ω(バランス) ●外形寸法:55W×13.7H×18.5Dmm ●質量:約17g ●付属品:USB Type-C to A変換アダプター
(協力:サウンドアース)
※本記事は「プレミアムヘッドホンガイド最新号VOL.28」所収記事を転載したものです