機内や動画編集にも
“携帯できる”からこそ広がる楽しみ!iFi audio「GO bar」使いこなし実践レポート
■手のひらサイズに収まるスティック型ポタアン
昨今、スマートフォンやPCと接続して利用できるスティック型のUSB-DAC/ポータブルアンプが各社から登場している。これらはUSBメモリのような小型サイズだが、音質的にもなかなか侮れないものだ。ここでは、最新モデルiFi audio「GO bar」の、小型機ならではのさまざまな使いこなしを試してみた。
<CONTENTS>
■まずはノーマルな音楽再生ユースで実力を検証
■ポッドキャストで長時間でも快適なフライトを!
■イヤホン直差しよりずっと快適! 動画編集にも活用できる
まずは「GO bar」の基本性能を確認しておこう。外形寸法65×22×13.2mmのコンパクトなUSB-DAC/ポータブルアンプで、入力端子はUSB-typeCのみ。出力は3.5mmと4.4mmの2系統と、このサイズながらバランス出力も搭載している。
同梱されるのはiOS端末と接続するための「Lightning - USB-Cケーブル」と、Android端末等と接続する「USB-C - USB-Cケーブル」。またUSB-AをUSB-Cに変換する変換コネクタも付いているので、PCとの組み合わせでも使用できる。
このサイズの中に “フルバランス回路” を搭載したことがiFi audioの面目躍如といったところ。またデジタルノイズ対策についてもさまざまな技術が盛り込まれている。特にPCやスマートフォンは、音質に影響を与えるノイズを大量に放出している。そういったノイズのフィルタリング機能はまさにiFi audioの長年の積み重ねがある。
また、背面のLEDランプによって現在再生されているフォーマットがひと目で理解できる。音場補正機能のXSpace、低域増強のXBass+機能もそれぞれ搭載、これらもランプで表示される。さらにマニアックな使いこなしとしては後述するデジタルフィルターも4種類搭載されている。
■ノーマルな音楽再生で実力を検証
まずは普通の音楽再生用途としてのGO barの実力を見てみよう。先日公開されて賛否両論?を巻き起こしている『シン・ウルトラマン』の主題歌である米津玄師の「M八七」。本編が終了しこの曲が流れた瞬間に、全身に鳥肌が走ったことは忘れ得ない体験だ。
48kHz/24bitのクオリティで聴くと、映画館の余韻の中では聴き逃してしまっていた楽曲の微細なニュアンスが、映画の感動をふたたび呼び覚ましてくれる。米津のヴォーカルに寄り添いながらも引き立てるように広がるオーケストレーション、2サビ以降のドラマティックな展開は、ウルトラマンの哀しみと愛が思い起こされて心がかきむしられる。
4.4mm出力を試してみると、まずステージ感がひと回り大きくなったように感じられる。低域の沈み込みや高域の消え際の余韻感などに特に差が現れて、これはバランス対応イヤホンをマストで試して欲しい、というほどの音質差がある。さりげなく差し込まれるコーラス部の表現や声の厚みなども細かく見えてくる。ちなみに米津玄師「POP SONG」の冒頭のおもちゃ箱をひっくり返したような音の遊びも、バランス接続だとよりサウンドの位置関係が見えてきて面白い。
次はMQA音源から、ボブ・ジェームズ「FEEL LIKE MAKING LIVE!」。これはAURO-3D音源からSACDまで様々なフォーマットで聴き比べをしている音源で、それぞれのフォーマットの特性を生かしたマスタリングが非常に興味深い音源なのだが、イヤホンでも改めて新しい発見があった。ボブ・ジェームズのピアノの表現もさることながら、ドラムスがまたいい味を出しているのだ。細かいフレーズの刻みなどはイヤホンで聴くと新たな気付きがあり、エレピの表現もゾクゾクする色気が感じられる。
ちなみにMQA音源を再生している場合は、背面のランプがブルーになる。しっかり「MQA Studio」フォーマットであることが確認できて嬉しい。
補正機能を試してみよう。宇多田ヒカル「One Last Kiss」では、XBass+モードにすると低域が増強されて、思わず身体を揺らしたくなるようなグルーヴ感が伝わってくる。またXSpaceは高域の質感に影響があるようで、例えばサラ・オレインのように高域のヴォーカルを伸びやかに聴きたい場合などには非常に効果がありそうだ。ただし、ライブ録音のクラシック楽曲等では、XSpaceを使うことで「シャー」という高域ノイズのようなものを感じられた。XBass+とXSpaceは再生ソースによる相性もあるようなので、そのあたりも曲によって使い分けたい。
デジタルフィルターは横のボタンを長押しすることで、背面の「MQA」ランプが点滅、ボリュームボタンの+/-で4種類の切り替えができる。取扱説明書によると、フィルターは以下の4種類から設定できる。
シアン(と記載されているが緑に見える):ビットパーフェクト。デジタルフィルターなし
赤:標準的なフィルター。プリ/ポストリンギングもなだらか
黄:ミニマムフェーズ、ロールオフはスロウ、プリ/ポストリンギングも最小限に
白:352kHzまたは384kHzにアップサンプリング。フィルターは最小限でプリリンギングはなし、ポストリンギングは最小限
効果を試すにはなるべく聴き慣れた曲をということで、ダイアナ・クラールの「Desperado」を。これはあくまで好みや楽曲に合わせて、ということになりそうだが、たとえば筆者の場合は、オーケストレーションの広がりでは「白」が最も好ましく、「赤」はすこしこじんまりして聴こえてしまった。左右ボタンをぽちぽち切り替えながら、一番好みのサウンドを探る楽しみもありそうだ。
昨今、スマートフォンやPCと接続して利用できるスティック型のUSB-DAC/ポータブルアンプが各社から登場している。これらはUSBメモリのような小型サイズだが、音質的にもなかなか侮れないものだ。ここでは、最新モデルiFi audio「GO bar」の、小型機ならではのさまざまな使いこなしを試してみた。
<CONTENTS>
■まずはノーマルな音楽再生ユースで実力を検証
■ポッドキャストで長時間でも快適なフライトを!
