機内や動画編集にも
“携帯できる”からこそ広がる楽しみ!iFi audio「GO bar」使いこなし実践レポート
■ポッドキャストで長時間でも快適なフライトを!
さて、PHILE WEBでもレポートしている通り、先日、3年ぶりにドイツに出張に行くことになった。いうまでもなく、飛行機内は音的には非常に劣悪な環境である。エンジンの轟音はもとより、機内で配布されるヘッドホンの音質たるや…である。アラフォーの足音が迫る身には長距離のフライトは身体的にも辛く、今回は12時間のフライトが確定していたので、なるべく機内の環境を快適に、とあらかじめ色々と準備しておいた。
持ち込んだのはiPadとAirPods Pro、そして今回のGO barとKinera Imperialのイヤホン。全部まとめても小さいポーチひとつにまとまってしまうサイズなので、機内持ち込み荷物としてもまったく負担にならない。
もうひとつ用意したのは、iPadにSpotifyのポッドキャストドラマ「BATMAN 葬られた真実」をあらかじめダウンロードしておくこと。Spotifyは楽曲をオフライン保存しておくことができるので、機内でネットワークがつながらない環境でも十分楽しむことができる。「BATMAN 葬られた真実」は一話30分くらいでちょうどいいし、英語版と日本語版の両方を利用できるので、耳を英語に慣らしておくためにも最適だ。
これは大正解だった! 飛行機内で映画を見ることもあるが、機内はどうしても乾燥しがちでずっと目を開けているのも辛い。しかし、ポッドキャストならば音声だけで楽しめるし、目をつぶって身体をシートにもたせかけてしまえば、非常にリラックスした体勢で物語に入り込むことができた。
さて、筆者はSPレコードなどを取材で聴く機会があるが、SPレコードはノイズが多い。最初の数秒はそのシャーシャーとした音が気になるのだが、演奏が始まったとたん、その世界に完全に引き込まれてしまう。SPレコードに残される演奏は、当代の超一流ミュージシャンであったことは疑いもないが、聴いているうちに完全にそのノイズの存在を忘れてしまい、音楽だけが耳を潤してくれる感覚というのは何度も体験したことがある。
今回の機内においても同様の感覚を抱いた。エンジンの轟音が多少気になったとしても、音質的に優れたアイテムでひとたび物語に没入してしまえば、体勢のツラさも忘れて聴き入ってしまった。マイナスを限りなくゼロにすることも大切だが、同じ長時間を過ごすならば、少しでもその時間を “楽しく” 過ごすことができる選択というのも重要ではないだろうか。
バットマンのポッドキャストは声による俳優の表現はもちろん、効果音や劇伴の使い方も非常にこだわった作品だ。バットマンの永遠の宿敵・ジョーカーの電話越しの声、母親の少し遠くから声をかけるシーンなどの微妙なニュアンスをきちんと音声で違いを描き出しているし、雨音やガラスの割れる音といった細かい表現も豊かで、音だけなのにまるで映画を見ているような臨場感を演出してくれる。
このように作り込まれたコンテンツは、それを再現できるデバイスで聴くことで真の魅力が味わえる。言うまでもないことだが、「ノイズキャンセリング性能」においてはAirPods Proに圧倒的な分がある。アクティブノイズキャンセリング機能を持つAirPods Proを装着すると、それこそエンジンの轟音がほとんど気にならなくなるほどだ。しかし、物語への没入感という意味ではGO barを接続することに大きなアドバンテージを感じた。
余談だが、筆者は飛行機の気圧差が苦手で、毎回下降時にひどく耳が痛くなるのだが、AirPods Proをつけっぱなしにしているとまったく痛くならなかった。そして言うまでもなく、睡眠時にはノイキャンは「神アイテム」であるので、機内での時間の過ごし方に合わせて両方を使い分けるのが良さそうだ。