【特別企画】ケーブル本来の伝送性能を実現
フルテックのNCF採用XLRプラグを聴く。類を見ない作り込みでケーブルの特性を引き出した
同社はこのような技術をなぜ投入したのか。それは、ケーブルや接続する機器の振動や静電気を大幅に低減することで、解像度特性と空間描写性が高まり、より透明度の高い倍音が再現されるからだ。さらに聴感上のSN比が高まり、音楽でエッセンシャルな弱音を引き立ててくれるからだと思う。
もう一つ私の経験だが、以前バランスケーブルを自作した時に、プラグのメーカーによって音質が異なることが分かった。アタックが強くなったり高域の伸びが減ったり、音場が狭まり閉塞感を感じたりした。これはプラグ外装の種類や、端子の絶縁部に関係すると推察した。静電容量の低いケーブルを用いたのだが、絶縁部の静電容量が大きいため、音質が変化したのではないかとも推察した。
対して本製品は、帯電除去効果も制振性も高い。静電気の低減効果を持つということは、静電容量も低いと推察され、ケーブルの特性や音質が素直に伝送されると予測できた。同社はこうしたことも経験し、本プラグを開発したのではなかろうか。
高解像度でリアルな空間描写。微細な空気感や倍音も表出
今回は、フルテックの従来品XLRプラグと本製品がそれぞれ装着された同じケーブルを、興味津々で実際に比較試聴した。大きな差は、本製品では音の立ち上がり、アタック感が強調されず、音のタイトさが抑えられたことだ。さらに微細な空気感と倍音成分が引き出され、より一層の解像度の向上が確認できた。
音の透明度も高まり、弱音が実に美しい。よりリアルな空間描写も実現。これはまさに搭載技術の反映で、ケーブルの特性が活かされたと言えるし、微弱信号を扱うアナログ再生にも効果を発揮するであろう。
このように「CF-601M NCF(R)」と「CF-602F NCF(R)」はデザインも技術も、ハイエンドオーディオにとって魅力的で高く評価したい。私自身も今後、愛用のケーブルでXLRプラグを本製品につけ替えていこうと思っている。読者も、ぜひ専門店で聴いて試してみて欲しい。
【CF-601M NCF(R)】【CF-602F NCF(R)】
●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロ●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、 内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●適応導体ワイヤーサイズ〔CF-601M NCF(R)〕: 撚線→14AWG( 2.08 sq.mm) MAX、単芯→12AWG( 3.3 sq.mm) MAX、線径→2.1mm MAX●適応導体ワイヤーサイズ〔CF-602F NCF(R)〕:撚線→13AWG( 2.62 sq.mm) MAX、単芯→12AWG( 3.3 sq.mm) MAX、線径→2.4mm MAX●サイズ/質量:〔CF-601M NCF(R)〕→全長約18.6φ×64.6m
(協力:フルテック)
本記事は『季刊・アナログ vol.77』からの転載です。