色づけをせず機器の潜在力を引き立てるコンセプト
フルテック「スリムライン・パワー・シリーズ」に電源ボックスとケーブルが登場。その実力をレポート
フルテックから電源アクセサリーの新シリーズ「Slimline Power Series」が登場した。その第一弾となるのは、電源ケーブル2モデルと電源ボックス1モデル。省スペースかつ取り回しのしやすい構成に、フルテックのノウハウと最新の研究成果を込め、明確な音のポリシーからネーミングされている。いままで使えなかった場所や機材にも着実に底上げを図ってくれる、嬉しいスリムなスタイルの製品群である。その特徴と魅力を小原由夫氏がレポートする。(『季刊・オーディオアクセサリー164』号にて初出)
スリムライン・パワー・シリーズ
■最新オリジナルパーツを投入した新たな定番スリム型電源ケーブル(Text by 小原由夫)
ケーブル用線材の定番であったPCOCCの生産完了に伴い、各社がさまざまな形で新しい導体に取り組んでいる。そうしたなか、独自の路線を歩んでいるのが、いまや老舗の貫禄も抱かせるフルテックだ。今春のニューモデルもオリジナリティに溢れた注目作といえよう。
「スリムライン・パワー・シリーズ」と銘打たれたこれらの製品は、オーディオ/AVコンポーネントが持っている各々の個性を引き立たせつつ、余計な色づけを避け、ポテンシャルをさらに高めようというのが設計の狙いだ。電源ケーブルは2種。「The Roxy(ロキシー)」と「The Odeon(オデオン)」とそれぞれ命名されている。語源を辿ると、ロキシーはペルシア語で「夜明け、煌めき」を意味し、オデオンはギリシア語で「劇場、映画館」である。各々は開発の初期段階から、The Roxyがオーディオ用、The OdeonがAV用を意図して設計されていた背景がある。
ケーブル部の導体や構造は、双方共通。銀コーティングα-OFC導体によるホット/コールドと、α-OFC導体のアース線による3芯構造だ。それぞれオーディオグレードのポリエチレンで被覆し、綿質糸と特殊紙材テープによる介在/絶縁が施されている。アウターシースはRoHS準拠のオーディオグレードPVCと、ナイロン糸編組のジャケットという内容だ。これらは耐電圧と耐熱性の向上、振動抑制、さらに外来ノイズからの影響回避といった目的に基づく構成である。
電源ケーブル2モデルの音質
■描写力が高く低重心なThe Roxy、The Odeonは立体感や奥行き良好
差別化が図られているのは、プラグとIECコネクター部分である。The Roxyは、純銅に24k金メッキ処理を施したFI-11M-N1(G)とFI-C15(G)を採用。一方のThe Odeonは、純銅にさらに銅メッキ処理をした2層メッキ加工のFI-15ME(Cu)とFI-C15(Cu)を採用している。双方ともIECコネクター部の形状を細身にすることで、パネルから窪ませた位置にインレットを装備した機器でも問題なく差し込めるようにしているのがポイント。ケーブル自体もさほど固くなく、取り回しは比較的やりやすいというのが実感だ。
The Roxyをプリアンプで使用してみた印象は、エネルギーバランスが低域にかけてどっしりと安定しており、重心も低く、ローエンドまでよく伸びている。加えて聴感上のS/Nが良く、微細な音の描写力が高い。音楽が持っている柔らかな響き、あるいは鋭い立ち上がりなどをいささかも脚色せず、素直に出してくる傾向だ。
The OdeonはAVアンプの電源供給に使ってみた。こちらも安定したピラミッドバランスで、重心が微動だにしない。加えて、音場の立体感や奥行き感もよく出る。推奨機器の対象のひとつであるBDレコーダーに使ってみると、コントラスト感がアップし、グラデーションがより稠密になるような印象であった。
スリムライン・パワー・シリーズ
■最新オリジナルパーツを投入した新たな定番スリム型電源ケーブル(Text by 小原由夫)
ケーブル用線材の定番であったPCOCCの生産完了に伴い、各社がさまざまな形で新しい導体に取り組んでいる。そうしたなか、独自の路線を歩んでいるのが、いまや老舗の貫禄も抱かせるフルテックだ。今春のニューモデルもオリジナリティに溢れた注目作といえよう。
「スリムライン・パワー・シリーズ」と銘打たれたこれらの製品は、オーディオ/AVコンポーネントが持っている各々の個性を引き立たせつつ、余計な色づけを避け、ポテンシャルをさらに高めようというのが設計の狙いだ。電源ケーブルは2種。「The Roxy(ロキシー)」と「The Odeon(オデオン)」とそれぞれ命名されている。語源を辿ると、ロキシーはペルシア語で「夜明け、煌めき」を意味し、オデオンはギリシア語で「劇場、映画館」である。各々は開発の初期段階から、The Roxyがオーディオ用、The OdeonがAV用を意図して設計されていた背景がある。
ケーブル部の導体や構造は、双方共通。銀コーティングα-OFC導体によるホット/コールドと、α-OFC導体のアース線による3芯構造だ。それぞれオーディオグレードのポリエチレンで被覆し、綿質糸と特殊紙材テープによる介在/絶縁が施されている。アウターシースはRoHS準拠のオーディオグレードPVCと、ナイロン糸編組のジャケットという内容だ。これらは耐電圧と耐熱性の向上、振動抑制、さらに外来ノイズからの影響回避といった目的に基づく構成である。
電源ケーブル2モデルの音質
■描写力が高く低重心なThe Roxy、The Odeonは立体感や奥行き良好
差別化が図られているのは、プラグとIECコネクター部分である。The Roxyは、純銅に24k金メッキ処理を施したFI-11M-N1(G)とFI-C15(G)を採用。一方のThe Odeonは、純銅にさらに銅メッキ処理をした2層メッキ加工のFI-15ME(Cu)とFI-C15(Cu)を採用している。双方ともIECコネクター部の形状を細身にすることで、パネルから窪ませた位置にインレットを装備した機器でも問題なく差し込めるようにしているのがポイント。ケーブル自体もさほど固くなく、取り回しは比較的やりやすいというのが実感だ。
The Roxyをプリアンプで使用してみた印象は、エネルギーバランスが低域にかけてどっしりと安定しており、重心も低く、ローエンドまでよく伸びている。加えて聴感上のS/Nが良く、微細な音の描写力が高い。音楽が持っている柔らかな響き、あるいは鋭い立ち上がりなどをいささかも脚色せず、素直に出してくる傾向だ。
The OdeonはAVアンプの電源供給に使ってみた。こちらも安定したピラミッドバランスで、重心が微動だにしない。加えて、音場の立体感や奥行き感もよく出る。推奨機器の対象のひとつであるBDレコーダーに使ってみると、コントラスト感がアップし、グラデーションがより稠密になるような印象であった。