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進化を続けるフラグシップ、ニコン「Z 9」特別レビュー

公開日 2022/12/02 06:30 山田久美夫
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■画質は緻密で階調豊か。立体感のある素直な描写



性能、機能だけでなく、もちろん画質も第一級。フルサイズ有効4571万画素の積層型CMOSセンサーと、画像処理エンジン「EXPEED 7」が描き出す世界は、緻密で階調豊かなものだ。

Z 9で撮った映像は、SNSに投稿されたものをスマートフォンで見ても「キレイ」だと感じる。見た目重視、解像感重視ではない、立体感のある素直な映像だ。これほど高画素になると超高感度画質が気になるところだが、今回、皆既月食や夜景を実写したところ、ISO25600のJPEG記録でも、十分鑑賞に堪える画質を実現していた。


超高感度ISO25600、DXクロップによるJPEG撮影だが、ノイズも少なく十分鑑賞に堪える画質を実現している。三脚に載せただけの簡易的な撮影だが、皆既中の月だけでなく、周囲の星々までノイズに埋もれることなく写っている
また、あまり注目されていない機能だが、個人的には本機の「HDR合成」機能をとても気に入って多用した。カメラが自動的に露出を変えて撮影した2枚の静止画をカメラ内で自動合成するもので、HDRといっても、決して不自然に階調を広げるものではなく、人間の眼に近い自然さを備えながら幅広い明暗域を再現できる。合成前の2枚をRAWデータとして残すことができるため自由度も高い。特に輝度比の高い夜景撮影で威力を発揮してくれた。


「HDR合成」機能を使って撮影した作例。波打ち際の風景と星空を1枚の写真に違和感なく収めることができる
一方、動画性能の高さも見逃せない。超高精細な8K30pでの録画を、カメラ内で最長125分も記録できる。8Kまで必要ないという方もいるが、その精細さは4Kとは別次元だ。実務的にも編集時に4Kでのパンニングやズーミングが可能となるなどのメリットも高い。最新ファームウェアでは4Kクロップによる撮影にも対応し、その利用価値は飛躍的に高まっている。

4K120p収録によるスロー再生にも対応する。今回は静止画撮影中心の試用となったが、私自身、風景などを動画撮影することが多く、この機能はきわめて魅力的だ。現在、動画の世界はプロ向け中心の世界となっているが、今後はアマチュア層でも動画を楽しむ人が増えてくるだろう。そういったユーザーにとっても本機はとても魅力的な存在といえる。


ボディについて、ミラーレスであることを考えるとややサイズが大きく感じるが、それでも従来のフラグシップ一眼レフよりは一回り以上も小型軽量だ。グリップ形状やボタン配置もよく考えられており、撮影時に重さが気になることもほぼなかった。ボディの厚みがさほどないので、レンズを外せば小さめのバッグに収納できる点も追記したい。

バッテリーの持ちは、カタログ上ではおよそ700枚程度。だが、静止画、特に高速連写が中心の撮影では3000枚以上は撮影できた。USB充電もできるため、モバイルバッテリーを持っていればさらに安心だ。

また、細かな部分だが、本機はメインスイッチをOFFにすると、センサーシールドが自動的に閉じ、センサーへのゴミや水滴の付着を大幅に軽減してくれる。屋外でレンズ交換する場合や、レタッチが難しい動画撮影での安心感は筆舌尽くしがたい。

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