■イヤホン直差しよりずっと快適! 動画編集にも活用できる
まずは「GO bar」の基本性能を確認しておこう。外形寸法65×22×13.2mmのコンパクトなUSB-DAC/ポータブルアンプで、入力端子はUSB-typeCのみ。出力は3.5mmと4.4mmの2系統と、このサイズながらバランス出力も搭載している。
同梱されるのはiOS端末と接続するための「Lightning - USB-Cケーブル」と、Android端末等と接続する「USB-C - USB-Cケーブル」。またUSB-AをUSB-Cに変換する変換コネクタも付いているので、PCとの組み合わせでも使用できる。
このサイズの中に “フルバランス回路” を搭載したことがiFi audioの面目躍如といったところ。またデジタルノイズ対策についてもさまざまな技術が盛り込まれている。特にPCやスマートフォンは、音質に影響を与えるノイズを大量に放出している。そういったノイズのフィルタリング機能はまさにiFi audioの長年の積み重ねがある。
また、背面のLEDランプによって現在再生されているフォーマットがひと目で理解できる。音場補正機能のXSpace、低域増強のXBass+機能もそれぞれ搭載、これらもランプで表示される。さらにマニアックな使いこなしとしては後述するデジタルフィルターも4種類搭載されている。
■ノーマルな音楽再生で実力を検証
まずは普通の音楽再生用途としてのGO barの実力を見てみよう。先日公開されて賛否両論?を巻き起こしている『シン・ウルトラマン』の主題歌である米津玄師の「M八七」。本編が終了しこの曲が流れた瞬間に、全身に鳥肌が走ったことは忘れ得ない体験だ。
48kHz/24bitのクオリティで聴くと、映画館の余韻の中では聴き逃してしまっていた楽曲の微細なニュアンスが、映画の感動をふたたび呼び覚ましてくれる。米津のヴォーカルに寄り添いながらも引き立てるように広がるオーケストレーション、2サビ以降のドラマティックな展開は、ウルトラマンの哀しみと愛が思い起こされて心がかきむしられる。
4.4mm出力を試してみると、まずステージ感がひと回り大きくなったように感じられる。低域の沈み込みや高域の消え際の余韻感などに特に差が現れて、これはバランス対応イヤホンをマストで試して欲しい、というほどの音質差がある。さりげなく差し込まれるコーラス部の表現や声の厚みなども細かく見えてくる。ちなみに米津玄師「POP SONG」の冒頭のおもちゃ箱をひっくり返したような音の遊びも、バランス接続だとよりサウンドの位置関係が見えてきて面白い。
次はMQA音源から、ボブ・ジェームズ「FEEL LIKE MAKING LIVE!」。これはAURO-3D音源からSACDまで様々なフォーマットで聴き比べをしている音源で、それぞれのフォーマットの特性を生かしたマスタリングが非常に興味深い音源なのだが、イヤホンでも改めて新しい発見があった。ボブ・ジェームズのピアノの表現もさることながら、ドラムスがまたいい味を出しているのだ。細かいフレーズの刻みなどはイヤホンで聴くと新たな気付きがあり、エレピの表現もゾクゾクする色気が感じられる。
ちなみにMQA音源を再生している場合は、背面のランプがブルーになる。しっかり「MQA Studio」フォーマットであることが確認できて嬉しい。
補正機能を試してみよう。宇多田ヒカル「One Last Kiss」では、XBass+モードにすると低域が増強されて、思わず身体を揺らしたくなるようなグルーヴ感が伝わってくる。またXSpaceは高域の質感に影響があるようで、例えばサラ・オレインのように高域のヴォーカルを伸びやかに聴きたい場合などには非常に効果がありそうだ。ただし、ライブ録音のクラシック楽曲等では、XSpaceを使うことで「シャー」という高域ノイズのようなものを感じられた。XBass+とXSpaceは再生ソースによる相性もあるようなので、そのあたりも曲によって使い分けたい。
デジタルフィルターは横のボタンを長押しすることで、背面の「MQA」ランプが点滅、ボリュームボタンの+/-で4種類の切り替えができる。取扱説明書によると、フィルターは以下の4種類から設定できる。
シアン(と記載されているが緑に見える):ビットパーフェクト。デジタルフィルターなし
赤:標準的なフィルター。プリ/ポストリンギングもなだらか
黄:ミニマムフェーズ、ロールオフはスロウ、プリ/ポストリンギングも最小限に
白:352kHzまたは384kHzにアップサンプリング。フィルターは最小限でプリリンギングはなし、ポストリンギングは最小限
効果を試すにはなるべく聴き慣れた曲をということで、ダイアナ・クラールの「Desperado」を。これはあくまで好みや楽曲に合わせて、ということになりそうだが、たとえば筆者の場合は、オーケストレーションの広がりでは「白」が最も好ましく、「赤」はすこしこじんまりして聴こえてしまった。左右ボタンをぽちぽち切り替えながら、一番好みのサウンドを探る楽しみもありそうだ。